ロシュ編
蜜編
サク編
蓮火編
アリエス編
黒編
しのめん編
奏湖編
ちこ編
志津編
タイキ編
ゆん編
なつめ編
卵茶編
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
■ロシュ
みく子の元カレ。
二枚目、頭脳明晰、スポーツ万能で浮気者。
みく子と別れてエリカと付き合いながらも、みく子に未練がある人。
■蜜
みく子の現彼氏。
みく子のアバンギャルドなパーマを見て怒った。
世界を救いたいと思ってる人。
■サク
みく子の初恋の人。
みく子のことだけを考えながらも、人生に絶望してる。
悪魔と契約なんかしちゃってる人。
■蓮火
みく子の知り合い。
路上ライブで知り合い、アバンギャルドなパーマを見て
「とりあえず、そのパーマだけは直せよ!」と路上で叫ぶ人。
■アリエス
みく子と同じ研究室の学生。
先輩には卵茶もいる。
教授にいろんな意味で愛されてる人。
■黒
みく子のチャット友達。
るどんとビリヤードしたりもする。
みく子と実際に会ったことはない人。
■しのめん
みく子の友達。
どう見ても二児以上の父親としか思えない老けた大学生。
色の識別が出来ない人。
■奏湖
みく子の元後輩。
大通りにある24時間営業のマックス・ドックスの元気な店員さん。
みく子のライブポスターをそこら中に貼りつけた人。
■ちこ
みく子のストリート友達。
みく子と同じようにストリートで歌ってる。
昼は喫茶店、夜はダイニングバーじゅごんで働いている人。
■志津
みく子の友達。
「ふろーら・しょうだ」でバイトしてる。
落研で「るど」と漫才コンビを組んでる人。
■タイキ
蓮火の兄。
タクシードライバーをしている。
弟の蓮火のことをいつも考えてる人。
■ゆん
みく子の友達。
普段はたまにメールでやりとりしてる。
みく子のライブのポスターを作った人。
■なつめ
みく子の高校の同級生。
高校時代はみく子の生演奏を聴いたりしてた。
現在は立派に社会人をしている人。
■卵茶
みく子のゼミの先輩。
みく子とはよくメールをする仲。
後輩にはアリエスもいるがどちらからも先輩扱いを受けていない人。
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一日目:ロシュ編 01話

十月に入り、長い夏休みが終わった。
キャンパスに戻ると、履修のとり方の情報や学園祭の話があちこちで飛び交っている。
オレは、九月末に世界的に有名なノートン教授と出会い、セキュリティーについての特講のため、しばらく離れていたので、キャンパスに来るのは、かなり久しぶりという気がした。

キャンパス内でミクに何週間かぶりに会った。
あの元気で、明るく、オレンジ色の似合う以前のミクとは違い真っ白で病的な印象になっていた。

「よぉ、ミク!久しぶり!」
「あ、ロシュ…」

「何か、カンジ変わったよな。どうした?」
「う、うん…ちょっとね。」
やはり、元気がない様子。

「何かあった?」
「実はね。自分でも分からないの。いつの間にか自然にこうなっちゃったんだ。最近やっと自分でも慣れてきたんだけど、やっぱ変?」

「変って言うか、びっくりしたって言うか…。で、彼氏はなんて言ってんの?」
「彼氏に見せたら、『僕はみく子が大好きだけど、勝手に変な風にしてくるところは嫌いだ。どうして一言、相談してくれなかったんだ。嫌いになった訳じゃなくて、そういうところがイライラする』って言われて、すごく不安。」

「そうか…彼氏が言ってる事も確かに言えてるかもね」
「ゴメンね。」

瞳に涙を浮かべ、うつむき加減の表情したミクが、ちょっと愛おしかった。

「いや、謝ることないんだけどさ。何か出来る事あったら言ってよ。」
「うん。ありがとう。」

ミクは、中途半端な笑みを浮かべた。
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一日目:ロシュ編 02話

