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三日目:タイキ編 05話

弟を送った後、予定通り『ふろーら・しょうだ』に向かう。
人ではなく花を送る事になるとは、タクシードライバーになって以来初めての事。

そういえば、昨日『ふろーら・しょうだ』の前を通りかかったな。
店長さんらしき人は何やらオロオロしていらっしゃった。
あれは今日の花束作りの所為だったのだろうか。

不意に、歩道の女の子が上半身を乗り出て手を挙げた。
驚いて停車したら、彼女は「乗ってもいいですか?」というような目でこちらを見ている。
急がなければならないが、止まったものは仕方ない。
行き先を聞いてから、乗せるかどうか判断してみよう。

後部座席のドアを開く。

「すいません 大通りまでお願いしますっ」

勢いの良い声に、断る事を忘れてしまった。

「ふぁはい 大通りですねー」

我ながら間抜けな声だ。そう思いながら、行き先が同じ方向だった事に胸を撫で下ろす。
大通り付近で働く大学生は多い。
彼女もその一人なんだろうか。

それにしても、最近は若い人をよく乗せるなぁ。
若い人は、こちらから話しかけないと話さない人が多い。
一人考え込んでしまう僕にとって、それは有難いこ…

「とまってくれて助かりました」

は、話しかけられたー?
完全に安心し切っていた僕は、心にあった言葉のパーツを繋ぎ合わせた。

「いいんですよー 最近大学生とか若い方を乗せることが多くてー
 この後花屋さんに行くから 丁度よかった」

台詞としては、まるで用意されていたかの如く言えたのが救いだ。
本心が出る時、決まって僕の声は間抜けな感じになってしまう。
後部座席の女の子は「へぇ?」というような返事をした。
「大変ですね。」の意味が込められていたように思えて、少し嬉しかった。
心の中で「ありがとう。」と言っておいた。

大通りで停車し、女の子を降ろした後、裏通りへ。
一台で十束乗せる為、残りの二台の到着を待つ。

『ふろーら・しょうだ』の店先に立ち、挨拶をしようとした瞬間、何かに躓いた。
何故こんな所にレンガが…。くすりと笑いながら、人が近付いてくる。

「ああ、花を送って頂くタクシーの方?
 今日はよろしくお願いします。」

店長らしき人物は、関西弁でそう言うと、最初の十束を僕のタクシーに積み込んだ。
目的地は近く。小高い丘の上の、風見鶏の付いた屋根の大きな屋敷。
そこが斉藤さん宅だ。

大きなアーチ型の鉄柵の門の前に着いた僕は、その門の横に取り付けられているインターホンのボタンを押した。

「はい。どちら様でしょう。」

気品のある声だ。家屋の佇まいも宮殿のようで、その声のイメージは「マダム」と呼ぶに相応しい。

「ご依頼の花を届けに伺いました。」

「まぁ、ありがとうございます。あ、それと…。
 ごめんなさいね。お願いしてキャンセルした送迎だけど、やっぱり頼めないかしら。
 お時間は夕方で。多少人数が減りましたので、タクシー数台で構わないのだけど。」

後ろから来た二台と本部へ連絡し、引き受ける事にした。
花を運びその場を離れようとした瞬間。
先程のマダムの優しい声と間逆の、激しい雷音が響いた。

台風は近付いている。

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