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三日目:蜜編 現在 62話

真暗闇。暗闇。
ノートン邸の玄関に立っても、おばさん……セシルは追ってこなかった。追えないのだろう。真実を求めたのは僕だ。扉を開けると、台風一過の星空が見えた。今更、僕は何処へ行けば良い? 何をするべきだった? みく子を救う? 救われたいのは僕自身だろ。逃げたい。逃げる場所が無い。何処だ此処は。目的も無く歩き続ける。徘徊。泥濘から這い出るような徘徊。

爺さんはキリコを救いたかった? 手段も選ばずに。僕は何だ? キリコの息子。誰が?
ポケットの中で携帯電話が鳴る。……みく子? 否、着信画面に表示された文字は。
――エリカ。


【M線上のアリア】 現在/62


「もしもし?」
通話口の向こう側から、透き通るような馴染みの声が聴こえた。
「……蜜? あれ、聴こえてる? エリカだよ」
「ああ、聴こえてるよ」
「今ね、パーティー終わったトコなんだ。蜜、何してた?」

何してた? 別に、何もしていない。只、少し、真実を知りすぎた。――"E_Reincarnation"。少し前まで、エリカが生きていれば良いと、僕は思っていたんだ。だけれど、まさか幼馴染と血が繋がっていたとはな。笑うしかない。笑えない。「……あれ、蜜、泣いてる?」
「泣いてないよ」
「……あのね、エリカね、明日ね、ロシュと仲直りする事にしたよ」
「ロシュ? ……"キリシマ"か?」

高木先生とセシル、二人の話を思い出せ。
キリシマの息子は"アクセプト"の完成に必要な頭脳。
エリカは"アクセプト"の実行に必要な存在だと言っていなかったか?

過去、爺さんが約束していたように。
もしも斉藤夫人の魂を、みく子に移動する場合。
推測できるのは――エリカはアクセプト時に、両者の触媒となる?

爺さんの本当の目的は、斉藤夫人の魂を移動する事では無い。
本当に実行する可能性は低い。だが……。

「斉藤夫人がね、今夜、言ってくれたの」
「……何て?」
「本当に好きな人なら、仲直りしなくちゃねって」
「……斉藤夫人が?」

みく子は明日、爺さんに会いに行く。斉藤夫人はエリカとキリシマを再接近させる。僕は何をすれば? 何をすれば平気な面を下げて生きていて良いんだ? もう解らない。とにかく……「仲直りするなよ」
「へ? 何で?」
「お前、利用されるだけだよ」
「……誰が? エリカが? 誰に? 何でそんな事言うの?」
「だってお前……」エリカは自分の中に"C"が組み込まれている事を知っているのか?

「いや、何でもない、とにかく仲直りするなよ」
「何言ってんのか解んない! 何それ? ヤキモチ? 馬鹿じゃないの!?」
「……ッ! ……僕はなぁッ!」何を言う気だ。止めろ。言う必要の無い事だ。止めてくれ。
「……何よ」
「……もういい、エリカ、もう僕には近付くな」

耳元から携帯電話を離す。
親指で通話を切ろうとした、寸前。大きな声。
「ちょっと何言ってんのアンタ! 勝手に話まとめないでよ!」
信号機が点滅している。足を止める。

「言ったでしょ!本当に好きな人なら、仲直りしなくちゃって! だからエリカ、蜜に電話したんだよ! 昨日、会った時に謝れなかったから! ちゃんと謝って、仲直りしようと思ったんだよ! なのに何、勝手に話まとめようとしてるの! ちゃんと言ってくれなきゃ解んないよ!」

「謝るって……何を?」
「一年前に、エリカと蜜がケンカした原因……」

頭痛。【----"devil ate it" 404 NOT FOUND----】

「あの時ね、エリカね、蜜に酷い事を言っちゃった。覚えてるよね? 本当は、そんな意味で言ったんじゃないんだ。だけど蜜に初めて会った時にね、帰り道で、お爺ちゃんが言ったの」

原因。【----"devil ate it" 404 NOT FOUND----】

「エリカね、アメリカに住んでた時にね、ペットを飼ってたの。ペットって言っても、お爺ちゃんの羊なんだけどね。真黒な羊でね、すごく仲が良かったの。だけどね、日本に来る少し前にね、死んじゃったの。だからね、お爺ちゃん、エリカを元気付ける為に言ったんだと思うの」

結果。【----"devil ate it" 404 NOT FOUND----】

「初めて蜜に会った後に "エリカの羊だよ" "エリカの新しいペットだよ" って。……だから、蜜とケンカした時にね、あんな風に言っちゃった。だってね、蜜に彼女がいるの知らなかったなんてね、悔しかったからさ。……ごめんね、蜜」

欠落。【----"devil ate it" 404 NOT FOUND----】

「……"蜜はエリカのペットなのに"と、あの時、お前は言ったのか?」
「え?」
「……エリカ、もう僕には近付くな。もしも何処かで僕を見かけても、知らんフリしろよ」
「何で? 何言ってるの? まだ怒ってるの?」
「……怒ってないよ、只――」

複雑だ。何を説明するにも。初めから何も起こらなければ良かった。
何も考えたくない。全てを忘れたい。これ以上、面倒な事柄に、僕を巻き込まないでくれ。
忘れてしまえば良い。何もかも。簡単な事だ。「……エリカ、切るよ」会話の断裂。
そのまま携帯の電源を落とす。

「ヴィンセント、いるか?」
「……イエス」
「お前に僕の記憶を全て食わせてやるよ」
「……どういう意味だ?」

真暗闇。暗闇。
救いたい人を救う? 世界を変える? 誰が?
全て壊れてしまう。全て。全てを壊してしまえるんだ。
僕の命が邪魔なんだ。僕が。僕の命だけが邪魔なんだ。
僕の中に在る"D"が!

「僕の記憶を食え、ヴィンセント」
「……死ぬぞ、お前は契約者だ、それは出来ない」
「ならば、死なない程度に。ならば、みく子に繋がる記憶を、全て食え」
「……お前は世界を変えるのでは無かったのか?」

真暗闇。暗闇。
誰が? 世界を変える? 救いたい人を救う?
無理だ。これ以上、もう何も考えたくないんだ。忘れたいんだ。
悪魔よ、食ってくれ、僕の大切なモノを全て。僕の失いたくないモノを全て。
初めから何も存在しなかったかのように!

「クククククククク……」

悪魔は低く、低く、低く笑う。

「イエス、ならば全て食おう、覚悟は出来ているか、羊!」

羊。僕は羊だった。真黒な羊。
それさえも忘れてしまえるならば、随分とラクだ。
悪魔が額に手を当て、脳髄を切開し、巨大な口を広げるのを、僕は見た。

途端に訪れる、闇。

真暗闇。

暗闇。

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