今日の講義が終わり、三時ごろ家に着いた。

オレは、週に三回ほど家庭教師のバイトをしているのだが、今日はバイトもなく、これといって特別な予定がない。
やらなければならないことと言えば、十月末までにノートン教授に提出する特講のレポートを仕上げることぐらいか。
パソコンを開いて、ノートン教授からもらった資料を開き、書きかけの課題の続きに取り組もうかとしていた。


しかし…
どうしても、キャンパスで見たミクの中途半端な笑みが忘れられない。
オレに見せたミクの初めての複雑な表情だった。

ミクとは、大学1回生の夏休みに自動車学校で出会った。
隣同士の席なったことがきっかけで親しくなり、やがて付き合うようになった。

オレの免許に載っている取得日付はミクと同じだ。
オレが先に教習を終えたのだが、ミクが終わるのを待って一緒に免許を取りに行った。
免許が取れた日は、一緒にお祝いをした。

でも、それは過去の話。
その年の12月には、ちょっとしたトラブルがあり、結局別れてしまった。
(そもそもはオレの浮気がトラブルの元なのだが…)

恋人としては別れたのだが、友達としての連絡は時々取り合っていた。
傍から見ると、奇妙な関係かもしれない。

今、ミクは彼氏がいるらしいが、どこの誰なのかは知らない。
わざわざミクの口から、彼氏の名前なんて聞きたくなかったし、敢えてそんな事を言わせる必要もないと思っていたし。


ふと気がつくと、オレは、開きっぱなしのパソコンを前に、コーヒーカップを片手しながら、ミクの事ばかり考えていた。


ダメだ。
どうも集中できない。


コーヒーカップを携帯に持ち替え、ミクに電話してみる。

「プルル…プルル…プルル…プルル……」

出ないのか?


「もしもし…」
ミクが電話に出た。

「もしもし、ミク? いや、大した用事じゃないんだけどね」
オレは何気ない素振りで切り出した。

電話の向こうテレビの音が聞こえる。
テレビショッピングの無駄に陽気なテーマソングが流れている。
ワイドショーか何かを見ていたのか?

