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M線上のアリアとは

本日は【M線上のアリア】へ、ようこそお越しくださいました。
本作品は「十三人の作者による共同執筆コラボレーション小説」です。
此方では本作品を、より楽しんで読んで頂く為の、基礎知識を説明いたします。
ナビゲーターは、本作品にも登場するツンデレ美少女【エリカ】が務めます。

「M線上のアリアとは」の続きを読む »

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一日目:プロローグ 00話

Hello?
聴こえていますか。
君が最初に聴いた歌と、君が最後に聴いた歌。

Hello?
聴こえていますか。
零れ落ちそうなリズム。一回。二回。三回。四回。

聴こえているなら手を伸ばしてね。きっと間に合うはずだから。
何も無い世界に、一体どうやって、色を付けようか。
……ねぇ、君は何の為に生きてる?


【M線上のアリア】プロローグ


――何となく訪れ始めた秋に向かって、私は一人で息を吐いた。
普段通りの花屋のバイトの帰り道、見慣れた公園は紅葉に染まり始めている。
店長がくれた、売れ残りの小さな赤い花束を抱えて、私は急ぐでも無く、止まるでも無く。
只、何となく歩いているのは、只、何となく別に意味と目的なんて無いからだし、只、何となく気侭に歩いていた方がラクだからに過ぎない。少し古びたアパートの鉄階段を昇って、鍵を回して、わざと勢い良く、扉を開ける。テレビから流れる笑い音が聴こえた。「ただいまぁ!」

「……おかえり、早かったね」
テレビを観たまま、此方を振り向きもせずに、恋人が形式通りの返事をする。
「蜜クン、見てよコレ、店長に貰っちゃった!」
「……また売れ残りの花でしょ?」
やっぱり振り向きもせずに、恋人は言う。
「売れ残っても、お花は、お花! 大体さ、お花は自分が"売れ残った"なんて思って無いよ! 人間が勝手に売り買いしてるだけなんだから! 売れ残っても、お花は、お花!」
そこまで言うと、ようやく恋人は、身体は寝たまま、顔だけを此方に向けた。
「……へぇ、どんな花?」
「あのねぇ、コレはねぇ、ワレモコウっていうお花だよ」
「……へぇ」

私はパソコンを起動させ、Tシャツを脱ぐと、それを洗濯機の中に放り込んだ。
「あれ、洗濯まだ?」
「ああ、後でやるよ、テレビ観てから」
「あんまり夜中に洗濯すると、ご近所の迷惑になるんだよ」
蛇口を捻ると、まだ冷たい水が流れた。
浴槽にお湯を溜める、水道の音が響く。
「あれ、黒ちゃん、今日はまだ来てないなぁ……」
お気に入りのオレンジ色のソファに座り、パソコンのモニターを覗くと、私は独り言のように呟いた。まるで彼は反応せず、相変わらずテレビを眺めている。それほどテレビが好きなのかと訊ねたら、きっとそんな事はなく、只、何となく眺めているだけだろう。
「先にお風呂入っちゃうけど、蜜クンお腹すいたでしょ、何食べたい?」
「ナポリタン」
「また? 好きだなぁ、ナポリタン」

恋人と同棲を始めて、もうすぐ二年が経とうとしていた。一口に二年と言っても、それなりに紆余曲折があり、それなりに長い月日を重ねたような気がする。だけれど、やっぱり、私は急ぐでも無く、止まるでも無く。このまま毎日が続くと良いなぁと、只、何となく思っている。

「……ああ、そう言えば、みく子」
「何??」
「何か分厚い便箋みたいなの、届いてたけど」
「へぇ、誰から?」
「んと、何だコレ、えと……JNL?」

テレビの中から下品な笑い声。
「……へぇ、何処かの新しいショップの案内状か何かじゃない?」
下着を洗濯機の中に放り込み、浴室の扉を閉じた。

シャワー音。
難しい事は、あまり考えたくない。大抵の出来事は、水に流せば忘れてしまう。だけれど世の中には、どうしても忘れられない事もあって、それはどれだけ石鹸で擦っても落ちない汚れみたいに、私の中に住み着いて、決して逃そうとはしない。それが「……運命、か」
全てを忘れてしまえたらラクなのかな。あの頃みたいに。何を忘れたのかさえ思い出せないまま、気が付けば忘れてしまった。きっと色んな事。浴槽に浸かり、自分の指を眺める。

