ロシュ編
蜜編
サク編
蓮火編
アリエス編
黒編
しのめん編
奏湖編
ちこ編
志津編
タイキ編
ゆん編
なつめ編
卵茶編
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
■ロシュ
みく子の元カレ。
二枚目、頭脳明晰、スポーツ万能で浮気者。
みく子と別れてエリカと付き合いながらも、みく子に未練がある人。
■蜜
みく子の現彼氏。
みく子のアバンギャルドなパーマを見て怒った。
世界を救いたいと思ってる人。
■サク
みく子の初恋の人。
みく子のことだけを考えながらも、人生に絶望してる。
悪魔と契約なんかしちゃってる人。
■蓮火
みく子の知り合い。
路上ライブで知り合い、アバンギャルドなパーマを見て
「とりあえず、そのパーマだけは直せよ!」と路上で叫ぶ人。
■アリエス
みく子と同じ研究室の学生。
先輩には卵茶もいる。
教授にいろんな意味で愛されてる人。
■黒
みく子のチャット友達。
るどんとビリヤードしたりもする。
みく子と実際に会ったことはない人。
■しのめん
みく子の友達。
どう見ても二児以上の父親としか思えない老けた大学生。
色の識別が出来ない人。
■奏湖
みく子の元後輩。
大通りにある24時間営業のマックス・ドックスの元気な店員さん。
みく子のライブポスターをそこら中に貼りつけた人。
■ちこ
みく子のストリート友達。
みく子と同じようにストリートで歌ってる。
昼は喫茶店、夜はダイニングバーじゅごんで働いている人。
■志津
みく子の友達。
「ふろーら・しょうだ」でバイトしてる。
落研で「るど」と漫才コンビを組んでる人。
■タイキ
蓮火の兄。
タクシードライバーをしている。
弟の蓮火のことをいつも考えてる人。
■ゆん
みく子の友達。
普段はたまにメールでやりとりしてる。
みく子のライブのポスターを作った人。
■なつめ
みく子の高校の同級生。
高校時代はみく子の生演奏を聴いたりしてた。
現在は立派に社会人をしている人。
■卵茶
みく子のゼミの先輩。
みく子とはよくメールをする仲。
後輩にはアリエスもいるがどちらからも先輩扱いを受けていない人。
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二日目:志津編 01話

記録的な暑さが、突然秋に摩り替わった頃、彼女は大変身していた。
溌溂としたオレンジのストレートヘアが揺れていたのは、つい二、三日前のことだ。

「お志津・・・」

聴きなれた声に振り返って、私は息を呑んだ。

「み、みく子?」

綺麗なストレートヘアは、白っちゃけたパーマで見る影もない。
いや、それよりも、鈴木その子も真っ青の真っ白い顔!

「どうしたの?」

やっとの思いで言葉を引き摺り出してはみたものの、どうかしたと聞いたところで仕方が無いのだけれど。

「別に・・・」

歯切れの悪い返事が返ってくる。

「あの、お志津。私、暫くバイト休むので、店長に伝えて・・・」

はぁ?
おいおい、そんなこと自分で連絡せんかいっ。

「あぁ、そぅ・・・」

心とは裏腹に請け負ってしまった。

みく子は、それだけ言うとペコリと頭を下げて、さっさと行ってしまった。
ぽかんと見送っていると、少し離れた所で待っていた男前の男子と一緒にどこかに行っちゃった。。。

って、おーいっ!

何?あの親しげな雰囲気は?
みく子って、確か蜜くんと付き合ってたよね?
蜜くんも男前だったよね?
でも、さっきの男子は別の人だったわよねぃっ。

なんで、あんな女がモテるのよっ。
鈴木その子も裸足で逃げ出すような、真っ白お化けじゃないのよっ。

これは・・・・・事件かも?
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二日目:志津編 02話

私がバカみたいにみく子と知らない男子の後ろ姿を眺めていると、

「志津さーん!志津さぁーーーーん!」

また、後ろから声がする。
そして振り向いたら、白っちゃけたビックリパーマに真っ白い顔のるどんが・・・・。

あれ?
るどん?