「うん…」
ミクが何かに気をとられているような声のトーンの返事だ。

直感的に何か電話をしてはいけない瞬間に電話をしてしまった気がした。
「あ!今、電話大丈夫?」

「う、うん…」
とミクが答えたが、電話口の向こう側から

「― みく子?」 
とミクを呼ぶ男の声が聞こえた気がした。
いや、正確には聞こえた。

「今、マズいみたいだね」
オレはそう言って電話を切った。
電話を切った後、さらにオレの頭の中はミクの事でいっぱいになった。

「プルルルルル…」
今度は、オレの電話が鳴った。
彼女のエリカからだ。

「ねぇーロシュ。今日バイト休みって言ってたよね。ドライブに連れてってよ。」
「ああ… んんっと… そうだな… 分かった、いいよ。行こうか」

どうせ家の中に一人で居ても考え事で息詰まるだけだし、明日、学校へ行けば、ミクと同じ履修もあるし、ミクとは明日会った時にゆっくり話せばいいか。


オレは、エリカとドライブに行くことにした。

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一日目:ロシュ編 03話

グォーーン!グォーーン!
キュルルルル…

エリカを車に乗せて、山道のワインディングを猛スピードで走らせる。

「ね?、ロシュ、怖いよ?。飛ばし過ぎだよ?」
「…」

頭から離れないミクを振り払うように飛ばしたい気分だ。

「ねぇ?」
「…」

やがて、小高い山の展望台に着いた。
駐車場に車を停め、エリカの方を見るとエリカがシートで小さくなって、上目遣いでこっちを見ている。

「ねぇ?ロシュ?。さっきから全然喋ってくんないじゃん」
「…あ、そうだっけか…ワリい。ちょっとさ、運転に集中してたからさ」

「ロシュって、時々そういう自分の世界に入ってるトコあるよね」
ぷっとふくれっ面してエリカはこっちを見つめてる。

「ゴメンな」
膨れたホッペにチュっとキスをした。

「もー、でも………。許す!!」
その瞬間、エリカの顔がぱあっと笑顔になる。

この笑顔にオレはやられたんだ。
だから、ミクと別れてエリカと付き合うようになったんだ。


すっかり日は落ちて、フロントグラス一面に広がる街の夜景が
ゆらゆらと…
キラキラと…
揺らめいている。

うっとり見つめるエリカの瞳を見ていたら、キスがしたくなった。
そして、キスをしようとした瞬間、ダッシュボードに置いていた携帯が鳴った。

「ううん。今は出ないで。」
エリカはそう言いながら、鳴り続けているオレの携帯を後部座席に投げた。


そのまま熱いキスを交わし、その夜はエリカと過ごした。

彼女のエリカとゆっくり一緒に過ごすことで、今日のミクの事をすっかり振り切ることが出来たようだ。



翌朝、後部座席に投げられたオレの携帯を見つけた。

その電話はミクからで、留守電が入っていた。
「蜜クンが…  彼が…  怒っちゃたの… 私…  もう…  やだ…」

泣き声混じりでよく聞き取れないのだが、ミクに何か大事件が起こったことは明らかだ。

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二日目:ロシュ編 04話

ミクに電話を掛けてみたが、何回コールしても出ない。
留守電にもならない。

「ミク、どうしたんだ」
かなり心配になってはいたものの、学校へ行けば会えるんじゃないかと思って、キャンパスへ向かう。

ニ限目はミクと同じ履修の流通科学の講義だ。
その講堂に入ると、ミクはちゃっかり一番後ろの席に座っていた。

ミクの横の席に座りながら
「ミク、昨日は何?大丈夫か?今朝から何度も電話してただろ?どうした?」
と、オレは聞くと

「うん。大丈夫。何でもないの」
ミクはこっちを見て、力いっぱいの笑顔を見せて、作ったようなトーンの高い明るい声で答えた。

でも、目は腫れて真っ赤だった。
白さが増したミクの白い肌に真っ赤に充血した目は、かなり痛々しかった。


「どう見ても大丈夫じゃないだろ」
オレはちょっと怒ったように言った。

「ううん、ちょっと大丈夫…」
ミクがそう言いかけた時、教授が入ってきて、講義が始まった。

「後で話すね…」
「今、話せよ」
「う…ん…」

しばらく、ニ人の小声でのひそひそ話が始まる。

「実はね、昨日また、蜜クン…、あ、彼氏とね、大ゲンカしたの」
「うんうん」

「一回目は仲直りしたのね…」
「うんうん」

「でも… ロシュと一緒…に ノートン教授に会い… に行くって… 言ったら…」
ミクの小声がだんだん泣き声になってきてる。

「でね… ぐすん…
 すごく… 悲しくなって… 蜜クンち… 彼んちから… 出たの…
 ぐすん…」
ミクは、もう完全に泣きモードに入ってる。
 
「分かった、分かった、ちょっと出よう」
自分のノートとミクのノートをバッグに入れ、一緒に講堂から、こっそり外に出た。

講堂を出るなり、ミクは大泣きになった。
細い肩がぶるぶる震えている。

オレは思わず、ミクの震える肩を抱き寄せ、明るいオレンジ色になった髪を撫でてやった。
抱きしめたミクからは、懐かしい柑橘系のコロンの香りがした。

「えーーーん」
堰を切ったように、ミクの涙は溢れ出した。


オレはミクを抱きかかえたまま、キャンパスから出た。
ミクは、ずっと泣いていて、普通に歩くことさえ出来ない。

校門の前でタクシーを拾い
とりあえずオレの家に向かった。

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二日目:ロシュ編 05話

タクシーに乗ってオレの家に着くまでミクはずっと泣いていた。
家に着く頃、涙はやっと止まったが呼吸にしゃっくりみたいなクセがついていた。
そんなにつらく悲しいことがあったのか。

家に入るなり、ミクは
「泣き過ぎちゃった… ちょっと洗面所貸して」
と言って、すぐ洗面所に入った。

しばらくして、洗面所から声がする。
「ねー、シャワーも借りていい?」

「え?いいけど」
と答える間もなく、シャワーの音が聞こえる。
シャワーの音混じりにミクの歌声が聞こえる。

ビートルズの…
ああ…なんていうタイトルだったけか?