「……え」

瞬間、私は気付いてしまった。
私の中に住み着いて、遂に姿を現した、或る小さな変化に。
思わず鏡を覗く。自分の目を見る。それから肌。それから髪の毛。「……嘘でしょ」
心臓がドクンと一回、大きく波打つ。予感。不安。湯気が鏡を曇らせて、私の姿は、すぐに消えた。それはまだ、とても小さな変化で、私以外には気付かないはずだった。
だけれど、いずれ皆、必ず気付いてしまう。

トプン。
音を立てるように、私は息を止め、浴槽の中に潜った。
目を閉じて、膝を丸めて、温かい水中で、あまり何も考えずに、一人で泣いてみた。
誰にも気付かれてはいけない。だけれど必ず気付かれてしまう。私に訪れた小さな変化は、ゆっくりと蝕むように、私を音も無く壊してしまうだろう。だから、今は一人で泣いた。
水中に響いていたのは心音。
唯、私の心音――。

――二週間後、私はパーマをかけた。
お気に入りだった真っ直ぐ伸びた髪に、かなり派手なパーマをかけた。
最初に見たのは、恋人。

「……何それ?」
「何それって、別に、パーマだけど」

私は素っ気無く切り返すと、台所に立って湯を沸かした。

「……何で勝手にパーマかけたんだよ?」
「何でって、髪型変えるのに、わざわざ君に相談するルール、あったっけ?」
「……何だよ、その言い方」

恋人は怒っている、と思った。だけれど出来るだけ、何も考えないようにした。
痛い事も、辛い事も、あまり考えないように。出来るだけ、一切の感情を殺すように。
そうしなければ、これから訪れるであろう、もっと大きな変化に、きっと私は耐えられない。

「それに何で最近、いきなり肌が白くなってるんだよ、それも勝手に何かしたのかよ?」
「別に、何にもしてないよ」
「大体、君は何時も勝手なんだ。勝手に決めて、何処かに行って、勝手に帰ってくるんだろ」
「それは学校とか、バイトとか、路上の弾き語りじゃない。別に遊んで歩いてる訳じゃな……」

止めた。これ以上、何も言いたくなかった。喧嘩なんてしたくも無いし、言い争いもしたくない。何かを失いたくて、こんな真似をしている訳じゃない。只、私は、只――。
「ごめんね、心配かけて。……一緒にスープ飲む?」
私は恋人に、お湯を入れたばかりのインスタント・スープを手渡した。
静かに湯気が立っていた。
二人で並んで唇を付け、それ以上、私も彼も、もう何も言わなかった。

真夜中。
恋人が眠っている隣で、私は目を覚ました。
テーブルの上には、あの分厚い便箋が置かれたままだった。

(……JNL)

全ては変化している。一秒毎に。こうしている間にも、また一秒が進んだ。
そうして私は、0と1の狭間を、何度も、何度も、繰り返す。
何処かで止めなきゃ、私の狂った一秒を。
そろそろ元に戻さなきゃ。

そして私は、便箋に、触れた。

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一日目:蜜編 現在 01話

今、みく子は笑っている。

「何? 何がそんなに可笑しいの?」
「ううん、ちょっとね、あのね、思い出し笑い」

僕とみく子は並んで座り、テレビを眺めている。
テレビの中ではお笑い芸人が、最近流行の歌手と会話をしている。
それを眺めてみく子は笑ったのだ、と僕は思ったが、どうやら真相は違うらしい。
リモコンを手に取り呆気なくチャンネルを変えると、呑気なショッピング番組が流れた。
みく子は何かを思い出して笑った。


【M線上のアリア】 現在/01


みく子が突然色白になり、髪型をアバンギャルドなパーマに変えたのは数日前だった。それが原因で僕らは些細な喧嘩をした。とは言え、それは大袈裟な喧嘩になる訳でも無く、互いの言い分を主張する程度の、些細な言い争いのはずだった。みく子が何故、その明るい色の長い髪を、アバンギャルドなパーマに変えたのかは解らなかった。病的に見えるほど色白になってしまったのかも解らなかった。イメージ・チェンジと呼ぶには大胆すぎる変化だったが、その理由は解らなかった。

解らなかったから、僕は全てを受け入れる事にした。別に深淵な思慮があった訳では無い。単にそうする方が穏便に済むと思ったからだ。僕は論争が嫌いだし、喧騒が嫌いだし、面倒な事も嫌いだった。それ以上に、何かが変化する事が嫌いだった。些細な喧嘩でみく子の機嫌を損ねるよりも、穏便に済ませる事を望んだというだけの話だ。

