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六日目:ロシュ編 34話

滲んだ視界の先では、ライブの片付けをしている。
そして、片付け終わったミクが渾身の力を振り絞るかのように立ち上がって、ふらふらと歩き出す。

オレは涙を拭い
「ミク!」
と呼んだが

ミクは
「さよなら… ロシュ。来ないでね。私、行かなきゃなんないの」
と口元だけに微笑みを浮かべて言った。

エリカに会釈して、人気のない路地の奥へ…

そして闇の中へミクのオレンジ色の髪は消えていった。


オレは追わなかった。
追ってはいけない気がしたから。

「さよなら… ミク…」



「あ!」
オレ達のちょうど真上の空を見上げてエリカが突然言った。

何か空から降りて来るのだろうか?
空からゆっくり綿毛の様に降りてくる小さな小さな何かを目で追っているみたいだ。

エリカが胸の前に自分の両手の平を静かに出した。

やがて何かを目で追っていたエリカの視線が手の平に移る…

その何かを手の平で受け止めたようだ。

そして、何かが乗っているだろうその両手の平を見つめ
手の平を静かに優しく閉じて、目を閉じて微笑んだ。

「…ん?」
エリカがお腹を押さえた。

「どうした?」
とオレがエリカに聞くと
「んん。何でもない」
と言ったエリカは、改めてオレを見て
「… かも?」
何故かちょっと微笑みながら言った。

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六日目:ロシュ編 33話

?♪

13曲目が終わって、ミクはペットボトルに手を伸ばし、水を飲んだ。

「ふーう。」
と深呼吸をして
「次で、最後の曲です」

周囲にざわめきと拍手が起こる。

ちょっと困惑気味のみく子は
「今日、私が本当に聴いて欲しいのは、この歌です。
 曲名は…」

「アリア!」

ミクは曲名を、上を向いて力いっぱいに言った。


そして、静かにギターの弦に、みく子の指が触れる。

ギターの音色が路地に響く…

やがて最後の歌声が路地に響く…


♪?


静かに静かに、路地の上に見える星が瞬く夜空に溶けていく…


♪?


そして、包み込むような優しい、でも力強い声…


♪?


やがて、その声にみんなが魅了され、みんな微笑んでいる…


? ? ?♪


歌い終え、ミクが一言
「どうもありがとう。みんな、ありがとう。」


みんな、ミクの歌で胸いっぱいになった。

拍手が起こった…

まだ続いている…


感極まって、泣いている人もいる…


エリカも拍手しながら、泣いている…

オレも拍手しながら、泣いている…


ギターをケース片付けている
ミクも泣いている…


アリア… G線上のアリア… G線だけで弾ける曲…
G線で出る音が繋がって、線になってハーモニーを生む曲。

ミクのライブにみんなが集まって、感動という線上で繋がった。



路地の街灯のオレンジ色のやわらかな光が涙で滲んだ。

ミクのオレンジ色の髪も涙で滲んでぼやけて見えた。

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六日目:蓮火編 14話

「   」

みく子は曲名を、空に向かって言い放った。
アコースティックギターに、みく子の指が触れる。
今日、最後の 。
歌声が、路地の空に溶けていく。

みく子の姿は、未だアバンギャルドなパーマで、肌は   白いままだ。
俺の叫びの甲斐は、やっぱ 無かったのかも知れない。

でも、今、空に溶けていく声。
それは、最初にみく子の肩を掴んだ夜の、あの攻撃的な声では無かった。
オレンジ色の髪の毛を揺らしていた時の声とも違う。
何ていうか、もっと、悟ってるっていうか、大きく皆を包むような。
例えば、それは人に合わせて色を変えてしまうような。