えいっと振り向く。

「あーもー、何回呼ばせるんですかぁ」

てか、走ってこなくていいってば。
ひーはー息を継いでるるどんに周りの目が集まる。
いや、私たち二人に、と言ったほうがいいか。
我が校落研始まって以来の漫才コンビ。
学祭の宣伝で走り回っているから、顔だけは売れてる(はず)。

「どうしたん?」

るどん相手に標準語は要らんわ。

「どうしたん?やなくて。学務課で探してますよ」

「は?」

「学務課で、大河志津を探してます」

「へ?」

「今度は、何やったんですかっ」

「えーっ?!」

なんにもしとらんわっ。

るどんに首根っこ掴まれて学務課へ行くと、田所教授が仁王立ちで待っていた。

「大河」

「はひっ」

「今日、笠原みく子に会ったか?」

「はぇ?」

「会ったのかと訊いてる」

「さっき会いました・・・・・が?」

クソ真面目な田所教授の顔がさらに真面目さを増す。
つまり、怖い。

「様子はどうだった?」

「あの綺麗なオレンジの髪はチリチリになってて、顔は・・・いえ、たぶん全身真っ白けでした」

「そうか」

「みく子がどうかしましたか?」

「この頃、ゼミの講義に出ていないんだ」

あの真面目なみく子が、ゼミの講義に出ていない。
おまけに昼間のバイトも休む?

「あーっ!・・・ちょっと失礼しますっ」

私は慌てて廊下に出ると携帯でバイト先の花屋に電話した。

『はい、ふろーら・しょうだです』

「てんちょ???、志津です???」

『今度は何?』

店長は、半分笑いながらいつもの受け答えをする。

「それ、やめてくださいってば。じゃなくてー、今日はみく子が休むって」

『あ、そう』

全然平気な声に、少しイラッとくる。

「私も行けるかどうか判らないんですけど・・・ぉ・・・」

『なんやとー!なんで二人とも休むんやー!』

やっと普通になった。

「だから、店長一人で店番してね。遅くても良ければ行くけど?」

『判った。今日中やったら来い』

店長の不機嫌な答えに萎えながら電話を切って、学務課の部屋に戻る。
田所教授は学務課の課長となにやらお話中。

「るどん、私ら、帰れそう?」

小声で訊いてみる。

「判らん。るども見たけど、みく子凄かったよねぇ」

「うん。ほんで、蜜くんと違う男子と去って行ったんやし」

「ええーっ!」

「しーっ!しーっ!」

「あ、ごめん。なんで?蜜くんと喧嘩でもしたんかな?」

「さぁ?でも、あの成りやったし、なんかあったと思う」

こそこそ話してると、いきなり田所教授が話しかけてきた。

「二人とも」

「きゃぁっ!」

ビックリしてるどんと手をとりあって叫んでしまった。

「もう、帰っていいぞ」

「はいっ!さいならっ!」

二人で学務課の部屋から転がるようにして出ると、一目散に学務課が入ってる建物を出た。

落研のほうはるどんに任せて、私は花屋へ向かった。
頭の中は、変わり果てたみく子のことで一杯になっていた。

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二日目:志津編 03話

とにかく花屋へ行かなくちゃ。

花屋のバイトは午後から閉店まで。
朝一番に店長が問屋から花をごっそり持って帰って、箱から出してバケツに入れるところまでは済んでいる。
私は、本日入荷の花だけでなく、萎れるまであと三日くらいの花をそれぞれに取り合わせて花束のサンプルを作るのが仕事。
花屋の本当の仕事は、重労働だから出来るだけ店長がやってくれる。
ま、自分の店だし。
オーナーと呼んで、とか言われたときは爆笑してしまったけれど、本当にオーナーなのよね。
でも、「てんちょ?」と呼んであげることにしてる。
みく子も、面白がって「てんちょ??」と呼んでた。
滅茶苦茶忙しくなるときは、相方のるどんも強制的に連れてくるけど、今はそういう時期じゃないし。

