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三日目:蜜編 現在 46話

ドンッ。

何故、厳重なセキュリティに守られているはずの、学生側の扉が開く?
バスターと呼ばれた男は、寝起きのような定まりきらない視点で口元に厭らしい笑みを浮かながら、僕と先生に近付いた。その容姿はかなり太ってて、大きな口は虫歯だらけで、異様に伸びたロンゲで、オタクと呼ばれる風貌以上のオタク的な雰囲気を醸し出していた。それは草食動物のような安穏とした雰囲気を醸し出しながら、その内実が肉食動物のそれである事に気付くのは、まるで難しい事ではなかった。以下の会話のせいである。

「止まりたまえ、バスター」
「何故、僕が止まる必要がありますかね、いひっひ」
「此処は君のような研究生が、勝手に入って良い場所ではないはずだ」
「田所教授は一体、何処から入ったのかな、入って来るの見なかったけどな、いひっひ」

異様。不自然な会話。どちらも此処にいて良いはずの人間ではない。
バスターは研究生らしい。だとすれば何故、爺さんの研究室に入ってくる事が出来たのか? 予想するのは容易だ。セキュリティの解除方法を知っているのだ。それ以外に方法は無い。爺さんが不在中に関わらず? (研究室に勝手に入ったら、エリカでさえ怒られるんだから)
脳髄を通過する。エリカの声。昨晩、エリカは確かに、そう言った。続けて、こうも言った。

(それに普通の人には入れないし)

"普通"の人には"入れない"?
だとすれば目の前を歩いてくる巨体は、何だ?
明らかに普通の人では無いのは、その贅肉まみれの容姿だけではなく……。
「止まりたまえ、バスター」
「これで何度目の侵入かな、田所教授、いひっひ」
「君は今、こう言ったな。"此処はノートン博士の研究室だ"と」

先生の過去における、何度かの侵入は、ばれている?
先生は動じた様子を見せずに、バスターに視線を固定させると、言葉を続けた。

「どうして今、ノートン"博士"と? 現在の彼を知る者は、総じて彼を"教授"と呼ぶのに?」
「……いひっひ、変なトコロに気付くんだな、いひっひ」
「やはりバスター、君は"B"なんだな」


【M線上のアリア】 現在/46


B……?
考える時間は無かった。突然、バスターが走り出したからだ。まるで巨体とは思えない機敏な走りだった。巨体を支える両脚が爆発的に動作する。バスターは前屈に近い姿勢で走ると、精密機器が並ぶ場所、その一台のコンピューターの前に立った。軽く呼吸を乱している。

「いひっひ……し、侵入者だな、し、侵入者は退治……いひいひ……博士の命令」

先生は動かずにバスターの動向を伺っていたが、巨体がキーボードを細かく弾き、モニターに文字列が並ぶのを見て、小さく「まさか」と呟いた。続けて僕を見る。「蜜、期を見て逃げろ」我々は今、研究室の奥にいる。侵入する際に開けたままにした扉は、此処からは見えない。
「一体、何が起きているんですか」
「……私にも確信は持てない。だがバスターは、いやニコラは恐らく"B"を使って……」
全画面のモニターが緑色に変わり、点滅する。

「いひっひ……準備完了だ……侵入者は退治……邪魔者は排除」

バスターが振り返る。小さく呼吸を乱しながら笑っている。
先程の、あの異常なまでの瞬発力は何だ? どう考えても人間の動きでは無かった。
僕は冷静に考えているが、まるで動揺が無い訳では無い。単に、ここ数日で僕が体験した様々な信じ難い現実(例えばバイオロイドや悪魔の存在)に比べたら、巨体が人間離れした動作で走るくらいは、まだ常識的に感じていた。それだけだ。少なくとも次の瞬間に起きる事を見るまでは。バスターがモニター横の隙間から、何か細い糸を引き抜いた。

「いひっひ……いひっひ……いひっひひひひっひ!」

細い糸――それはケーブルだった――は長く、バスターは右腕で、その鋭利な先端を天井にかざすように振り上げると、そのまま脊髄に突き刺したのだ。巨体が、電流が流れるように、大きく痙攣する。モニターの点滅が緑色から赤色に。再び、緑色に。先生が言った。

「まさか、アクセプトは完成しているのか……?」

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