透明感のある綺麗な歌声だ。
路地裏でストリートミュージシャンをずっとやってるらしい。でも、見られるの恥ずかしいから絶対来ないでって度々言われている。

「ねぇ?」
シャワーの音に混じって、ミクの声が聞こえる。

「なに?」
オレは、バスルームのドアに背をもたれながら答える。

「ううん。何でもない」
「何でもないって何さ?」

「なんかさー」
「うん」

「ロシュ、変わんないねー」
「なんだよ。それ。」


急にシャワーの音がしなくなった。

しばしの静寂…


「ミク?」

答えがない。


「おい?大丈…」
急にバスルームのドアが開き、裸のミクが抱きついてきた。

「だって、ロシュ、昔と全然変わんないんだもん。」


オレとミクは、その日の午後の講義はすべて休み
半日、ニ人でベッドにもぐって過ごした。


「ね、ロシュ…」
ミクは、タオルケットにくるくる丸まったまま
顔を半分出して、まん丸の大きな瞳でこっちを見ながら言った。

「なに?」
タバコくわえ、火を点けながら答えた。

「今度ね、ノートン教授のトコ行きたいの」
「ミクがノートン教授のトコ?」

「うん」
「そりゃあ意外だな」

「前からちょっと興味があったの」
「そうなんだ。それは知らなかったな」

「うん、この前ね、ウチの大学でノートン教授の特講受けてる人がいるって聞いたから」
「え?誰に?」

「ん…ヒミツ。」
「なんでヒミツだよ」

「ヒミツだから。」
ミクは小悪魔みたいにクスリと笑った。


ミクのこの悪戯っ子っぽい微笑は、必殺だ。
これが出るともう何も言えなくなってしまう。


「だから…、行きたいのぉ」
「ああ、分かったよ。今度に教授に会うし、教授が何というか分かんないけど、一応話してみるよ」

「いきなり行っちゃダメぇ?」
「世界的な大先生だぜ。いきなりはマズイだろ」

相変わらずの小悪魔ぶりだ。
逆に言えば、この小悪魔ぶりがミクの魅力でもある。


その後、ミクを家まで送り
オレはそのままの足で家庭教師のバイトへ向かった。



即日、ノートン教授のアポが取れ
ミクとニ人で会いにいくことになった。

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二日目:ロシュ編 06話

家庭教師のアルバイトから帰ってきた。

散らかった、ベッドに腰を下ろす。
ほんの何時間か前に、ミクとニ人でいたベッドだ。

風が窓を叩く。
台風が近づいているらしい。


複雑な心境だった。

エリカと付き合ってはいるものの、心のどこかで密かにミクとヨリが戻ることも期待していた。
今日の出来事は、偶発的・事故的ではあるけど、オレの願いは叶った形になったが、同時にそれは背徳行為でもあった。

エリカを裏切ったという後悔の念は強い。
心の中が複雑だ。


オレは、父がイタリア人、母が日本人のハーフ。
エリカは、祖父がアメリカ人のクォーター。

エリカの家族関係は、あまり話してくれない。
でも、実は、祖父はノートン教授だ。

ノートン教授と話をしているうちに、意外にもエリカが教授の孫ということを知った。
オレの父は軍人で、仕事の関係でノートン教授と知り合ったと聞いている。
その縁でオレは、教授のいるこの大学に通うことが出来た。