大通りから外れて、静かな裏通りに『ふろーら・しょうだ』はちんまりと店を開けている。

って、店の前がいまいち可愛くないじゃないかっ。

「お?はよ?ございま?すっ」

急いで駆け込んで、鞄を置いて前掛けをして、また店の前に走り出たところで躓いた。

「ぅわわわ????っ」

いだい。
こんなところにレンガを一個落としてるのはどいつじゃ??!
店長を叱ってやろうとしたとき、

「大丈夫ですか?」

若い男性の声が。。。。。

あら。。。。。

「あれ?蜜くん・・・」

「あ、なんだ、志津さん」

とたんに大笑いする蜜くんに助け起こされても、あんまり感動的ではないよな。

「こんな所で、なんで?」

変な所で見慣れない人を見たら、やっぱり訊いてみるでしょ。

「これからバイト」

ふぅ?ん。
蜜くん、この近くでバイトしていたのか。

「お志津??」

店長が店の中から呼ぶ声がした。
みく子のことを蜜くんに訊きたかったのにっ。

「じゃ、また」

蜜くんは、あっさりと行ってしまった。
店長のあほ?。

「てんちょ?のあほ?」

そのまま言ってしまった。

「なんや?今頃判ったんかいな。それより、このガーベラ、なんとかしてよ」

オレンジ色のガーベラ。。。
みく子の艶々の髪を思い出した。
それから、今朝見たへんてこパーマと真っ白い肌。

「そやそや、てんちょ、みく子な、今日すんごい変やってん」

「ほうほう。聞いたろやないか」

「みく子て、オレンジ色のサラサラ艶々の髪で、愛想が良くて可愛かったやんか」

「うん、そやからバイトに雇たんや」

「でもな、今朝はオレンジ色が白っぽく見えるくらいのパーマかけててな、顔も鈴木その子もビックリなくらいに真っ白やってん」

「鈴木その子て、お志津、お前年齢詐称しとるやろ」

「やかまし」

「見てないから実感沸かんけど、相当変になってるみたいやなぁ」

「もう、ビックリするで。ほんで、バイト来るの遅れたんは、学務課に呼び出されててんよ。みく子がゼミに出てないからって田所せんせが訊きに来てたみたいやねん」

「ふぅん。どないしたんやろな。みく子は真面目な子ぉやのに。誰かと違て」

「うっさい」

「ほれ見てみぃよ。バイトが店長に『うっさい』言うか?普通。有り得へんやろに」

店長が面白そうに笑った。

笑い事なんか?

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二日目:志津編 04話

みく子のことは気になる。
けど、今日の仕事をやってしまわないと。。。。。

「お志津、これ・・・」

店長がメモを持ってきた。
メモには、明日納品の花束が三十・・・・・?!

「てんちょーーーっ!これはどういうことぉ?!」

店長は半分俯いて上目遣いになってる。

「いつもお花を買うてくれる近所の斉藤さんがな、明日パーティーで使うねん・・・て・・・」

店長は力仕事を厭わない。
花束もアレンジも、サンプルがあれば完璧につくってくれる。
けど、元の案がいまいちなので、それを私が考えたりする。
そして、急ぎの注文をギリギリで請けてしまう。