そして、こう考えた。明るいオレンジ色の髪をして、屈託ない笑顔を見せる、元気で誰からも好かれるみく子も魅力的だけれど、今、僕の隣に座ってるみく子も、みく子だ。何ら変わらない。少し痩せたように見える、細い腕。寂しそうに笑っている。急激な変化。恐らく僕の知らない所でも、周囲の友人に色々と言われたのではないだろうか。

みく子、僕は過去に戻って欲しい訳じゃないんだ。
みく子、僕は変わらないで欲しいと願う。
大切なのは過去なんかじゃない。
維持する今なんだ。

「ね、あのね」
「何? どうしたの?」
「あのね、思い出したの、今日の昼間の出来事」

みく子は目を閉じて、何かを思い出していた。
それは数分前に読んだばかりのページを、静かにめくるような動作だった。

「大学の友達に会ったんだけど、すごく心配してくれたの」
「うん」
「謝らなくちゃダメね、心配させちゃった事」
「へぇ、男?」
「ん? さぁて、どうかしら」

みく子はテレビ画面を眺めながら、可笑しそうに笑った。
安穏と流れるショッピング番組に、別に笑えるような場面は無かった。
きっと、この笑いは、みく子が仕掛けようとしている悪戯の為の笑いだと思った。

「男なんだろ?」
「ん? なぁに? 心配?」

みく子は僕の顔を覗き込むと、まるで小悪魔のように、クスリと笑った。
以前のみく子も悪戯っぽい性格だったけれど、今、色白のみく子がそうすると、病的で豊潤な色気を含んでいるような気がして、瞬間、僕はゾクリとした。白い肌。それは剥いたばかりの林檎のような、肌だった。大きな瞳で、小さく二回、瞬きをしてから、みく子は言った。

「アタシ、その人と一緒に、ノートン教授に会いに行こうと思うの」

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一日目:蜜編 現在 02話

「アタシ、その人と一緒に、ノートン教授に会いに行こうと思うの」

そう言った瞬間のみく子の表情を、きっと僕は忘れないだろう。
それはあまりにも何気ない台詞に忍ばせてしまった病的なまでの覚悟に近く、例えばレンタル・ビデオを借りたい人間が「ビデオを借りに行こうと思うの」と言うような、能天気な発言とは程遠く、かと言って自殺志願者が「死のうと思うの」なんて言い出すような、絶望的で刹那的なヒロイズムすらも、漂ってはいなかった。

確定された未来。
もしくは、確定された未来に対する反抗。
みく子が卵白のように透き通った顔を近付けて、僕の唇を舐めた。
僕の唇を舐めた後で、その舌先をペロリと味わい、続けるように繰り返した。

「アタシ、ノートン教授に会いに行くの」


【M線上のアリア】 現在/02


「ちょっと待ってくれ、話が見えないな」

点けっ放しのテレ・ビジョンからは、呑気な音楽が流れている。
ワイドショーのショッピング番組。
新製品のアイロンを買うと、今ならもう一台、アイロンが貰えるらしい。
家庭にアイロンが二台ある必要は無く、それは心底どうでも良い情報のはずだった。
ところが、その瞬間、みく子は言った。

「アイロンが二台あるの、古いのと、新しいの。
 ……ううん、違うわね、変わらないモノと、変わりゆくモノ。
 ねぇ、蜜クン、どちらも同じモノよ、だけれどアタシ、どちらを選ぶべき?」

みく子は唇の端だけで小さく笑いながら、確かにそう言った。自嘲的と言える笑い方だった。それは「みく子らしい」笑い方では無かった。だけれど、そもそも、「みく子らしさ」とは何だ? そんなの一体、誰が決めた事なんだ?

「……話がよく解らない。
 何で、その大学の友達と、そのナントカ教授に会いに行きたいの?」

僕の問に対して、みく子の返答は普段通りのみく子の返答だった。
特に飾らず、特に焦らず、要点のみを正確に伝える為の、簡素な返答だった。

「教授なら、その答を知ってそうだからね」
「答?」
「どちらを選ぶべきか、よ」

みく子の目は笑っていなかった。
その瞬間のみく子の目を、僕は以前にも一度、何処かで見た事があった。
変わるべきか? 変わらざるべきか? そんなの僕には解らない。考える理由が解らない。

「……大学の友達って誰だい?」
「……それはね、」
「男だろ?」

言いかけた瞬間、ショッピング番組のテーマと、携帯の着信音が重なった。
みく子の携帯が、場に似合わない、軽快な音楽を鳴らしている。
それは「スーパーマリオの無敵状態のテーマ」だ。