「なんか、すごいね。」

横に並んできて、ちぃたんがそう言った。

「生まれ変わった。」

俺がボソっとそう言うと、今度はミナミが並んできてこう言った。

「リニューアルしたっちゅー事か?」

その言葉を聞いて、俺は笑った。
正にその通りだ。

なんだ、結局、本質は変わらない だな。

みく子の歌 は、やっぱり周りを優しく包み込んでいる。

「変わる事は、悪い事なのか ?」

変わらないものは、きっとあるんだろう。

「  同じように歌えるかなぁ。」

ちょっと変わったけど、前よりもっと凄い声で歌えてる。

「へへっ。」

俺は、いつの間にか微笑んでいた。

最後の歌は、程なく終了した。

「どうもありがと 。」

そのみく子の言葉を聞いて、僕は振り返り、歩き出した。

「お、おい。最後に挨拶くらいしていかんの?」

ミナミとちぃたんが、そう言って俺の後を付いてきた。

「いいんだ。もう、俺、胸いっぱいだから!
 じゃ、またな。」

ミナミとちぃたんと別れ、家路に着いた。
路地から出て、人気の無い道路へ。

今回のみく子に関して、兄貴に随分協力してもらったな。
今度呑む時は、俺が奢ろう。バイト代が入ったら。

そういえば兄貴、俺が小学校ニ年生になるまでは、俺のほうが出来なかったのに。
何で立場が逆転したんだろう。

黒猫が、前方から歩いてくる。
今は何だか気分がいい。
微笑みながら黒猫を眺める。
黒猫と、目が合った。

「変  事は、 い なのかな?」

みく子の言葉を思い出す。

「悪い事じゃない。その存在意義さえ、見失わなければ。」

すれ違い、俺はまた前方を向いて歩き始めた。
その時、正に前方を向いた瞬間。

俺の後頭部に、手の感触があった。

「そ?さ。変わる事は悪い事じゃないんだよ?蓮火くん。」

「…誰だ?」

体が、動かない。

「誰だ、とはつれないな。もう十五年の付き合いじゃないか。」

「何を言っている?」

暗い海の底から、話しかけてくるような声。

「まぁ、お前は契約時の年齢が低かったからな。
 願いが漠然として大きすぎた。
 こちらも、願い相応のリスクを君に課した訳だが…。
 俺の事を忘れているのも、それは契約だ。
 ただ、俺に関しての記憶は、無くなるでなく、忘れる、だ。
 思い出せるだろう?」

「契約?金なら無いぞ!」

「余りに美味しそうなので、先に味見させて貰ったよ。
 だが、まだあの願いの分だけの報酬を得ていないのだよ。
 君が願いを叶える為に支払う記憶は、分割払いだからね。」

思い出した!

「そうか、お前は、あ!あく!まぁあ゛」

「イエス、お前達が求める限り、俺はその名で呼ばれるのさ。
 それじゃあ、いただきます。」

みく子、一つだけ言い忘れてた。

例えば、何の行動もせずに、何もかも上手くいくと思う事。
ただ、文句だけを垂れ流しながら、良い方向に変われと願う事。

それは、きっと悪い事だ。

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六日目:タイキ編 07話

「石橋を叩いて渡るって言葉がぴったりな性格だ。」
「良い意味で慎重、でも君には消極的って意味が正しいね。」
そんな事を言われ続けた僕のコンプレックスなど、弟は気にも留めてないのだろう。

そういえば子供の頃。何でも器用に出来たのは僕の方だったっけ。

今日は同じ場所へ色々な人を運んだ。なんなんだあの路地は。

流石に疲れて、大通りのバス停に車を止め、休んでいた。何処へ行っても、何故か行き先がこの近くの路地だった。
この前の斉藤さん宅のパーティーの時に乗って頂いた、あのセクシービューティーも今日、その客の一人だったっけ。

僕は一本目の煙草に火を灯けた。
煙草を吸いながら、弟からの電話の事を考えていた。

「みく子のライブかぁ。」

会社を辞めた理由が、バイトで入った弟と比べられたくないからだった。
そう、大昔、僕が小学校四年で、弟が小学校ニ年だった頃。
あの頃は僕の方が何でも出来た。
いつも泣いていた弟を、僕が元気付けてあげたもんだ。

次の学年に進級した頃、弟は確かこう言った。

「僕、お兄ちゃんになりたい。
 そしたら、何でも出来るようになるよね?
 思い切って、行動出来るようになるよね?
 神様に、お願いしていいかなぁ。」

何で今思い出すかは解らないけど、たまに昔をこうやって振り返ってしまう。
可愛かったなぁ。それが今や、立場が逆みたいだ。

あの問いに、僕は無責任に「うん。そうすればいいよ。」って答えた。
いつの間にか可愛げが無くなっていったっけ。
そういえば、その後に弟が更に続けたっけな。

「そしたら、僕が居なくなっちゃう。
 お母さん、悲しむかな。」

「じゃぁ俺がお前になるから大丈夫だ。」

「せいかくこうかんだねー♪」

嬉しそうな弟を見て、安心したのを憶えている。
なんか、子供らしい可愛いやり取りだったような気がするな。

「変わる事が、悪い事かどうか、か。」

僕が妥協して、弟は努力して、その結果が今なのだろう。
努力して変わった弟が、変わってしまって泣いていたみく子を放っておけなかったんだろうな。
だから、変わらずに小さくなっていった僕は、みく子に興味がないのかも知れない。