これが従兄弟でなかったらバイトを辞めてるところだ。

「んもうー、人がええにも程があるわっ。出来るまで帰られへんでっ」

「はい・・・」

どっちが店長だか判らないやり取りをして、花束作成に取り掛かる。
もう外は暮れ色も濃くなってきている。

どれも同じくらいのボリュームにした花束が三十束出来上がって、掃除をして店を閉めているときに、またレンガに引っかかった。

「てんちょー、なんでレンガがこんなところに落ちてるのよ」

「ん?なんでや?」

「え?」

「知らんでぇ?」

店長じゃなかったら誰が置いたのかと、無駄に辺りを見回した時に車が通りかかった。
助手席に乗ってるのはエリカだ。
運転してるのは・・・・・

「エリカ!その人っ!みく子と居った人っ!」

大声で言いながら手を滅茶苦茶に振ってみる。
エリカは気が付いたけれど、普通に手を振って通り過ぎてしまった。
運転してたのは、帰国子女のロシュとかいう男前だった。

帰国子女は、立ち居振る舞いも素敵だし、外国語が出来るし、嫌でもモテる。
異性にだけではなくて、企業にも。
勿論、職種は偏っているけれど。

だけど案外、日本人社会では生きにくい面も持っている。

中学高校辺りを海外で過ごすと、日本人学校だと日本語は教えてくれるけれど、古典を教えないので心の一部が日本人として育たない。

例えば「枕草子」と聞いて「春はあけぼの」と出てこない。
ましてや「春はぼのぼの」など望めない。(望まなくてよろしい)
「祇園精舎の鐘の声」って、どんな声ですか、とか。
「ちょっと小股に挟んだんですけどー」とか。(小耳ね、小耳。股に挟むな)

不完全なアイデンティティを抱えて、彼らは生きていく。

どんな気持ちなんだろうなぁ、と思ったところで、しのめんくんを発見した。
隠れているように見える。

「お志津、帰るぞ?。なんか変な兄ちゃんが居てるから、送ったるわ」

変な兄ちゃんが居てへんかったら送らんつもりやったんかい、店長。。。

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二日目:志津編 05話

すっかり遅くなった。
店長・・・まごちゃんの所為だ。
折角、実家から離れた大学生活なのに、選りに選って従兄弟の近所に住んでる。
ついでに従兄弟の花屋でバイトまでしてる。

何かが間違っている。

しのめんくんという変な兄ちゃんのお陰で、店からアパートまでまごちゃんの車で送ってもらうことになった。
しのめんくんは、何をしてたのかな?
変わってるなぁと思ったことはあったけれど、ストーカーのタイプじゃないと思う。
そもそも、私がストーカーに狙われる筈もないしな。

あ・・・エリカ。。。

そっかー。
しのめんくんは、エリカが好きなのかぁ。

あれ?
みく子が変わる前は、みく子のことをじーっと見ていたのにな。
男心と秋の空っていうもんなー。

エリカを乗せた車を運転していたロシュという帰国子女は、男前だったなぁ。
みく子と一緒に居るときは、顔がよく見えなかったけれど、彼はヨーロッパのどこかと混ざってるな。
比較的南の方かな。
日本人というには濃いし、かといってまるまる外国人でもない。
声も良いに違いない。
そして、揺らぐアイデンティティ、か。

ここまで考えて、ハンドルを握るまごちゃんを見る。

歳の離れた従兄弟。
車の運転をしているときは、男前やなー。
お父さんに似てるな、やっぱり。
能天気なくせに、ちょっと翳のある目をしてる。

「なぁ、まごちゃん」

「ん?」

「アイデンティティが揺らぐて、どんな感じやろ?」

「へ?」

急ブレーキ踏みやがった。

「お志津、熱あるんか?」

真顔で訊くな。

「熱は無いと思うよ。疑問はあるけど」

「アイデンティティか。揺らぐとしんどいやろな」

「やな・・・」

私の住んでるアパートに到着。
私の部屋以外、全部窓が明るい。
みんな居て、起きてるらしい。
いや、るどんは寝てるかもしらん。
起こして、ご飯食べたか訊いてみよう。

「お疲れさん。早よ寝ぇや」

「はぁい」

まごちゃんは私を降ろすと、夜の道路をすっ飛んで行った。

アパートの入り口で蹴躓いて、郵便受けを覗いて(何も入ってない)、のろのろと階段を上がる。

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二日目:志津編 06話

アパートの廊下を歩いていたら、るどんが出てきた。

「あ、起きてる」

「起きてるよ。おかえり」

「どないしたん?」

「どないしたん?じゃなくて、学祭のネタ、どうすんのよ」

「はわわわわ????」

すっかり忘れてたあるよ、るどんちゃん。
でも、今夜はもう無理。
朝からずっと変に頭使ってるから、疲れたようなそうでないような。

「ごめん、ご飯のことは考えられるけど、ネタは無理や?」

「んじゃ、志津さんとこでご飯にしよかっ」

うんうん、そうしようそうしよう。

部屋に入って、ちょっとばたばたしてなんとかマトモなご飯を二人分テーブルに並べた。

「スープはインスタントやで?」

「はい、なんでもいいです」

カップは一応素敵なスープカップ。
ラベンダーの柄がついてる。
私のお気に入り。
しかも、ペアになってるから、るどんの分も困らない。
てか、このお嬢さん、本当にお嬢さんなのに私と一緒に居たから落研に引き摺り込まれて、おまけに二人で漫才やる羽目になった。
それを楽しんでいるようなので良いけれど。