母がNPOの仕事をしている時、父と知り合い、オレが生まれた。
その後、父は事故で亡くなり、母は再婚した。
母が再婚してから、母とはあまり会わなくなった。
でもその代わり、ノートン教授はオレの事を自分の孫のように可愛がってくれている。

見た目の風貌も完全な日本人でもなく、完全な外国人でもない。
両親の国籍も文化も違い、幼い頃は海外で過ごしたから、国籍は日本なのだが、自分が日本人であるという事に違和感がある。

エリカもオレと同じ帰国子女。
だから、気持ちが通じる部分が多い。


エリカと大学で出会った時は、オレはミクと付き合っていたのだが、境遇が似ているせいか、すぐに親しくなり、意気投合した。
それが、エリカとの出会いであり、ミクとの別れだった。



電気も点けずに、ただ座っていると、いろいろな事が頭の中を巡る。


ミクは、今、何をしているんだろう?
路地で歌っているんだろうか?

エリカは、今日は居酒屋のバイトか。
たしかBシフトっていってたよな。
オレが迎えにいかない時は、帰りはいつもの友達と帰るって言ってたな。
今夜は風が強いから、ちょっと心配だな。


いろいろと考えているうちに、夜は更けて、次第に眠くなってきた。


その眠気を覚ますように、携帯が鳴った。

エリカからだ。


ここでも嵐の予感がする。

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二日目:ロシュ編 07話

エリカからの電話に出てはみたが、やはり何か後ろめたい気持ちだ。

「もしもし…」
「…」
無言だ。

「もしもし…?」
「…」
やはり、無言。

「もしもし、エリカ?」
ちょっと大きな声で言ってみる。
しばしの沈黙のあと

「迎えに来て!(ピッ消)」
一言だけ残して、電話が切れた。

変な汗が出てくるような悪寒がするような何か変な感覚に陥る。
嫌な気分だ。
エリカは一言だけしか喋っていない。おそらくはバイトの帰りの迎えに来てという事だろうと思い、靴を履く。


外に出ると、風はさらに強くなっていた。
ぱらぱらっと時々、雨粒が落ちてくる。

「車の方がいいな」
車に乗り、エリカのバイト先の居酒屋に向かう。


信号待ちで停まったとき、通りの向こう側で誰かが大声で叫んでいる。
同じゼミの蓮火くんみたいだ。

「とりあえず、そのパーマだけは直せよ!」と言ってるみたいだ。

そのセリフは、オレも今、ミクに向かって言いたい。


いや、ミクの事を考えている場合ではない。
信号が青に変わり、アクセルを踏んだ。


エリカのバイト先の居酒屋が見えてきた。
その軒先に、レパード柄のワンピースを着て、腕組みをして立っている女の子がいる。

エリカだ。


車を寄せ、助手席のドアを開ける。

エリカは無言で乗り込んだ。
明らかにご機嫌斜めだ。


「迎えに来てって単純明快だよな」
車を出しながら、なにげない話をする。

エリカは、無言のまま無愛想に顔を背ける。


Uターンせずに裏通りに入り、エリカの友達の志津ちゃんがバイトしている花屋の「ふろーら・しょうだ」の前を通る。

志津ちゃんが店の前で誰か男の人と話している。

志津ちゃんがエリカに気がついたのか手を振っている。
腕組みしていたエリカも志津ちゃんに手を振って答えた。

なぜか、エリカの友達のしのめんくんらしき人が、ちょっと離れた路地から、隠れるようにして店の方を見ている。


「今日、集まり事か何かあったの?」
運転しながら、横目でちらっと様子を見ながら言ってみる。

「別にないです…」
なぜか敬語で、ぎこちなく短い答えだ。
エリカは、また不機嫌な顔に戻った。

変な空気が車内を包む。


大通りに出て、明々とした照明の二十四時間営業のバーガー屋「マックス・ドックス」の前を通り過ぎる。
台風が近づいて天気が悪くなったせいか、いつも深夜は学生達でにぎわう店内には人影がまばらだ。