みく子は立ち上がり携帯を手に取ると、着信の主を確認した。
通話ボタンを押して耳に当てながら「もしもし……」と言って台所に移動する。

小さな声。
うん、うん、うん。
相槌しか打たない時、大体相場は決まってる。
相手は男だ。

こんな大切な話をしている時に、男から電話がかかってくるのも如何なものか。
路上で歌っているみく子の周りには、確かに沢山の男友達がいるのは承知の上だ。
だが、今この瞬間に電話をかけてくる事は無いんじゃないかと考えると、少し苛立った。

「みく子」

背後から、わざとらしく声をかけてみる。
みく子は返事をしない。
返事をしない代わりに、みく子の目だけがコチラを向く。
僕としても返事を期待している訳ではなくて、僕の存在を知らせたいだけだ。
それが受話器の向こうの相手に伝わりさえすれば良い。
もう一度、今度は大きめに。

「みく子?」

みく子は慌てたように声を詰まらせると、無言で頷いて、電話を切った。
通話を終えた携帯画面と親指を眺めて、みく子は数秒、動かなかった。

「ほら、男だろ?」

からかうように、僕は言った。
決して嫉妬染みた言い方をした訳では無かった。
先程の会話の続きをするように、嘲笑染みた言い方をした、が正しい。
みく子が申し訳無さそうな顔をして振り向けば、それで満足だった。
ところが振り向いたみく子の反応は、まるで予想外だった。

「ねぇ、どうして? どうしてアタシの邪魔をするの?」

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一日目:蜜編 現在 03話

邪魔をする? 誰が? 僕が?
僕がみく子の邪魔をしている? 何の為に? いや、邪魔などしていない。
電話の相手は男だったんだろ? とからかっただけだ。嫉妬心は否定しないが、それだけだ。

「どうしてそんなに感情的になる必要がある?」

言った瞬間、僕は口を押さえた。
みく子の目に涙が浮かんでいたからだ。だが、一体どうして?
みく子が泣かなければならない理由なんて無かったはずで、僕が口を押さえる理由も無い。
何ひとつ無いはずだった。

「変わってしまうの、怖いの」

涙が溢れて零れ落ちるのと同時に、みく子は言った。
それはまるで謎だらけの台詞だったけれど、核心に触れた台詞だという事は解った。
何かを焦っている、みく子は。
でなければ外見的な性急すぎる変化も説明が付くはずがなかった。
そこに触れずに済むならば、それに越した事はなかったけれど、もう無理なんだろう。

「ねぇ、邪魔しないで……」

「邪魔なんてしてないよ、だけれど教えてくれ」

「変わってしまうの、怖いの、毎日そればっかり考えてるの。
 何とかしたいのよ、アタシ。だから考えたの。考えたのに、邪魔しないでよ。
 きっともうすぐ壊れてしまうの、アタシ……」


【M線上のアリア】 現在/03


水風船を破裂させたように、みく子は泣いた。
みく子の中に針を刺したように、しばらくの間、泣き喚いた。
それは確かに「みく子らしくない」行為ではあったけれど、もうどうでも良かった。

「スープ、飲む?」

僕は立ち上がると台所に向かい、インスタント・スープを手に取った。
棚から容器を一つ取り、ポットのお湯を確認すると、それを粉を入れた容器に注いだ。
ショッピング番組の呑気な笑い声が聞こえる。

「飲んで」

みく子は容器を受け取ると、真赤な目をして、それを口に運んだ。
涙でみく子の化粧が剥がれている。
病的な白。

「どういう事か、ちゃんと聞かせてくれないかな?」

言った瞬間、みく子の肩がビクリと動いた。怯えたウサギのようだった。
みく子は不器用な所作で容器を床に置くと、足下の一点を見詰めて、また止まった。
恐らく的確な言葉を探しているのに、まるで見付からないような表情だった。

「僕はさ、みく子……僕は何の邪魔をしたのかな?」

やはり小さく怯えた後で、みく子は静かに口を開いた。

「変わっていくの、アタシ。
 もう自分でも追い付けないくらいよ」

「……変わっていく?」

「特にここ数日は酷いの。
 体中の色素が漂白されていくみたい。
 目の前の色が、次第に何も無くなってしまうみたい」

「……色が無くなる?」

そこまで話すと、みく子は掌を広げた。
みく子は掌を見詰めると、また自嘲気味に笑ってみせた。

「白いのね、色が無くなると。
 汚れるのなんて厭だって思っていたけれど、汚れないのも怖いのね。
 ああ、それともこれは、戻っていくと表現した方が正しいのかもしれないわね」