「あいつ、みく子の歌聴けたかな。」

自分達に対する小さな結論を出すと、煙草の煙を吐き出した。

「いい結果、出てるといいな。」

煙草の煙が空気に溶けて消えていくのを見ながら、窓を開けた。
人と一緒に、黒猫が歩道を歩いていて、タクシーの横で立ち止まった。

その時、歌声が聴こえた。

空に、響いて溶ける声。

弟から聞いていたイメージだけ、だが、オレンジ色の髪の毛を揺らすみく子の声とは少し違う気がする。
何ていうか、もっと、悟ってるっていうか、そのイメージより大きく皆を包むような。
例えば、それは人に合わせて色を変えてしまうような。

「これ、もしかしてみく子の声なのか?」

「ニャー…」

猫に返事をされた。
その歌声を聴きながら、僕はニ本目の煙草に火を灯けた。

「…この歌声なら、大丈夫そうだな。」

「ニャー…」

またも猫に返事をされた。

「変われる事は、きっと素晴らしいんだよな。」

同時に携帯電話が鳴った。

「はい。あぁ、常務。
 バニーテレフォン?忘れて下さいよそれ。
 え?今日も交代の人来ないんですか?
 台風の影響?もうその人クビにしましょうよ。」

弟よ、僕が今からまた、あの頃みたいに、お前の目標になれるように、努力するのはいい事だろうか。

「残業?う?ん。」

変わっていこう。努力して、何でも出来る人間に。

「やります。やりますよ。」

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六日目:しのめん編 44話




モノクロに映る世界が流れていく。





すぐに見慣れた景色では無くなった。
ほんの少し前に稲刈りで帰った時は、こんな空っぽな気持ちにはならなかったのに、今日は全部なくなってしまうようだ。
だけど別に嫌な感覚じゃない。


生まれつき僕は色が見えない。
だけど僕は色が見えないからと、見えていたものまで見過ごしてきたんじゃないだろうか?
見えているのに見ようとしていなかったんじゃないだろうか?

どこかで自分を哀れに思われたかったのかもしれない。
そうすることで「しょうがない」という理由にしていたんだろう。


変わっている自分が嫌いなくせに
変わっていることを理由にしていた。


僕は実家から逃げたんじゃない。
僕は自分の現実から逃げた。
受け入れることが出来なかった。



大学ノートを開く。
自分の目の秘密、様々な思い出を確かめるように眺める。



景色は相変わらずモノクロに流れていく。
だけど三年半前にみた景色よりも何倍にも綺麗に見えた。
僕は今日からまた僕を始めよう。



「ただいま」

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六日目:なつめ編 06話

「次はデュエットでいきまっす♪」

そう言ったみく子の目線の先にはギターを持った女の人が居た。ストリート仲間なのかな。
アイコンタクトしているみたいだけど…みく子には負けたみたいだ。ギターを抱えて、みく子の隣へ座った。
少し言葉を交わして、ゆっくりとギターを弾き始める…

「秋空の向う」
並んだ二人のギターから出てくる音はいつもより厚みがあってすごくいい。声の重なりもキレイなメロディに乗っかって流れてゆく。
情景の浮かぶ、透き通ったそれでいてあったかな歌だった。歌い終えた女の人はみく子とハイタッチしてさらっとその場を去った。かっこよいなー。

その後もみく子は歌い続けた。
「バニラ・フィッシュ」
歌い終えた後、マックスの紙袋を渡した子がいた。みく子喜びすぎっ。マックスの子…あのポスター貼ってあったお店の子かな。
ちょこっと喉を潤した後、みく子はそっと言った。

「次で、最後の曲です」
もう…なのか。早いような気がした。
13曲も歌ったというのに。なぜなんだろう。

「今日、私が本当に聞いて欲しいのは、この歌です」
「アリア」

短い曲じゃないはずなのにあっという間だった。さっきよりもっとすごい鳥肌が立った後、また泣きそうになって。いやいやって持ち直して。ちゃんとみく子の歌聞けていたのかな。