「それにしても、みく子にはビックリしたなぁ」

るどんが思い出して呟いた。

「ほんまやわ。あ・・・・・今日、るどんに来てもらったら良かった・・・」

「お花屋さん?そういえば遅かったけど、忙しかったん?」

「滅茶苦茶。てんちょーが、またやりよってん。今日の明日で花束三十束。色とか種類とか指定もあってん」

「忘れてくれてて、ありがとう」

嬉しそうに言わない。

「それもさ、オレンジ色がメインやって、結構なボリュームになるんやんか。なんか、みく子のお通夜みたいやなーって思た」

「ひぇ???。るどのことは、ずっと忘れてていいよ」

「でも、ほんま、どうしたんやろなぁ。。。みく子・・・」

「ほらほら、始まった。志津さん、そういうのを取り越し苦労の心配性て言うねんで。今日は、もう考えるのやめとき」

「そうやねんけどさー」

「はいっ!終了っ!」

それから延々とるどんのネタになりそうな話を聞いた。
明日も朝から講義があるんやけどなぁ。
って、一緒に行かなあかんのやんか。
博物館経営学て、なめとんか。。。
流通学もどうかと思うけど、ニコマ目というところが魅力的だと思えるあたりでかなり悲しい現実がある。
出欠を取る先生は嫌いや。。。

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四日目:志津編 07話

午前に講義を取って、午後からバイト、夜は遊ぶ。
完璧な計画は、あっさりと反故になって久しい。
そこに輪をかけて、予定も計画もなくなってきたような。。。

一昨日はまごちゃんのお陰で夜中まで花束を作っていた。
昨日の記憶があんまり無いというのは、どうなんだろう?
確か、博物館経営学には出た。
けど、ノートにはミミズがのたくっているだけだ。
誰かにノートを見せてもらわないと、試験で困るぞ。
そう思って今日も一講目から出てきたのに、落研のサイコ師匠に捕まった。

「志津ちゃん、ネタは出来てるん?」

黒髪の綺麗なボブに落ち着いたローズの口紅が美しいサイコ師匠は、落研の部長。
そして、にっこりと優しい笑顔の奥には厳しい芸人魂が隠れている。

「うわ、出た」

「誰が妖怪や」

「まだ言うてへんがな」

「ネタは出来てへんと、そういうことやね?」

「そうらしいね」

にしし、と笑ってみる。
お願い、そのアーモンド型の目で睨むのはやめて。
惚れる。

「まぁ、ちょっと部室に寄って行きなさいよ」

すんなり拉致られる。
いやー、あのー、博物館経営のノートがぁ。。。

やっと解放されたら、お昼をまわっていた。
なんとか学食に辿り着くと、迷わず饂飩をゲット。
偶々空いていた窓際のテーブルに座って、饂飩を・・・・・ふぅふぅしながら・・・・なかなか食べられない猫舌。
やっと食べかけたら、後ろで声がする。

「エリカの友達のシーズーちゃん?ここ良い?」

にゃにぃ?
ここで、誰の声か記憶と照合開始。
データなし。

「誰がシーズーやねん!ちゃうわ!それ犬の種類やん!」

振り向きざまにツッコむ芸人根性。
いや、素だし。

データなし?

知らない人?

「志津ですう。志、津」

顔から火を噴きながら、なんとか取り繕う。

やっぱり大笑いされる。
な、なんでやっ。

「ゴメン、ゴメン、間違えてた。ホントにゴメン」

謝る知らない人をよくよく見ると、あれ?

「あんた・・・」

あの男前の帰国子女。

「あ、名前ね、霧島露朱英」

「へ?」

霧島?
日本人?

「霧島露朱英で、ホントはロシュ・ド・フランシスコ・キリシマ・ジョッバーナ」

「はぁ・・・?」

イタリア系?