「……みく子?」

「アタシ、ゆっくり壊れていくのよ、解る?
 体中が白く染まって、髪の毛も無くなって、目も見えなくなるわ。
 それから声も出せなくなって、もうじき歌も唄えなくなるわ。
 そうして最後は、私の体も無くなっちゃうのよ」

「……何それ?」

みく子は広げた掌を、僕の目の前にかざした。
そうして僕の目を塞ぐと、そのまま僕の顔を自分の胸に埋めて、抱き締めた。
数秒間、そうしていた。
閉じられた視界の中で、ショッピング番組の呑気な笑い声が聞こえた。
みく子の心音と、声も。

「……アルビノ、知ってる?」

みく子は細い糸を切った瞬間のような、小さな声で言った。
アルビノ? よく解らないが、遺伝情報が欠落して、生物の色が白くなる事、だったか。
昔、水族館で見た水棲生物が、確かそれだった気がする。
みく子の心臓が、大きく鳴るのを感じた。

「欠落した遺伝情報がアルビノなら……。
 欠落したアルビノは、一体何と呼ぶのかしらね」

みく子は言って、そのまま僕は、目を閉じた。

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一日目:蜜編 現在 04話

正直言って、もう逃げ出したい。
みく子が何を言ってるのかサッパリ解らないし、さっきからずっと胃が痛い。
世界が僕の知らないところで、勝手に動いている感覚だ。世界は僕の知らないところで勝手に冷蔵庫を開け、麦茶を飲み、玉子を二つ取り出してスクランブル・エッグを作っている。僕はと言えば傍観者にさえなれず、主人公にもなれず、成り行きを眺めながら虎視眈々と、生き延びる手段だけ見極めている。DNAを変質させながら、数多の生物が進化してきたように。


【M線上のアリア】 現在/04


一年前に『呑処 お松』のバイトを辞めてから、僕がほとんど引き篭もり同然に暮らしてきた事と同じように、世界が僕とみく子の二人だけで語られるような単純な構造なら良かったのに、と思った。ところが恐らく、きっと世界は僕の思い通りにはいかず、時計の秒針があと何回転かすれば、みく子はこの部屋を出ていくだろう。複雑に絡み合う世界に足を踏み込むだろう。この秒針と同じように、音も立てずに。

ああ、僕が今、此処でみく子を手放さない限り、みく子はこの部屋から出られない。複雑な世界に足を踏み込む必要も無く、僕が世界に取り残される事も無い。なのに、みく子は今、この部屋を出ようとしている。何の為に? 大学の友達と、ナントカ教授に会いに行く為に。変わってしまう事を恐れる、みく子自身の為に。僕には彼女を止める術など無く、言葉さえも無く、秒針だけが、ああ、もう、また一回転した。

「……欠落したアルビノ?」

みく子の胸に抱かれたまま、最初に出てきた台詞がコレなんて、あまりにも芸が無かった。だけれど真っ当な疑問であるし、このまま投げ出しておく訳にもいかなかった。みく子の胸に埋めたままの顔を上方にずらすと、僕はゆっくり彼女を見上げた。彼女は窓の外を見ていた。

「そうよ、アルビノ、欠落してしまった」

英文を直訳したような日本語で、彼女は言った。
僕は知識を掘り返した。遺伝情報が欠落し、先天的にメラニンが欠乏している遺伝子疾患。アルビノ。ところが彼女の言葉は「それさえも欠落している」という事実を表していた。欠落したアルビノ。それは既に、生物のそれでは無い。ワイドショーから呑気な笑い声が消え、イカガワシイ現役教師の性犯罪のニュースが流れている。僕は抱かれたままの体勢から、床の上に転がっているリモコンに手を伸ばし、指先だけでテレ・ビジョンの電源を消した。無音。

「……みく子、一体どういう事なのか、詳しく聞か、」
「あのね!もしもね、」

僕が意を決して発した言葉に被せるように、みく子が声を出した。僕の言葉を、わざと遮る為に発したような声だった。それとも形にならない言葉が、僕の発した声に押されて、思わず零れてしまったような性急な声だった。みく子が小さく震えているのが、よく解った。