「なんか、すごいね」横の方で言っている人がいた。
「生まれ変わった」なんて聞こえてくる。

そうだ。まるで生まれ変わったみたいだ。
それでもみく子はみく子だ。
それだけで十分だと思った。

「どうもありがと」
そっとみく子は呟いた。

歌い終わったみく子にいろんな人が駆け寄っている。
またぼんやりと考え事をしていたらみく子と目が合った。

「なつめぇーお花ありがと」
彼女は一輪私にも耳の脇に差してくれた。

「なつめぇーお疲れ? また聞きにきてよねっ」
「うん…」
なんて言ったけど…いつになるのだろうか。
お花…あげてよかったな。いい事あったなぁ。
お花屋の店長さんと目が合った。にっこり、笑った。

また今度お花屋に買いに行こう。そうして家で飾ろう。
そんなことを考えながら帰った。
みく子の周りにはまだ人がたくさんいた。

透き通った夜空にはたくさんの星が瞬いていた。
あんなにキレイな星だっていつか消えてしまうんだ。
みく子だって、永遠じゃない。

それでも今、みく子は周りに居た人達によって輝き続けている。何がどう変わろうとみく子はみく子だ。避けられない変化ならばせめて受け入れられないだろうか。
なにより不安を感じていたのは他ならぬみく子かもしれないのに。

またいつかいつもの街のどこかでみく子にあえるかな。
変わらない歌をきかせてくれるかな。


道の向こうで黒猫が鳴いている。
実は誰か呼んでいるんだったりしてね。

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六日目:アリエス編 14話

ライブが終わった後
しばらくその場を離れることができなかった。
余韻というかその場の空気に触れていたかったし
何よりみんながその場を
みく子ちゃんと一緒にいることを選んだから。

ライブのことを思い出しながらボーっとしていると
人ごみの中から卵茶が出てきた。
卒業してからだから一年くらい会ってないことになる。
職場の様子や対して変わらない大学の話をした。
久しぶりに会ったからといって実のある話をしないところがこの先輩のいいところ。
「またな」
そう言ってまた人ごみの中に戻っていった。

卵茶の姿が見えなくなったのを確認して広場を後にする。
後ろではみく子ちゃんの声が聞こえた。
きっとみく子ちゃんが何かを始めたんだろうけど
自分には他にすることがある気がしたんだ。

数日後。
教授の言っていた「笠原さん、うちの研究室から居なくなっちゃうかもね。」は現実のものとなろうとしていた。
元々人の出入りがいいとは言いがたい研究室だけど
みく子ちゃんの机からは完全にモノが無くなっていた。

誰もみく子ちゃんがそこに居たなんて話をしなかった。
初めから何もなかったかのように。
それがなんか寂しい気がした。
確かにバラバラだったけど
同じ場所に居たはずなんだから。
「そういえばさぁ」
悠太に話しかける。
まずはこの部屋にいる人と人を紡ぐことから始めよう。

