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一日目:蜜編 過去 07話

どうして自分が、今、みく子の部屋のベッドにいるのかは解らないけれど、
どうして自分が、今、みく子と一緒に、裸で抱き合っているのかは、よく解っている。

声がカワイイ女の子だとか、歌が上手な女の子に会った時に、
「この子が喘いだら、一体どんな声になるのかな?」なんて下品な事を考えるんだ。
それで今、僕はこう考えている。

ああ、こんな声だったのか。


【M線上のアリア】 過去/07


緩やかな曲線を描く乳房を舐めると、みく子は息を吐いた。
淫猥な何かをしたかった訳ではなくて、僕はみく子をもっと知りたかった。
例えば指に触れた時、彼女はどんな風にして、指を絡ませてくるのだろう、だとか。
柔らかな太股を爪先で静かになぞった時、彼女はどんな表情を見せるのだろう、だとか。

あんなにも快活で元気の良い彼女が、その瞬間に甘える時、僕は興奮した。
もしかしたらこれ以上、彼女は僕無しでは生きられなくなるのではないか、と思った。
どうしてそんな期待をしてしまうのかは解らない。彼女の卑猥な声が、きっとそうさせるんだ。

「恋人がいるんだと思ってたよ、ずっと」

ベッドに倒れ込んだまま、天井を見上げて僕は言った。
みく子は笑い声とも泣き声とも付かない声で、やはり笑っていた。

「どうして、そう思ったの?」
「そう思わざるを得ない歌を、唄っていると思ったから」
「へぇ、そりゃ中々もっともな指摘ね、意外とスルドイのね、蜜クン」
「いるの、恋人?」

「スープ、飲む?」と言って、みく子は立ち上がった。
カーテンを閉めない部屋には、月明かりと街路の明かりだけが差し込んでいた。
それを浴びた彼女の肢体は、やはり驚くほどに綺麗で、まるで写真の中の人みたいだった。
オレンジ色の髪だけが、暗闇を否定するように明るく、揺れている。

「いないよ恋人は、別れたから」
「何時頃?」
「そうね、最近ね、すごく最近」

「ふぅん」と僕が言ったと同時に、みく子はコンロに火をかけた。
別にスープは飲みたくなかったし、そんな事より話を進めたかったのだけれど。
僕は彼女の後姿を眺める事に満足して、それ以上の詮索はしなかった。

インスタント・スープは便利だな。
容器に粉を入れて、熱湯を注ぐだけで完成してしまうんだから。
僕等の気持ちも、それに伴う行動も、それと同じなのだとしたら、きっと僕は悲しい。
何で僕とみく子は、さっきまで抱き合っていたんだろう?

雨はほとんど止んでいた。
パラパラと屋根を伝って、滴が落ちる音は聞こえる。
それからコンロが、火を点している音。
沸騰。

「浮気されたんだ」

みく子がスープに口を付けて、最初に言った台詞。
その頃には、みく子は普段通りのみく子で、あの調子で冗舌に話した。

「浮気されたの、酷いと思わない?
 それを隠してるつもりだったのか知らないけどね、知ってたからね。
 相手の女の子はどんな子なのか、アタシ全然知らないけどね、まったく呆れちゃう!」

みく子が明るい口調で言うので、僕は思わず笑った。
それから人生初にして本日二回目の「全裸でスープを飲む行為」を試みた。
今回はベッドに座っているので、幾分か気持ちはラクだった。
みく子に(少なくとも現時点で)恋人がいないという事実も、随分と気持ちをラクにした。

みく子は笑っていた。
ほとんど普段通りに、笑って話していた。
だけれど次の一言を言った瞬間だけ、みく子の顔は笑っていなかった。

「変わってしまうモノなんて、全部嘘」

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