やがて、エリカのマンションの前に着き、車を停める。


「ロシュの方こそ、今日、何かあったでしょ」
シートに深く座り、腕組みのままのエリカが言った。

「あ、ああ…、 実は … ちょっと」
どうも、エリカはお見通しの様だ。
ここでウソを付いても仕方なさそうだと思い、言葉を濁しながら答える。

「エリカは知ってるよ。だって、志津ちゃんやしのめんくんが大騒ぎしてたもん。」

どうやら今日のキャンパスでの事件は、すでに、かなり有名な事件になっているみたいだ。


あの目立つ容姿のミクが大泣きして、バスケ選手みたいな背丈のオレが抱きかかえてキャンパスを横切れば、目立たないわけがないのは尤もな事だ。

「エリカも知ってたのか…」
オレが聞いても、エリカは腕組みのまま黙っている。

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二日目:ロシュ編 08話

「何か言い訳してよ。」
シートに深く座ったまま、ふくれっ面したエリカが向こう側の窓の外を見ながら言った。

「講義中、友達が、そう、友達が泣いちゃって、それで大変だったんだ」
と、オレはたどたどしく切り出す。

「ふうん…」
エリカの興味なさげな返事。

「ミク、みく子だよ。エリカも知ってるだろ」
「あんまり親しくないけど、知ってる。あの目立つ子でしょ」

「そう。」
「それで?」
エリカは追い討ちをかける。

おいおい、もうオレを追い詰めんなよ。
追い詰めるだけ自分も追い詰められるぞ。
「いや、それだけ」

「…」

しばしの沈黙。

「もう、いい。じゃあね」
エリカは表情を見せずに、そう言って車を降り
マンションの中に入っていった。


一人になった車内で
オレは、エリカの言った”じゃあね”の意味を考えた。

”See you(またね)”の”じゃあね”なのか
”Good bye(さよなら)”の”じゃあね”なのか…
今すぐ、エリカの後を追うべきなのか?それとも追わなくても良いのか?


しばらく考えたが分からない。
オレは、車を出し、自分の家へと向かった。

家に着いても
やはり答えが分からず、気になって仕方がない。

エリカに電話をしてみる。

話し中だ。すぐに留守電に切り替わる。
「後でまた電話する」と伝言を残し、電話を切った。


その夜、何度話しても、エリカには、電話はつながらなかった。


空からは、とうとう大粒の雨が降ってきた。
バチバチと窓のガラスに当っている。


あさって、木曜日は、ミクとノートン教授に会うことになっている。
ああ、いろいろ考えると気が重い。

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四日目:ロシュ編 09話

昨日は…
昨日、オレは何をしてたっけ。

ぼうっとして目が覚める。
どうやら家の自分のデスクで寝てしまったらしい。

結局あれからエリカと携帯がつながらずじまいで、まだ連絡が取れない。
エリカからの着信もない。もちろんメールもだ。

昨日は…

そうだ。
結局昨日は、一歩も外に出ていない。
一日中、そして深夜まで、家に籠って、レポートをまとめていたんだ。
昨日は台風で一日中雨だったし、それにあの大事件の後だ。
本当に昨日は大学に行きたくなかった。

今日は…
木曜日か。しかも午後一時をとっくにまわっている。

今日の夕方、ミクとノートン教授に会うことになっているんだ。

昨日一日かけて、教授に提出するレポートを作っていたものの、ミクと一緒に教授に会うのは、やはり気が重い。

一人で教授のところへ行くか?でも、教授に会いたがっていたミクを裏切ることになる。
もう、だれにもそんな事はしたくない。
ミクにも。エリカにも。ああ、自分が自分でイヤになる。

