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六日目:卵茶編 13話

「おまたせ!!」
二十人は越えるだろう大衆の前に、挨拶をしながら向かってゆく。笑顔で。

人だかりがまとめて振り返り、ざわつく。
変わってしまったみく子を初めて見る人も、この中には居るのだろうか?
…もしかすると、俺が横に居ることも原因か?第三の男出現ってか?違うぞ、俺は。

ともかく、集団の中央まで自然と開いた道を、みく子と共に歩く。
みく子はみんなから声をかけられ、笑顔を返す。

たどり着いた人だかりの中央。広場の真ん中。

………オレンジ色の、街灯の下。

背の高い、男前。
これだけで分かる。
多分、蜜くんだ。

みく子からのメールで色んな人のことを聞いた。外見とか、どんな言葉をくれたのかとか…プロフィールくらいは見た人も居る。
それぞれがどんな関係かは聞かなかったけれど、その中でもみく子を巡る物語の中心に居たのは、いつも蜜くんだった。
俺なんか、端の端で動いてるだけだ。

広場の真ん中、椅子くらいの高さのレンガの花壇。その前で、オレンジの街灯の真下にスペースを開けて、右に蜜くんが立っている。
みく子は蜜くんの顔を眺めながら近付き、そのまま何も言わずに、蜜くんの肩に額を預ける。蜜くんが誰にも聞こえない声で一言呟き、空間を、ほんの少しだけ、静寂が支配する。
ゆっくりとみく子が顔をあげ、街灯の下に座り込む。

「…ん。」
みく子が俺に両手を差し出す。

…俺はみく子にでは無く蜜くんに近づき、ギターケースを肩から外して彼に渡す。
何も言わずに受けとる彼の肩に手を置き一言。
「後は任せた。」

みく子が望んだのは、彼だ。
俺はどこまでいっても、やっぱりここに居るはずじゃ無かったんだろう。







俺は、みく子をどう思っていたろうか?
妹のような存在。
好みのタイプ。
携帯の奥の存在。

愛しては、いなかったはずだ。

愛したかった、気もする。

とはいえそんなことは数年前に済んだことで、なおかつたった今、自分の意思で手を離したモノだ。
だから、あえて自分でミスリードするならば、娘を嫁にやる父親の…いや妹を嫁にやる兄の心境、ということにしておこう。

みく子、幸せになれよ。







「…ん。」
今度は、蜜くんに両手を差し出すみく子。
「はい、みく子。」
蜜くんからみく子へ、ギターが渡る。

みく子はギターケースを開き、ギターを取り出す。
そして、6弦からチューニングを始める。

「まだー?」
と誰かが叫んだ。
「ごめん。あとちょっと待って。こう…パーマの角度が。」
右手でごめんねのポーズをしながら、申し訳なさそうにみく子が言うと、何人かが大爆笑した。

俺はその間に、そこを離れる。みく子に気付かれないように。
人だかりを離れ、横の方へ。
みく子の座っている花壇の端に腰かける。距離的には七、八メートル離れていて、人の隙間にみく子の姿が見える。

人は、気付けば三十人ほどに膨れていた。

1弦までチューニングが終わり、ゆっくりと息を吐いたみく子は空を見上げた。
そのまま、右手で空を指差した。

辺りがシン…と静まり返る。

右手をギターに、目線を人だかりに戻すと、ゆっくりとみく子はこう言った。

「集まってくれてありがとう。それじゃあ、今夜の始まりの曲、行きますよ?」

あの小悪魔的な笑みの後、その声は、澄んで空に溶けた。

…時間は九時を五分ほど過ぎていた。

ライブが、始まる。

「1曲目…オレンジ」
オレンジ色の街灯に照らされて。
揺れるアバンギャルド。
音と共に。

オレンジの残像。

過去の残像。

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