「もしもね、もしも、もしもね……」
「……何?」
「もしもね、蜜クン、もしもアタシが人間じゃなかったら、どうする?」

冗談、では無い口調。それから今までの会話の流れにそぐわない発言。思い詰めたまま逃げ場の無くなった、彼女の表情。馬鹿にでも解る。それはそのまま、それを表している。何を表しているかは言いたくない。事実を受け入れるには、まだ早い。だって次の発言、僕はなんと言えば良い? 笑いながら「またまたぁ」とでも言えば良い?そんな訳は無い。

「みく子はみく子だ」

面白くない台詞が出てきてしまった。
みく子、僕は過去に戻って欲しい訳じゃないんだ。
みく子、僕は変わらないで欲しいって願う。
大切なのは過去なんかじゃない。
維持する今なんだ。

「アタシね、蜜クン、何者でも無いのよ」
「みく子はみく子だ」
「アタシね、蜜クン、失敗したバイオロイドなの」

嗚呼、全ては無音だ。
だけれど、みく子の心音だけは聞こえる。
彼女の中を、血管が通り抜け、血液が走り抜けている。
今だって温かな血が流れている、はずだ。

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一日目:蜜編 現在 05話

心音は風のようだ。
ある瞬間に気付く事はあるけれど、それ以外のほとんどの瞬間には気付かない。それは絶えず流れ続けて誰かのフとした仕草に(例えば彼女が前髪に触れる仕草に)反応するように、熱を持って波立つのだけれど、それ以外の時間には静かに、本当に静か過ぎるくらい静かに、只、流れる為だけに流れている。

そして流れる為だけに、流れている。


【M線上のアリア】 現在/05


みく子の鼓動は一分間に何回波打つだろう。僕は暫しの間、それだけを考えた。それ以外の事は何も考えたくなかった。考えようがない事柄を考えるのは苦痛と恐怖にしかなりえない。バイオロイド。SF的な響きだ。九割方、冗談のような単語。心音。何回目だ? 考えたくない。

部屋は静かすぎる。何か言ってくれ、みく子。いや、何も言わないでくれ。それは恐らく核心的な単語なんだろう。その単語以上に、もしも僕に真実を伝えてくれる単語があるのだとしたら、それは嘘だ。嘘だと言って欲しい。いや、それも嘘だ。心音。何回目だ? 考えたくない。

「……ビックリ、した?」

耳元に風を感じて、それがみく子の発した声だと解った。みく子は僕を抱いたまま、耳元に顔を近付けて、蝶でも捕まえる瞬間のように、柔らかな声で言った。本当はそんな声で話す余裕なんてないだろう、みく子。どうして労わる余裕があるんだ? 労わらなければならないのは僕の方だ。僕は胸に顔を埋めたまま、小さく頷いた。ビックリ、したからだ。

「アタシね、蜜クン、人間と同じなのよ。
ううん、ごめんね、人間よ。食べないとお腹は空くし、寝てないと眠たくなるし、選挙権だって持ってるし、毎週好きなドラマを見てるし、油断してたら風邪ひくし、走ったら苦しくなる」

みく子は細い糸の上を歩くように、両手でバランスを保っているように話した。僕はみく子の振動を感じながら、只、ひたすらに、その声と心音を重ねていた。みんなと同じはずのみく子。

「だからね、好きな人が困ってると、アタシも困っちゃうの」

そう言うと、みく子は小さく(本当に小さく)笑った。
笑いながら僕の髪の毛に触れて、何本かを摘まむと、その毛先で何度か円を描いた。
みく子が円を描く回数を数える。一回。二回。それから心音。三回。四回。変化する事はないのかな? 何処かで見た光景だ。横断歩道。青信号。点滅。五回。六回。七回。八回。

「赤信号になったら、どうなっちゃうんだろう」

「え?」

意味不明の台詞が、僕の口から零れた。みく子は回転する手を止めて、僕の髪を元の位置に戻した。それから数秒間、無言になった。再びみく子が口を開いた時、僕はみく子の心音を数えるのを止めていた。みく子は僕の両脇を手で抱え、僕の体を起こすと、僕の目を真っ直ぐに見て、教科書の文法を教え聞かせるように、こう言った。

「何度でも待つのよ、青信号を」

「赤信号になる度に青信号を?」

「そしてまた何度でも数えるの」

「何の為に……?」

僕が訊ねると、彼女は楽しそうに笑った。
まるで悪戯を思い付いた、小悪魔のような笑い方だった。
遠くに見えるビルの影がココまで伸びて、僕の影に覆い被さっていた。

「そうすれば、お腹が空くからよ」

みく子が自然と笑ったので、僕も笑った。笑っていると涙が零れてしまった。だけれどそれも、きっと自然な事だった。失敗したバイオロイド? よく解らないな。この部屋を出て欲しくないな、みく子。だけれどあと数回、彼女の心臓が脈を打った後、彼女は部屋を出ていくだろう。

