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六日目:志津編 13話

暗い公園の縁で、悪魔がにやりと笑う。

「頭の中は見えないが、表情は丸見えだぞ」

ああ、そうだな。
表情位は見えるだろう。
悪魔にだって目は有る。

「お前みたいな未熟者が人を救うのか?」

悪魔が真顔で訊いてきた。
本心から疑問なのだろう。

「人を救ったりはしないよ」

真実だ。

「救わないだと?」

「うん」

「では、何故お前に救われたと思ってる人間が居るんだ?」

「知らない。私は、ただ傍に居るだけだもの。
 特別に凄いことが出来る訳ではないよ」

真実だ。

「お前はバカか?・・・睨む・」

ドサッ。

遅かった。

「睨むな、バカ」

感情の無い声の苦情、再び。
いや、三度?

悪魔は懲りずに、また石垣の上に胡坐をかく。

「人は、自分で立ち上がるよ」

悪魔の苦情は無視して話を続ける。

「本当の絶望なんて、そんなに簡単に経験できないもの」

「ん。確かにな」

「心のどこにも光がなくなることなんて、実際にはそんなに起こらない」

「それは、観て知ってる」

「だから、昔の人は『絶望は死の病』と言ったのよ」

「あれは観てて楽しい」

「観てるだけ?追い詰めたりしてない?」

「何もすることがないな。勝手に追い詰まっていく。
 そして、悪魔を呪うのさ」

悪魔が笑う。

「そんな状態の人は、誰かに逢うことも無いのが普通だから、私は遭遇したことがないな。
 遭遇したら、ビックリしてジタバタしそうだわ」

「お前はバカだからな」

ドサッ。

「でも、普通はそこまで悲惨なことにはならないから、自分で立ち上がるのよ。
 それでも、充分に悲惨だったりするけれど」

「悲惨を食うヤツは、そういうところでニタニタしてる」

「悲惨を悪魔が食っても、悲惨は減らないの?」

「減らない。良い思い出が減るのは、それが良いモノだからだ」

「ふぅん」

「悲惨は悪魔を肥やすけれど、無くなりはしない。
 そこから、涙や呪いの言葉を啜り取る。おぞましいぞ」

「そうね。観たくはないな。記憶を食うのだって、充分おぞましいでしょうに」

「俺は美しいぞ。悪魔の美しいは、お前のおぞましい、かもしれないが」

ふと、悪魔が聞き耳を立てるような素振りをした。

「誰か来るな」

「ん?そう?」

「お前は、バカだわ鈍いわ、落ちこぼれか?」

ドサッ。

悪魔が何度目かの墜落を果たしたときに、ぱたぱたと足音が近づいてきた。

「あー、志津さぁん。こんなところで何やってるんですかー」

心配そうなるどんの声がする。

「ごめんごめん。猫さんと話してた」

公園の石垣の上には、黒い猫が一匹、澄まし顔で座っている。
これなら、るどんにも見えるだろう。

「ええー!んもぅ、何やってるんですかっ!帰るって電話してきたのに、なかなか帰ってこないから心配したじゃないですか。
 ・・・・・あ、黒猫・・・」

にゃぁ。

黒猫が小さく鳴いた。

私はすかさず羽を広げて、るどんにおっ被せた。
これで、悪魔は何も出来ない。
頭の中を覗くこともできない。
るどんに、そんなことはさせない。

るどんには見えない羽で覆ったまま、二人で並んでアパートに向かう。

後ろの石垣の上には、もう黒猫は居ない。

また、落ちて、そのまま押さえつけてある。
アパートに入ったら、解放してやろう。

『バ、バカ野郎。なんてことするんだ。放せっ』

感情の無い声が喚いている。

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