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六日目:卵茶編 11話

………

遠目に見ると、既に会場になっている広場にはかなりの人数が集まっていた。
今の時間は二十時半頃だろうか。

俺の肩にはギターケース。…けっこう重いもんだな。こんなもん持ったこと無いっつうのに。

そして、横にはみく子。

息が荒い。
ギターケースを持って走った俺よりも。

「………っはぁ、はぁ。…もう、ちょっと、待って、ね。」
広場から見えない位置で、壁に背中を預けて呼吸を整えている。

「………」
俺は何も言えない。言わない。
分かってる。ここは俺の居場所じゃない。
本来なら俺は今頃、みく子がライブをすることをメールで知らされながらも家でゴロゴロして、そろそろ始まるころかと携帯を眺め、せっかくだからと激励のメールを送る…せいぜいそんなところだったはずだ。

でも、なんの導きなのか、俺はここに居る。

ならば、只々みく子のやらんとしていることを手伝うのみだ。
すぐ横の自販機で飲み物を買ってやることにする。
ポカリにしようかとも思ったが、考えて見ればもう十月。走る間に肺に流れ込む空気は冷たかった。

みく子のやらんとしていることを手伝う、というならば、出来ればベストな状態でライブに挑んでもらいたいものだ。

ホットのお茶を買う。

渡すと、みく子は
「………ホットなの?」
見上げながら、感謝と迷惑を掛けたような表情を向ける。
「や、冷たいのは喉に悪かろ?」
押し付けながら言う。
納得したようで、みく子は受け取り、ペットボトルの蓋を開いて口を付ける。

息を整えながら、ほんの少しずつ飲むみく子。喉の調子を確かめるように、ゆっくりと、時に上を向いたりしながら流し込む。

ふいにみく子が咳き込む。お茶が気管支に入ったのだろう。
みく子の横について背中をさする。
細い身体。肋骨と背骨の形がモロに手に伝わる。

落ち着いたところで
「…聞かないね。」
みく子が呟く。

「……聞かないよ。」
応えて、呟く。

ギターを俺が持った理由。

みく子がこんなにも息を切らす理由。

俺の役目はここには無いから。だから。

「………ありがと。」





五分後、息を整えたみく子は、一つ大きく息をついてから、俺に笑顔を見せる。

「ありがと、卵茶くん。」

この言葉は何に対してだろう。
みく子の笑顔は、白い街灯に照らされて、それまで以上に白く、明るく見えた。

「それじゃ、行こうか。」

何の気負いも無く歩き出すみく子。

揺れるアバンギャルド。
残像。

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