よく解らないけれど、解った事がある。みく子は変わろうとしている。恐怖を覚える程に変わり往く自分を、覚悟を求める程に壊れ往く自分を、更に別の方向に変えようとしている。流れに逆らおうとしている。それは風だ。風を感じる瞬間だ。平坦な道に生まれた突起を殴る空気だ。欠落した血液を取り戻す行為だ。よく解らないが、そんな気がするんだ。

「蜜クン、アタシ人間? それとも機械?
アタシ、人間と同じよ、好きな人がいて、嫌いな人がいて、普通な人もいて、
好きな人に囲まれて生きていられたら良いな、なんて思って、安心して眠るの。
あのね、人間と機械を分ける、大きな違いが一つだけあるの、解る?」

その台詞を、みく子は、僕がよく知るみく子のように、快活な口調で話した。
僕は何も答えなかった。答えられなかった。首を動かす事もしなかった。みく子を見ていた。

「その、たった一つの大きな違いだけがね、アタシ、無いの」

言った瞬間、みく子は笑った。
何度も見た、あの笑い方で、わざと照れるように笑った。
わざと照れるように笑った後で、みく子の目から音も立てずに涙が零れた。

みく子は静かに泣いた。
それは数分前に、喚くように泣いたみく子の涙とは、まるで別の涙だった。
みく子が音も立てずに泣いたから、僕も音も立てずに泣いた。きっと、もうどうしようもない。
どうしようもない何かの代償として、僕等は唇付けをした。

情けないけれど、泣きながら唇付けをした。
僕らが今まで共に過ごした時間の中で、きっと、恐らく、多分、一番長い唇付けをした。
この唇を離したら、みく子は此処から居なくなるだろう。

「教授にね、会うの……どんな手段を使ってもよ。
 誰かを騙し、欺き、愛想笑いを垂れ流すとしてもよ……絶対に会うの」

唇を離した瞬間、みく子は小さく言った。
この部屋の扉を開けた瞬間から、みく子は世界に嘘を吐くだろう。
生き延びる為に演じ、生き延びる為に泣き、生き延びる為に笑い、世界に抱かれるだろう。

「じゃ、行くわね」

最期にそう言って、みく子は扉を開け、僕の部屋を出た。
僕は目を閉じて、今、この瞬間から、青信号を待ち続ける事にした。
扉が閉まる瞬間、本当に最期の瞬間、みく子の(白いコスモスのような)指先が見えた。

それが僕が見た、最期のみく子の色だった。

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一日目:ロシュ編 01話

十月に入り、長い夏休みが終わった。
キャンパスに戻ると、履修のとり方の情報や学園祭の話があちこちで飛び交っている。
オレは、九月末に世界的に有名なノートン教授と出会い、セキュリティーについての特講のため、しばらく離れていたので、キャンパスに来るのは、かなり久しぶりという気がした。

キャンパス内でミクに何週間かぶりに会った。
あの元気で、明るく、オレンジ色の似合う以前のミクとは違い真っ白で病的な印象になっていた。

「よぉ、ミク!久しぶり!」
「あ、ロシュ…」

「何か、カンジ変わったよな。どうした?」
「う、うん…ちょっとね。」
やはり、元気がない様子。

「何かあった?」
「実はね。自分でも分からないの。いつの間にか自然にこうなっちゃったんだ。最近やっと自分でも慣れてきたんだけど、やっぱ変?」

「変って言うか、びっくりしたって言うか…。で、彼氏はなんて言ってんの?」
「彼氏に見せたら、『僕はみく子が大好きだけど、勝手に変な風にしてくるところは嫌いだ。どうして一言、相談してくれなかったんだ。嫌いになった訳じゃなくて、そういうところがイライラする』って言われて、すごく不安。」

「そうか…彼氏が言ってる事も確かに言えてるかもね」
「ゴメンね。」

瞳に涙を浮かべ、うつむき加減の表情したミクが、ちょっと愛おしかった。

「いや、謝ることないんだけどさ。何か出来る事あったら言ってよ。」
「うん。ありがとう。」

ミクは、中途半端な笑みを浮かべた。

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一日目:ロシュ編 02話

今日の講義が終わり、三時ごろ家に着いた。

オレは、週に三回ほど家庭教師のバイトをしているのだが、今日はバイトもなく、これといって特別な予定がない。
やらなければならないことと言えば、十月末までにノートン教授に提出する特講のレポートを仕上げることぐらいか。
パソコンを開いて、ノートン教授からもらった資料を開き、書きかけの課題の続きに取り組もうかとしていた。