「だから、短くしてロシュね」

いやん、にっこりされたら一層男前やんか。

「ここいいかな?」

いいよ、いいよぉっ。

「あぁどうぞぉ」

礼儀正しい殿方には、礼儀正しく腰を上げる。
いや、もっとちゃんと立とうよ、じぶん。

「ありがとう」

ロシュは、そう言うとテーブルにトレイを置いて、軽やかに着席。
いいか、日本人の男性諸君。
このくらいスマートに動いてくれたら、私たちも淑女で居られるんやで。
大体、君らは・・・・・・。

ロシュくん、えらい食欲やね。。。

てか、なんでナポリタン?
ああ、みく子と読んだ小説に出てくるあのシーンを思い出すなぁ。

『喫茶店と言えば、ナポリタン!』

能天気な蒲田君が大好き。

「あのさ、」

妄想族になりながら、まだ饂飩と格闘していると、ロシュが話しかけてきた。

「え?」

つぶらな糸目を精一杯まんまるにしてしまう。

「オレ、二回生の後期から十月までアメリカに留学してて、あんまり知り合いがいないんだよ」

ほーほー。

「え?単位とか大丈夫なん?」

饂飩があと一本。。。
つ、掴めん。。。

「まあ、それは大丈夫なんだけど、大学ではエリカの知り合いがオレの知ってる人なんだよ」

あー、この声、好きかもぉ。

「へえー」

よし、最後の一本が掴めた。

「で、ちょっと聞きたいこともあってさ。
おとといの夜から、エリカと連絡が取れないんだ」

あ?

「あんたなぁ、そんなノンキなこといって、ほんまになぁ、」

一瞬で現実の真っ只中へただいま。

あれ?
あれは・・・

「わーっ!笠原みく子!」

大声は得意技だっ。

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四日目:志津編 08話

「わー!お志津!」

うぎゃ???!
大声の効果の程は知ってるから、満面の笑みで飛び掛ってくるんじゃないっ。

みく子は、二三日前と見た目は何も変わっていなかった。
けれど、あれだけ萎たれていたのが、元気一杯。

みく子がガタガタと騒々しく隣の椅子に引っかかっている間にテーブルの向こうを見ると、ロシュが意外そうな不思議そうな顔でみく子を見ている。
そんなものは我関せずとばかりに、みく子はコロンとテーブルに上体を預け、私の方に顔を向けて

「はぁー、もう大変だったんだって」

と、おぬかしになった。
それから漸くテーブルの向こうを見ると

「あれ?ロシュ、お志津とお友達?」

みく子のいきなりの問いかけに、ロシュは一瞬戸惑いながら

「ああ、まあ、ついさっきに…」

そう、ついさっきにエリカの行方が不明している・・・と・・・。
おんやぁ?

ちょっと待て。
ロシュはエリカと連絡がつかないというので、私を見つけて話しかけてきた。
一昨日、花屋の前を車で通った時は、確かにロシュの運転する車の助手席にエリカが乗っていた。
その前、みく子が大変身した日は、みく子と歩いて行った。

ロシュくん、君はなにか、女の子にモテモテだけども好きな女の子には振り回されるタイプか。
こりゃまた難儀な。

そのような”オトナの事情”などお構いなしにみく子は話し始めてる。

「で、さあ、大事件よ。大事件。もーこんなこと一生に一度あるかないかぐらい大事件。
もーダメなんだって私…」

ほいほい。
かなりダメそうだな。
まず、その頭をなんとかせぇよ。
それから真っ白い顔も。
見慣れんから、非常に具合が悪い。

私が苦笑いをかみ殺していると、ロシュがトレイを持って席を立とうとする。

「オレ、ちょっと、中庭にいるよ。まだまだ時間あるからゆっくりしてていいよ」

痩せ我慢紳士は、なんとか平静を保って、みく子に声をかけた。

「えー、別にいいのにー。あー、でもー うん。分かったー」

みく子がこれでもかというくらいに女の子らしく応えると、ロシュは学食を出て行った。

「で?何が大事件で、何がダメなんか、言うてみ?」

窓の外、中庭のベンチにロシュが腰掛けるのを横目で見ながらみく子を促す。

「何から話せばいいかなー。んと、まず、イメージチェンジしたでしょう」

それをイメチェンというみく子の根性が羨ましいわ。

「で、蜜くんと喧嘩になってぇ」

言い訳してぇ。

「仲直りしてぇ」

さぁ、そこから我儘炸裂やな?

