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三日目:蜜編 現在 61話

天井から吊り下げられた、豪華なシャンデリアの光。
全てを語り終えた時、おばさんの全身の震えは止まらず、それを誤魔化すように僕を見ると、唇の両端だけを持ち上げるようにして、無理に笑ってみせた。それは笑顔と呼ぶには程遠く、ほとんど悲しげな笑顔の面を貼り付けた道化師のようだった。ティー・カップに手を伸ばそうとして、掴み損ねる。液体が大きく揺れて、テーブルに零れる。「……ごめんね」。

何に対して? 問おうとするけれど、言葉は出て来ない。
今更、受け入れられない現実など存在しない気がした。していた。なのに。
「蜜ちゃん……」瞬間、僕を見たおばさんの瞳は、異質な悲しみを漂わせていた。

異質――要するに、それは。


【M線上のアリア】 現在/61


「今の話、全部本当……?」

おばさんは首だけを、小さく、縦に動かした。
意味の無い質問だ。何を今更。解っていたはずだ。もう全てが普通じゃ無い事くらい。
悪魔を見る。何も言わない。初めから全て知っていたのか? 悪魔に問うても意味は無い。
僕は誰だ?――それを僕は知りたかった。己を知り、みく子を救いたかった。なのに、嗚呼。

「僕は、キリコの息子なんだな」

言葉にしてしまった。瞬間。ドクン。
言い知れぬ深い波のような感情の揺れが、僕を襲った。
怒り? ……否、悲しみ。

「おばさんとは兄妹になるのか」

ドクン。ドクン。言葉が自分のモノとは思えない速度で。
血液が逆流して、再び回転するように、重く、痛く、何も言いたくはないのに。
壊れてしまう。これ以上、言ってはいけない。僕は、その現実を受け入れる自信が無い。

「僕は、エリカの伯父なんだな」

ドクンドクンドクンドクンドクン。もう考えない方が良い。
僕は何者なのか……答など知らない方が良い。止めろ。これ以上、もう考えるな。
爺さんは何をしようとしている? 研究室で会った"B"は、僕を殺そうとした。要するに……。

「僕の中の"D"を、爺さんは欲しがっている」

そうなんだな、爺さん。
あの金魚の中に閉じ込めたキリコの魂を、みく子に移そうとしている。
だけれど彼女は不完全なままで生まれてしまったから、僕の中にある"D"が必要なんだ。

……しかし何故、みく子は突然、白化した? みく子は生まれた時から白かった。そして現在、再び白くなった。だけれど僕と出逢った頃、そして最近まで、彼女の肌や髪は、色素こそ他人に比べて薄かったものの、至って普通の状態だった。……図書室の男。みく子の過去を知る男。悪魔と契約している男。やはり、三男が絡んでいたのだと思う。だけれど、もう、嗚呼。

「……もう何も考えたくない」

僕はソファを立ち上がると、ほとんど夢遊病者のような歩き方で、玄関へと向かった。とにかく此処には居たくなかったし、といって他に行くべき場所など無かったが、これ以上、現実を受け入れる自信が無かった。悪魔。失敗したバイオロイド。血の繋がった幼馴染。それから――キリコの息子。誰が? 誰が? 誰が?

「……何処に行くの?」

おばさんの……セシル、妹の声が聞こえた。
否、クレイの記憶がある訳では無いのだから、おばさんはおばさんか。
僕の中にある"D"? 何だそれは。笑ってしまう。迷惑な話だ。
キリコ。セシル。エリカ。血の継承。(クレイは誰?)
ところで、みく子は今、何を必要としている?




"D"。




ははっ。

はははははははは。

はははははははははははははははは!

ああああああああ! ああ! ああ! 嗚呼……!

救いたい人を救う為に、邪魔なのが自分の命なんて!!!!



何も考えたくない。全てを忘れたい。

これ以上、面倒な事柄に、僕を巻き込まないでくれ。

「蜜ちゃん……」瞬間、僕を見たおばさんの瞳は、異質な悲しみを漂わせていた。

異質――要するに、それは。



失われた兄を見る、妹の、それだった。

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