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一日目:蜜編 過去 04話

「好きな人がいるのよね」

ほら来た、と僕は思った。
エリカからの悩み相談なんて、九割がこの台詞から始まる。
まるでスター・ウォーズの冒頭、あの壮大なオープニング・テーマに乗せて、
英文が画面奥に向かってスクロールするように、エリカの台詞はスクロールされていった。

「好きな人がいるのよね。
 でもどんな人かまだよく解んないの、でも素敵なのよねぇ。
 大学のキャンパスで見かけたんだけどさ、もうホントすっごいカッコイイんだもん。
 あの人、彼女いるのかなぁ……ちょっとアンタ、話聞いてる?」

今回が何番目のエピソードかは知らないが、
今回でエリカの恋が終わる訳ではない事だけは、今からよく解っていた。


【M線上のアリア】過去/04


休憩中は休憩中らしく、しっかり休憩するべきなんだ。
それを何でか、エリカは自分の恋の話を、やたらと聞かせたがる。
聞かせたところで有益な進展がある訳ではなく、とりあえず話す事で満足している。

僕はといえば早くバイトを終えて、みく子の歌を聴きに行きたかった。
あの日から、ほとんど毎日、彼女の歌を聴きに行っている。
彼女の周りには十数人が集まり、同じように彼女の歌に耳を傾けている。

もしかしたらみく子にとって、僕は大勢の中の一人に過ぎないかもしれなかった。
単に「飯を奢ってもらった事がある人」に過ぎないかもしれなかった。
たまたまペルシャ猫の前を通り過ぎた、名も無き人みたいに。

「ねぇねぇ、どう思う? 彼女いると思う?」
「知らないよ、本人に聞いてみたら?」
「それが出来ないから訊いてんの」

エリカは毎度の如く頬を膨らませると「使えない男だ」と言い放った。
使えない男とは何事だ。失敬な。意外と結構、使えるわ。

「アホ、意外と結構、使えるわ」
「じゃあ蜜、本人に直接、訊いてみてよ」
「顔も名前も知らないのに、どうやって訊くんだよ」

エリカは暫し静止して考え込むと、正解はこれしか無いというように、
椅子から身を乗り出して、人差し指を突き出しながら言った。

「顔はカッコイイ」
「いや、そんな事言われても」
「名前はロシュクン」
「は? 何て?」
「名前はロシュクン」

何だそのパソコンで一発変換できないような名前は、と思ったが、
何かこう、何者かによる巨大な圧力を感じたので、それ以上深く詮索するのは止めた。
色々、大人の事情なのだ。

「へぇ、変わった名前だね」
「帰国子女なの!」
「あ、そう」

どうして女は、美男子と帰国子女に弱いのか。
美男子な上に英語を喋る事が出来るというコンボに惹かれるのか。
それは例えば「昇竜拳を出しながらの竜巻旋風脚」みたいなモノなのだろうか。

「そもそも何処で、その帰国子女を好きになったの?」
「ああ、元々、お爺ちゃんの教え子なの」
「ああ、お前の爺ちゃんか……」

そうなると、美男子で、帰国子女な上に、天才という事だ。
昇竜拳を出しながらの竜巻旋風脚のコンボに、サマーソルトキックのオマケ付き。
そりゃ最強のストリートファイターだ。

「でもね、お爺ちゃんをダシに使いたくないのよね」
「へぇ、変なトコで一途なんだな」
「内緒にしたいの」

まぁ、まだ話した事もない恋の相手に、内緒も何も無いだろうけれど。
エリカは恋の中で恋をして、それを愛と錯覚しながら、恋を育んでいるのか知らんけど、
とりあえず休憩時間はそろそろ終わりだし、僕だって、みく子の事を考える時間が欲しい。

恋に恋して恋を育んでいるのは、お前だけではないのだ。

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