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書┃籍┃化┃第┃一┃弾┃♪┃
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六日目:志津編 15話

「オレンジ」

みく子の声が曲名をコール。

夜気が肌寒い。
人が集まっているところに近づくと、静かな熱気を感じる。
みく子の歌声に引っ張られるようにして、魂が白熱していく。

「志津さん、レインボー履いてきて良かったね。
 ミニスカートやったら寒いでしょ」

るどんが『レインボー』と名づけたニーハイソックスに、腿の半分までカバーしてもらってなんとか寒そうにせずに済むくらいに空気は冷えている。
冷たい空気の中で、白熱していく魂。

集まった人を見回すと、知った顔が幾つも見える。

「Change The World」

みく子が次の曲をコール。

ん?

路地の思わぬ方向から誰か来る。
あの歩き方は、見覚えがある。
誰だっけ?

自販機が並ぶ所に通りかかると、風体がはっきりと見えた。
濃いグレーのジャケットにコーラルピンクのスタンドカラーのシャツ。
ジャケットの左の襟で、何か光った。
ブローチ?
音符?

パンツも濃いグレーで、少しだけクセのある歩き方で、どんどん近づいてきた。

ソニア!

ああ、私がこの世で一番愛してる薔薇の香り。
基本的な薔薇の香りにオレンジ色を垂らしたような、薔薇の甘ったるさを知性に置き換えたような。
この香りは「ソニア」とい名のパステルカラーみたいなオレンジ色の薔薇の香り。
花は大きからず小さからず。
香り高く、押し付けがましくなく。

はぁ。。。

「お志津、お前のアへ顔見てもしゃぁないんやが・・・」

はっ!

「まごちゃんっ」

さっき、車の中でほんのり香っていたのは、このソニアだったのか。。。
トランクに隠してたのか。

なんで?

「いやぁん、私の為にぃ?お誕生日でもないのにぃ?」

「アホか。なんでお志津にやらなあかんねんな」

あ、そ。

うほっ。
そかそか。

「Festina-Lente」

みく子のコール。

「ふぇすてぃな・れんて?!」

私は叫び返して、まごちゃんの手からソニアの花束を奪うと、頭の上に差し上げてみく子が歌っている方へ進んだ。
目の前の人が脇へ退いて通路ができる。
後ろで『アホ、何すんねんっ!』とか言ってる気がする。

正面に「Festina-Lente」を歌うみく子が居る。

最前列まで行くと、みく子の目の前で立ち止まって歌の残りをみく子と見詰め合いながら聴く。

ギターの余韻が夜気に吸い込まれたところで、みく子の傍に一足飛びに進む。
両手に抱えたソニアを差し出そうとしたとき、みく子が半笑いで首を振った。

「お志津、違うでしょ」

バレてたか。
花束をそのまま頭の上に持ち上げると、後ろから花束を持っていく。
何もなくなった両の手をそのまま広げて、みく子に抱きつく。
みく子の耳元で囁く。

「びっぐ、はぐはぐ」

「さんきゅ」

こうして私たちの挨拶は交わされ、まごちゃんの為にその場を離れる。
振り返ってみると、まごちゃんがみく子に優しいオレンジ色の花束を渡していた。
みく子が嬉しそうに受け取る。

あれ?
最前列の真ん中を外したところにカメコが居る。
てか、サイコ師匠!
なんか凄いカメラでみく子とまごちゃんを勝手に撮影している。
多才やなぁ。。。


「まごすけさん、めっさカッコイイですね」

るどんが囁いた。

「ほんま、めっさカッコイイな。あほてんちょーとは思えんわ」

「志津さん」

るどんに小突かれて、たははと頭を掻く。



「モノクロ」

みく子の次のコール。


まごちゃんが、ちょっと後ろにさがった私たちのところに来た。
凄く控えめにニコニコしてる。

「まごちゃん、花束まで用意して、ライブがあるの知ってたん?」

ここは訊いてみなくちゃだっ。

「んー?昨日、お前にアレンジ見せたやろ?
 あれな、今夜のライブに持っていくていう女の子に頼まれてたアレンジやってな。
 訊いたらみく子やて言うやないか。
 ほな、ひとつ花束を張り込もか思てな」

「張り込んだわ。ソニア何本?」

「三十本」

「ひょぇ???。。。って、それ、あんたの歳やん」

「悪いかっ」

「悪くないですっ」

るどんがすかさず割って入る。

「るども三十本の薔薇の花束貰ったら、滅茶苦茶嬉しいもん」

「ソニアやしな」

「あ、お志津。そうか。お前あの花、死ぬほど好きやったな」

まごちゃんとるどんが可笑しそうに笑う。

むくれてやる。


「秋空の向う」

みく子のコール。

歌声は疲れ知らずのように、夜の空に伸びやかに放たれる。

あ、花屋のご近所の『じゅごん』のおねいさんだ。
そういえば歌うって言ってたな。
みく子の声と相性抜群。

『すげー』

るどんとまごちゃんと私は、同時に唸った。


きんも???。(両側から後頭部をはたかれる)

思っただけやのに。。。
この二人、かなんわ。



「バニラ・フィッシュ」

みく子のコール。

最前列で近くのマックスで一番元気なおねいさんが、マックスの紙袋を持って、何故か緊張した感じで聴いている。
あのおねいさんでも、緊張することがあるんやなぁ。
いや、私もるどんも、漫才やる時は緊張するけど。
やる側は、緊張を出せない。
勝手に漏れるけどさ。

緊張しているマックスのおねいさんが、とても可愛く見える。




「アリア」

みく子のコール。

ライブの締めの曲。



終曲の余韻に浸りながら。
まだ痛い後頭部をさすりさすり、ふと視野の端に動くものを捉える。

黒猫。
すれ違う若い兄ちゃん。
黒猫が、にゃぁと鳴く。。。

公園で会った黒猫とは違う。
確かに増えてるのかもしれない。

でも、それは、今夜気にすることではない。


ライブが終わって、人が散り始めた。
白熱した魂を大事そうに抱えて。

「お志津、帰るかぁ」

まごちゃんがのんびりと言う。

「志津さん、帰ったらネタの続きを考えなね。稽古できへんかったら、るど噛みっ噛みになるよ」

るどんが至極尤もなことを言う。
けど。


ネ、ネタかぁぁぁぁぁぁぁ!
今夜くらい忘れさせてくれぇ???!

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