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六日目:黒編 15話

【NET】から何曲が終わっただろうか

みく子が何曲目かを唄い終わると

ペットボトルに手を伸ばし

喉を潤した。


「ふーう。」

と深呼吸をして

「次で、最後の曲です。

 今日、私が本当に聴いて欲しいのは、この歌です。
 曲名は…

 【アリア】」


ミク子は曲名を、空に向って力いっぱいに言い放った。

静かにギターの弦に、みく子の指が触れる。


やがて、ギターの音とみく子の声が一つの音になり

会場に響き渡った。


その音は

会場の人という人

すべてを繋ぎ

一つの世界をつくり

その音で、僕らを優しく包み込んだ。


周りは何人か涙する者もいた。


僕も泣いていた。


みく子は唄い終えると

「どうもありがとう。みんな、ありがとう。」

皆に感謝の言葉を言った。



その後、皆から拍手喝采だった。



僕も涙を拭くことを忘れ

ただただ拍手をしていた。


長いようで短かった

ライブが終わった。




ライブの日を境に、みく子はネット上に顔を出さなくなった。


みく子を通じて

僕らは一つに繋がった。


みく子は、僕らを繋げる為に存在したのだと思えた


そんな気がした。

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六日目:奏湖編 16話

静かに曲が終わる。


私は目をいっぱいに開きながらフィッシュ・バーガーとバニラ・シェイクが入った紙袋をみく子さんに渡す。

出来るだけ下は向かないように、瞬きをしないように。

紙袋を渡すと、いつもみたいにみく子さんは目を輝かす。

「ホントいつも、ありがとうね、カナちゃん」

不意に私の目から、涙がこぼれた。


あれ、なんで泣いてるんだろう、私。

でも何故かもう、みく子さんには会えないような気がした。

私の憧れている、みく子さん。



私は何も言えずに、震える口元を押さえて人垣の後方へ下がった。

「次で、最後の曲です。」

残念そうな「えー?」という声と、拍手。

「今日、私が本当に聴いて欲しいのは、この歌です。
 曲名は…」


涙を拭い、みく子さんの方へ向き直ると、最後のコール。



「アリア」



空に伸び行く音―――

力強いのに儚くて、いっそう胸を締め付けられる。
漂う花の香りと夜気が、生まれる音を遠くまで運んでいく。



もう、みく子さんとは会えないんだろう。
それはどこか確信めいた予感で。


彼女に憧れ、何か自分にはないものかと探し回って、やっと思えたこと。

私は、私の心が見つけた風景を写真に残したい。


鞄から、いつも使っているカメラを取り出す。

そして最後の曲を歌うみく子さんに、静かにシャッターを切る。



たった一枚。

その写真は、私のアルバムの最後に貼られている。

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六日目:卵茶編 17話

終わりの始まり。

「次で、最後の曲です。」
残念そうな「え??」という声と、拍手。
「今日、私が本当に聴いて欲しいのは、この歌です。曲名は…」

少しの間。
沈黙が支配し、みく子がため息のように言葉を吐いた。

「『アリア』。」

終わりの始まりの、終わり。

終わりの終わりへと。

向かう物語。



???



もしも今

私が消えたとしたら

あなたは隣にいる人と

手を取って

泣くのでしょう

でもやがて

悲しみは薄れ

涙は乾き

より固く手は繋がれて

いつの日か

キスをするの

私はそれを見て

きっとまた歌いだす



あなたに感謝を

あなたの大切な人に感謝を

あなたが大切な人に出会えたこの世界に感謝を

今ここに居る

あなたに愛を



???



ふいに風が強くなり、みく子の歌声が聴こえなくなる。
焦って振り返りみく子を見る。











あぁ、そうか、この光景だ。

涙が零れる。

その時俺が見たものは。

街灯に照らされ、オレンジ色のみく子の後ろ姿。
ギターを弾き、歌う後ろ姿。
揺れるアバンギャルド。
残像。

その先に。

涙を流す人。
眼を閉じ聞き入る人。
見とれるように眺める人。
横に居る相手と寄り添う人。
…みく子のような笑顔を浮かべる人。

みく子の奥にいつも見えていた光景。

みく子を形作っていたモノ。

飯屋で志津さんが重なって見えたときや、デュエットをしているとき。
それだけじゃない、いつも見えていた。
透明感のある歌声。
その先で、様々に移り変わる色と感情。
みく子の中に写し取られた人々。

みく子と出会ったこと。
みく子に会うこと。
みく子と話すこと。
それらはまるで、みく子の中に“自分”を書き込むような行為で。

だからこそ。

だからこそ、誰もがみく子の周りに集まる。
誰かを投影し、自分を投影し。
誰かに逢い、自分を見つめる。

だからこそ、誰もがまたみく子に会いに行く。

そして今。

みく子を通じて、これだけの人数が、この場所に集まった。



涙は、気付かない内に止まっていた。

風も、止まっていた。

ここに来て良かったと、やっと思えた。

最後のフレーズが、耳に届く。強く心を揺らす。


?私が出逢えた、全てに愛を
?あなたの紡いだ糸が、今ここで交わるの


みく子の顔は見えないが、泣いているのかもしれない。
14曲も歌って疲れているのかもしれない。
冷たい空気に、喉が限界なのかもしれない。

誰か気付いただろうか?





みく子の声は少しだけ。
震えていた、気がする。





心を揺らす。
心が揺れる。
髪が揺れる。
髪が停まる。
曲が停まる。
曲が終わる。

暗がりから拍手を送る。

いや、俺もあそこへ行こう。
あそこへ行って良いんだ。

みく子の近くへ。
みんなの横へ。
誰かの前へ。

行こう。

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