スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書┃籍┃化┃第┃一┃弾┃♪┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
★ブログじゃ読めないおまけページが盛り沢山!M線上のアリア A巻 購入はコチラから!★
にほんブログ村 小説ブログへ
↑ランキング参加中!感想の代わりにお願いします。

一日目:蓮火編 02話

「何度も、歌を聴きに来てくれてたでしょ?
 なのに話しかけて来なかったから、こう考えてたの。
 きっと、この人はシャイなのかキモいのかどっちかだなって。
 あぁ、恐らく後者だなぁって。
 だから、なんとなく憶えてたんですよ。」

なんて失礼な!だけどその失礼っぷりのお陰で、吹っ切れたように言葉が出た。

「今日、久しぶりに見に来ました。
 でも、正直びっくりしてしまって…。
 率直に尋ねていいですか?
 イメージ、いきなり変わりましたよね?」

長い沈黙の後、みく子の肩から手を離す。
彼女の頬に、涙が伝っていたからだ。

不得意な、女の子の涙。
逃げ出すわけにもいかず、俺は声のトーンを落とした。

「座って話そうか。」

涙の理由を、みく子は少しずつ語り始める。

「蓮火さんは」

「あー…呼び捨てでいいよ。」

「蓮火は、最近来てなかったから知らないよね。
 今みたいにする事をね、ちゃんと前もって言ってたんだよ?
 だけどね、それに耳を貸さなかった人もやっぱりいたわ。」

「ごめん、知らなかった。」

「でね、それでも思い切ってやってみたの。
 それで蜜クン、あ、彼氏なんだけどね。
 蜜クンに最初に見せたら怒っちゃったの。
 なんで相談も無しに、勝手に行動しちゃうんだって言われた。」

そりゃ、そのパーマを見れば、至極当たり前の反応だ。

最初に頭に浮かんだのはそんな言葉だった。
だけれど、今の俺の目的は何だ?
ここで座り込んで、みく子と話をしている理由は何だ?

それは、前と同じように、周りを包むような声を響かせていたみく子の歌声を聞きたかったからじゃないだろうか。
オレンジ色の髪を揺らしながら、明るく唄うみく子を見たかったからじゃないだろうか。
ならば、彼氏に同情する気持ちは今はしまっておくべきだ。

「似合ってないとは言わない。
 だけど、前のイメージとはかけ離れすぎてるよね。
 ここまで変わってしまった理由はあるの?」

「刺激が欲しかったの。
 最近蜜クンかまってくれなかったから。
 だから私が変わろうと思ったの。」

あの歌声を発するみく子の中身は、こんなにも少女だったとは。
だけど、きっとこの原因の根は深いのだろう。
俺は、次の言葉を捜す。

「それで、その、蜜クンと喧嘩してしまったんだ。」

「あ、蜜クンとは一度仲直りしたんだよ?」

「じゃあ、もう攻撃的になる理由は無いじゃない。
 そもそも歌を唄いだしたのは何の為?」

「そうねぇ。最初は中学生の時だったわ。
 その後高校、大学ってずっと唄って。」

「どこの大学?」

「ここからすぐの国立。解るかなぁ?」

「…あぁ。ノートン教授の特講受けてる人がいるとか業界で騒がれてるあの大学か。」

「ノートン教授すごい興味があるんだけど!」

バイトで小耳に挟んだ、俺にとってはどうでも良かった情報が、まさかみく子を微笑ませるとは思わなかった。
笑った顔に少し心が揺れた。

歌いだした理由はもうどうでもよくなって、そのまま少し話は逸れていった。
だけど、それじゃダメな事は解っている。
残酷なほど時間が足りないのも事実。

「あのさ、明日もう一度会わない?」

「それじゃそろそろ」と彼女が言いそうな気配を察知して、慌てて出た言葉がそれだった。
しまったと思いながら、思わず目を逸らす。
そんな俺を見て、みく子は微笑みを返してきた。

明日、やっぱり聞いてみなきゃ。
みく子があの歌声を取り戻すのには、何が必要なのか。

書┃籍┃化┃第┃一┃弾┃♪┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
★ブログじゃ読めないおまけページが盛り沢山!M線上のアリア A巻 購入はコチラから!★
にほんブログ村 小説ブログへ
↑ランキング参加中!感想の代わりにお願いします。

≪一日目:蓮火編 01話 | TOP | 一日目:蓮火編 03話≫


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。