「イメージチェンジの結果がこうなった原因を突き止めようと思ったの」

へ?

「んで、お志津はどうしてた?」

おー、おー、よう訊いてくれた。

「あの日な、学務課に呼ばれて行ったら、田所せんせーが居ってさぁ。もう、緊張しまくったで。で、せんせーはあんたを探してるし」

「あ、ゼミね。ゼミ。行ってなかった」

「ゼミですわ。他を無視しても、ゼミは外さんやろ」

「たはははは?」

「ほんで解放されてバイトに行ったら、店長がボケかましとるし」

「またぁ?」

嬉しそうに笑うなぁ。

「また。今日言うて明日に花束三十束。持って見栄えのする大きさ」

「いやん」

「夜中までかかったわ。店の前でこけるし。あ、そのときに蜜くんに会ったで。あっちが通りかかって、こけてる私を起こしてくれてんけど」

大笑いされたことは黙っとこう。うん。

「今朝は今朝で、サイコ師匠に捕まるし」

「そういえば学祭に出るんでしょう?」

みく子が笑いながらダメ押しをする。
出るよ。
漫才するよ。
ネタ、出来てないよ。
どないしてくれるねんな。

「ほんで、大事件て?」

「ノートン教授に会えそうそうなんだ」

ノートン教授?
畑違いやろう。

「ロシュが連れて行ってくれるんだ」

ぴゃはっ。
振り回される痩せ我慢紳士ここにあり、やな。

「それは、蜜くん、知ってるん?」

「話した」

「んで、なんて?」

「・・・・・」

みく子は答える代わりに時計を見た。

「あ、そろそろ行くね」

おいおい。
肝心な事を言わんかい。

「お志津?」

「んー?」

「変わることは悪いことかな?」

「変わらんことのほうが、ずっと悪いと思うよ」

「そう」

「但し、変わる方向によるけどな」

みく子は黙って頷いてから、満面の笑みになってまたしてもぎゅっと抱きついてきた。

「うぎゃ。やめんか??!」

「じゃ、またねっ」

悪戯っぽく笑って、行っちゃった。

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四日目:志津編 09話

元気なのは元気らしいみく子が学食を出て、ロシュと仲良く歩いていくのを見送りながら、なんとなく違和感を感じていた。

なんやろ、あの仲良さげな感じ?

いや、そんなことはどっちでも良いから、ネタを考えないと。
学祭までにネタ合わせをしておかないと、舞台上で凝固する羽目に陥る。
『キャッツ・ポゥ』なんて可愛いコンビ名を付けているけれど、実態は『暴走特急』だ。(主に私が)

レポート用紙に横書きでネタを書きかけて、我ながらどんならんなと苦笑する。

『日本語は縦書き!』

お祖母ちゃんの声が聞こえてきそうだ。
ましてや、漫才のネタを。。。

えーっと、あれはなんという字やったかいな?

ふと、思考が彷徨ったところに携帯の着信音が鳴った。
ドラクエならメール。
何方でそ?

『件名:ネタはでけましたか?』

るどんちゃん。。。

愛してるよ。(涙目になりながら)

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六日目:志津編 10話

みく子にハグハグされた一昨日から、毎日学食でネタ繰りしてる。
なかなか書けないものだな。
落研の部室では、もっと書けない。
いらんネタが飛び交ってる。
つられてどうしようもなくなる。

シングルタスク。。。


ネタは不十分だけど、呼吸を合わす為もあってネタ合わせをすることにした。
その時間が取れたと、るどんちゃんがさっきメールをくれた。
兎に角、毎日少しでもやってないと、素人なだけに息を合わせるのが難しい。
普通の会話でも合うといえば合うのだけれど、ネタとして持続するのはなかなかしんどい。

