スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書┃籍┃化┃第┃一┃弾┃♪┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
★ブログじゃ読めないおまけページが盛り沢山!M線上のアリア A巻 購入はコチラから!★
にほんブログ村 小説ブログへ
↑ランキング参加中!感想の代わりにお願いします。

一日目:蜜編 現在 01話

今、みく子は笑っている。

「何? 何がそんなに可笑しいの?」
「ううん、ちょっとね、あのね、思い出し笑い」

僕とみく子は並んで座り、テレビを眺めている。
テレビの中ではお笑い芸人が、最近流行の歌手と会話をしている。
それを眺めてみく子は笑ったのだ、と僕は思ったが、どうやら真相は違うらしい。
リモコンを手に取り呆気なくチャンネルを変えると、呑気なショッピング番組が流れた。
みく子は何かを思い出して笑った。


【M線上のアリア】 現在/01


みく子が突然色白になり、髪型をアバンギャルドなパーマに変えたのは数日前だった。それが原因で僕らは些細な喧嘩をした。とは言え、それは大袈裟な喧嘩になる訳でも無く、互いの言い分を主張する程度の、些細な言い争いのはずだった。みく子が何故、その明るい色の長い髪を、アバンギャルドなパーマに変えたのかは解らなかった。病的に見えるほど色白になってしまったのかも解らなかった。イメージ・チェンジと呼ぶには大胆すぎる変化だったが、その理由は解らなかった。

解らなかったから、僕は全てを受け入れる事にした。別に深淵な思慮があった訳では無い。単にそうする方が穏便に済むと思ったからだ。僕は論争が嫌いだし、喧騒が嫌いだし、面倒な事も嫌いだった。それ以上に、何かが変化する事が嫌いだった。些細な喧嘩でみく子の機嫌を損ねるよりも、穏便に済ませる事を望んだというだけの話だ。

そして、こう考えた。明るいオレンジ色の髪をして、屈託ない笑顔を見せる、元気で誰からも好かれるみく子も魅力的だけれど、今、僕の隣に座ってるみく子も、みく子だ。何ら変わらない。少し痩せたように見える、細い腕。寂しそうに笑っている。急激な変化。恐らく僕の知らない所でも、周囲の友人に色々と言われたのではないだろうか。

みく子、僕は過去に戻って欲しい訳じゃないんだ。
みく子、僕は変わらないで欲しいと願う。
大切なのは過去なんかじゃない。
維持する今なんだ。

「ね、あのね」
「何? どうしたの?」
「あのね、思い出したの、今日の昼間の出来事」

みく子は目を閉じて、何かを思い出していた。
それは数分前に読んだばかりのページを、静かにめくるような動作だった。

「大学の友達に会ったんだけど、すごく心配してくれたの」
「うん」
「謝らなくちゃダメね、心配させちゃった事」
「へぇ、男?」
「ん? さぁて、どうかしら」

みく子はテレビ画面を眺めながら、可笑しそうに笑った。
安穏と流れるショッピング番組に、別に笑えるような場面は無かった。
きっと、この笑いは、みく子が仕掛けようとしている悪戯の為の笑いだと思った。

「男なんだろ?」
「ん? なぁに? 心配?」

みく子は僕の顔を覗き込むと、まるで小悪魔のように、クスリと笑った。
以前のみく子も悪戯っぽい性格だったけれど、今、色白のみく子がそうすると、病的で豊潤な色気を含んでいるような気がして、瞬間、僕はゾクリとした。白い肌。それは剥いたばかりの林檎のような、肌だった。大きな瞳で、小さく二回、瞬きをしてから、みく子は言った。

「アタシ、その人と一緒に、ノートン教授に会いに行こうと思うの」

書┃籍┃化┃第┃一┃弾┃♪┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
★ブログじゃ読めないおまけページが盛り沢山!M線上のアリア A巻 購入はコチラから!★
にほんブログ村 小説ブログへ
↑ランキング参加中!感想の代わりにお願いします。

≪一日目:プロローグ 00話 | TOP | 一日目:蜜編 現在 02話≫


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。