しかし…
どうしても、キャンパスで見たミクの中途半端な笑みが忘れられない。
オレに見せたミクの初めての複雑な表情だった。

ミクとは、大学1回生の夏休みに自動車学校で出会った。
隣同士の席なったことがきっかけで親しくなり、やがて付き合うようになった。

オレの免許に載っている取得日付はミクと同じだ。
オレが先に教習を終えたのだが、ミクが終わるのを待って一緒に免許を取りに行った。
免許が取れた日は、一緒にお祝いをした。

でも、それは過去の話。
その年の12月には、ちょっとしたトラブルがあり、結局別れてしまった。
(そもそもはオレの浮気がトラブルの元なのだが…)

恋人としては別れたのだが、友達としての連絡は時々取り合っていた。
傍から見ると、奇妙な関係かもしれない。

今、ミクは彼氏がいるらしいが、どこの誰なのかは知らない。
わざわざミクの口から、彼氏の名前なんて聞きたくなかったし、敢えてそんな事を言わせる必要もないと思っていたし。


ふと気がつくと、オレは、開きっぱなしのパソコンを前に、コーヒーカップを片手しながら、ミクの事ばかり考えていた。


ダメだ。
どうも集中できない。


コーヒーカップを携帯に持ち替え、ミクに電話してみる。

「プルル…プルル…プルル…プルル……」

出ないのか?


「もしもし…」
ミクが電話に出た。

「もしもし、ミク? いや、大した用事じゃないんだけどね」
オレは何気ない素振りで切り出した。

電話の向こうテレビの音が聞こえる。
テレビショッピングの無駄に陽気なテーマソングが流れている。
ワイドショーか何かを見ていたのか?

「うん…」
ミクが何かに気をとられているような声のトーンの返事だ。

直感的に何か電話をしてはいけない瞬間に電話をしてしまった気がした。
「あ!今、電話大丈夫?」

「う、うん…」
とミクが答えたが、電話口の向こう側から

「― みく子?」 
とミクを呼ぶ男の声が聞こえた気がした。
いや、正確には聞こえた。

「今、マズいみたいだね」
オレはそう言って電話を切った。
電話を切った後、さらにオレの頭の中はミクの事でいっぱいになった。

「プルルルルル…」
今度は、オレの電話が鳴った。
彼女のエリカからだ。

「ねぇーロシュ。今日バイト休みって言ってたよね。ドライブに連れてってよ。」
「ああ… んんっと… そうだな… 分かった、いいよ。行こうか」

どうせ家の中に一人で居ても考え事で息詰まるだけだし、明日、学校へ行けば、ミクと同じ履修もあるし、ミクとは明日会った時にゆっくり話せばいいか。


オレは、エリカとドライブに行くことにした。

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一日目:アリエス編 01話

僕は真面目に研究するタイプじゃない。
とりあえず卒業できればいいんじゃないかとも思ってる。
だから迷うこともなく談笑しているグループに交じることにした。

グループのメンツっていうのはだいたい傾向が似る。
つまり、ココにいるやつらは僕と同じように夏休みを満喫してきたタイプなのだ。
大学生活も残り半年だというのに。
いや、残り半年だからか。
働き始めたら遊べないじゃないか。
そんな考えがまず頭の中心を担っている。
内定が決まっているからいいものを卒業できなかったらなんて考えないのが素晴らしい。
(もちろん僕もだが)

「そういえばさぁ。
 あの一番奥に座ってる子誰?あんな子、ココにいたか?」
そう僕は尋ねた。
「あぁ、みく子ちゃんらしいよ。」
「らしい?」
「俺も最初は誰かと思ったんだよ。
 そんで始めましてって声かけたらみく子ちゃんでさ。」
「詳しいことは聞いてないけど、夏休み明けて別人って感じ。」
「まじめだったけど、前以上って感じだな。」
「たしかに。」
「そういえばさぁ、やっと箱買ったんだけど・・・。」
悠太が次のネタをふった。

結局のところ
奥に座ってる子がみく子ちゃんだということしかわからなかった。
ただ
夏休み明けだというのにあの白さはおかしいと思う。
個人的には軽く焼けてるくらいが健康的でいいと思うのだが。
彼氏とうまくいってないのかな。
いや、関係ないか・・・。

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