学食を出て、図書館棟に行く。
図書館の中では静寂が。
図書館の外にも静寂が。

「志津さぁ?ん!」

破れた。

手を振りながら走ってくるるどんの後ろ、ずっと離れたところを見慣れない黒いジャケットのおっさんが自転車で通り過ぎたような。。。

「どないしたん?」

「ん、いや」

るどんも振り返ってみるけれど、何も見なかったらしい。

「では、早速、ネタ合わせしよか」

「こないだのんで、いいの?」

「うん、取り敢えずあれでやろ。新しいのを初見でやるの、しんどいで」

「新しいの、出来たん?」

「もうちょっとっ」

「じゃ、コピー待ちということで」


二人して鞄から、練習用の台本をがさごそ出して、図書館棟の壁に向かってネタ合わせ開始。
と思ったら。

「今日は、むこう向いてやってみる?」

るどんの勇気ある提案に乗っかることにする。
そう、お客さんは、壁じゃない。



るどん・志津「はいっ、こんにちは?!キャッツ・ポゥです?」

る「そうそう、志津さん。るど、ずっと疑問やってんけど、キャッツ・ポゥて、なんなん?」

し「えっ?猫の手やけど・・・」(猫の手でにゃうにゃう)

る「あー!忙しい時に借りるやつ!」

し「そうそう。そやから、忙しいときは『にゃんにゃこ舞い』て言うやん?」(両猫の手でにゃうにゃう)

る「・・・それは『猫の手も借りたい』と『てんてこ舞い』を合体させただけやんかぁ」

し「感じ出てると思わへん?」

る「そーですかー?」

し「ほんで、年寄りが無理したら『年寄りの鼻水』やし」

る「こっちが洟出そうやわ」

し「桃栗三年、ネタ八年」

る「大学卒業してしまうやんか」

し「留年したら八年まで居れるよ」

る「居らんでよろし」

し「んで八年もおったら“時は兼成”言われてなぁ」

る「誰やねんな」

し「そら徳川家の…」

………

そこで、まばらに見てた学生の一人が会釈して離脱を試みた。
ので、捕まえてみた。

「あ!あ?あ?、お兄さん!!」

め、迷惑そうな顔するにゃっ。

「すいません、良かったら…なんですけど、少しだけうちらに付き合って貰えませんか?お客さん役で見てもらいたいんですぅ」

学内では、基本、標準語の私は関西弁とのバイリンガル。
が、しかし、お兄さんは更に迷惑そうな顔になる。
そんなの平気なんだからねっ。
ま、負けないんだからねっ。

「…いや、悪い。待ち合わせしてるんだ。そろそろ時間でね」

時計を見ながら、素っ気無い返事。
ちょんぼり。。。

「そおですか、残念です…」

用事のある人を捕まえておくことは出来ない。
待ち合わせなら、知らない相手を待たせることにもなる。
そういうことは、しちゃダメダメ。

「ごめんね」

お兄さんは悪いと思ったのか、謝りながら歩きかけると振り返った。

「…なぁ、君ら学祭でソレ、やるの?」

『へ?えぇ、まぁ』

コンビのコンビたる所以は、この息や。

「うん、いや、最近は余裕もあるし、折角だから見に来ても良いかも…と思」

『ホンマですか!?』

皆まで聞かずに被せるっ。

「やったやんか、志津さん!お客ひとりゲットやで!!」

逃しますかいね。

「いや、まあ予定が合えば、だけ」

「い?え!お兄さん、こ?なったら来てもらわな!!」

るどん、ナイスやっ。
私も、売り込んでおこう。

「あれですよ、お兄さん。今日のは練習用のネタですから…本番はもっと面白いですよ?。見ないと損ですよ?」

「わぁかった。見に来るよ」

苦笑しながら降参のポーズ。
陥落。
よっしゃっ。

「じゃあ、あとは次回のお楽しみということで…ね」

来ると言ったからには、さっさと待ち合わせに行って戴かねばっ。
背中を押してあげる。

「志津さん、新しいネタ、上げてね」

るどん、愛してるよ。(涙目再び)

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