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一日目:蓮火編 03話

「こんばんは♪」

今日はみく子が俺の肩を掴んだ。
昨日雑談のお陰で、最初の固さはもう無い。
これなら、本音を聞けるかも知れない。

「なんで明日も会おうって思ったの?」

みく子は小悪魔的な笑みを浮かべてそう言った。
しかし、その笑みとは裏腹に、病的な白さの顔が俺をゾクリとさせた。
一瞬言葉につまって、それでも俺は言葉を放った。
ただ、前と同じ歌声を聴きたいが為に。

「いや、俺はただ、昨日の質問の続きが出来なかっただけなんだ。
 彼氏と仲直りしたところまでしか聞いてなかったじゃん?
 その先。それでも元気が無いのは何故なのか。
 多分、歌声が変わったのもその所為なのかなって思ってさ。」

「…」

「昨日初めて話したような俺でよければ、
 理由、聞かせてくれないかな。」

昨日泣き出した時と同じように、しばらく沈黙があった。
弱々しい声で語り始めたみく子は、何かにすがるような目をしていた。

「最初に蜜クンと喧嘩した後、今日ね、元彼に会ったの。
 今の彼氏が怒る理由も解るって言われちゃった。
 それから、私の心の中でね、揺れてる想いがあるの。」

「元…彼?」

「うん。」

「揺れて…る?」

「うん。」

「その想いって?」

「それはヒミツ。」

そう言うと、みく子はまたあの小悪魔的な笑みを浮かべた。
明らかに、危ういとしか言いようが無い。
これが本当に、あの歌声を発していた本人なのだろうか。

「姿が変わっても、同じ歌声を出せると思ってたわ。
 だけど、前もって言っても殆どの人は聞いてくれなかったじゃない?
 思い切って変えてみたら、やっぱり歌を聴いてくれてた人の反応は悪いし。
 蜜クンや元彼でも接し方が違うんだもんね。
 だから当たり前なのかも知れないけど、私は不安になるじゃない?
 そしたら…。」

「…そしたら?」

「前と同じ様に歌えなくなってた。」

みく子の目から涙が零れる。
恐らく、変わる前兆はいくらでもあった。
あるいは、少しずつ内面は変わっていたのかも知れない。
それに誰もが気付かずにいた事実が、彼女の歌声の変化に関係あるのかも知れない。

「変わる事は、悪い事なのかな?」

俺に対しての、みく子からの初めての質問。
憶測でしか答えられない。
だけど、みく子がそれで進めるのなら、それでいいと思った。

「変わらないものはないよ。
 だけど、みく子の中で…その、さっきヒミツって言ってた想いがあるんでしょ?
 どちらに対する愛も本物で、変わった自分を受け入れてもらいたい。
 なら、どちらにも本音を伝えるべきなんじゃないかな。
 始まりはきっとそこだよ。」

ヒミツの中身を、俺は勝手に恋愛関係と解釈した。確信は無い。
力強く発した声と裏腹に、顔に迷いが出ているのでは無いかと思う。
静かに涙を流す彼女は、そんな俺の顔を見て少しだけ微笑んだ。

「そうすれば、また同じように歌えるかなぁ。」

「それは解らないけどさ。
 だけど、それだけ勇気出した後のみく子の歌声は聴いてみたいかな。」

しばらく地面を見つめた後、みく子はゆっくり立ち上がる。

「ありがとう。じゃあ、行くね。
 今度唄う時、蓮火も聴きに来てね。」

みく子の頬に流れる涙を、完全には止められなかった。
だけど、きっとみく子は動き出す。
もし歌声が変わっても、オレンジ色の髪を揺らす事が無くなっても。
その歌声が、周りを優しく包み込むような歌声であればいいな。

みく子の後姿を、そう思いながら見送る。
やはりまだ力無く歩くみく子の背中に、俺は最後の言葉を大声で叫んだ。

「とりあえず、そのパーマだけは直せよ!」

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