バスルームに向かい、シャワーを浴びる。
憂鬱な気持ちがシャワーで流れてしまうわけではないけれど。

髪を乾かしながら、クローゼットから服を引っ張り出す。
黒のジャケットに、白のシャツ、そして濃い色のジーンズ…
なぜか最近このパターンが多いな。

パソコンからフラッシュメモリーにレポートのデータを移し、バッグに入れる。

そろそろミクと待ち合わせした学食に行くか。
待ち合わせの時間より早めに行って、何か少し食べておきたい。

黒いブーツを履き、外に出る。


台風一過の青空が広がっている。
空気がカラッとしてて気持ちいいのがせめてもの救いだ。

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四日目:ロシュ編 10話

大学の学食に入る。

造りはシンプルだが、ガラス張りの窓から中庭が見えて、なかなかオシャレだ。
国立大学の中で異色を放つこの大学は、通う学生も個性的な人が多い。

お昼時を過ぎているが、おそろいのサークルのTシャツを着ているグループや、男女で談笑しているグループなど、なかなか賑やかだ。

スパゲッティナポリタンとアイスティーを頼む。
このスパゲッティが日本でなぜナポリタンと呼ばれているのか、氷の入った紅茶がなぜアイスティーと呼ばれているのか、未だにオレには分からないのだが、それはそれとして言葉として通じれば、そんなことはどうでも良いことだ。

それらを頼み、トレイに載せて、空いているテーブルを探す。
しかし、どうも空いているテーブルはなさそうだ。

見回すと、窓際でうどんを食べている女の子を見つけた。知っている女の子みたいだ。
たしか、エリカの友達だったと思う。

「エリカの友達のShih Tzuちゃん?ここ良い?」
うしろから恐る恐る聞いてみる。

「シーズー?ちゃう!それ犬の種類やん!」
つるっと麺を吸い込み、振り返りざまに素早い突っ込みが入ったが
次の瞬間、ちょっと照れた顔で
「志津ですう。志、津。」と言い直してくれた。

オレは、その反応が面白くて、思わず大笑いながら
「ゴメン、ゴメン、間違えてた。ホントにゴメン。」
と謝った。

「あんた…」
「あ、名前ね、霧島露朱英」

「へ?」
志津ちゃんは何故か意外そうな顔をした。

「霧島露朱英で、ホントはロシュ・ド・フランシスコ・キリシマ・ジョッバーナ」
「は???」
「だから、短くしてロシュね」
とにっこりして

「ここいいかな?」
オレは改めて聞いてみた。

「あぁどうぞぉ。」
志津ちゃんは、食べてる最中なのに、わざわざ中腰になりながら、言ってくれた。

「ありがとう。」
志津ちゃんの向かいの席に座る。

フォークでくるっとスパゲッティを巻き付け、食べた。
ウチの大学の学食は、変なレストランよりよっぽど旨い。
朝から何も食べてなかったせいか、食べるペースが早い。

その間、志津ちゃんは落ち着かない様子で、ちらちら見ながら、うどんを食べている。

「あのさ…」
ある程度スパゲッティを食べたところで、アイスティーを飲みながら、志津ちゃんに話しかける。

「え?」
志津ちゃんは目をまん丸にして答えた。

「オレ、ニ回生の後期から十月までアメリカに留学してて、あんまり知り合いがいないんだよ」
オレは合席した事情で切り出す。
「え?単位とか大丈夫なん?」
なぜか、オレに視線を合わさずに話してる。

「まあ、それは大丈夫なんだけど、大学ではエリカの知り合いがオレの知ってる人なんだよ」
「へえー」

「で、ちょっと聞きたいこともあってさ。おとといの夜から、エリカと連絡が取れないんだ」
と話を進める。

「もーそんなノンキなこといって、ほんまに」
オレに視線を合わせ、怒った口調で志津ちゃんは答えた。


その時、向こうからミクがこっちに歩いてくるのが見えた。

「わーっ!笠原みく子!」
志津ちゃんはミクのフルネームを大きな声で叫んだ。

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