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六日目:卵茶編 15話

浅い呼吸が冷たい空気を取り込む。
脳が冷やされる。
でも、思考はまとまらない。

と、取り込む空気に、何かの薫りが混じる。

たった今鼻先を通りすぎた薫りに、顔を上げる。
と、すぐ横の路地から出てきて、ライブの方へ歩いてゆく男性が居る。オレンジ色の花束を左手に持っている。
顔を上げた俺を、歩きながら肩越しに見て、ニヤリとする男性。

………やられた。

顔を上げてしまった自分が、なんか悔しい。
きっと俯いている自分の鼻先にわざわざ花束を通過させたのだろう。
そのまま男性は歩いていき、人混みの中から誰かに話しかけられている。

…ん?あれは志津さん?それにるどさん。
いつの間に来ていたんだろうか。

あぁ、志津さん、花束、みく子のライブ… と来たら、きっとみく子のバイト先の“ふろーら・しょうだ”の店長さんだ。

そのまま何かを話し、急に志津さんが花束を奪ってみく子の元に向かった。
店長さんの「アホ、何すんねん!」という叫びはよく聞こえた。
人混みの向こうでよくは見えないが、志津さんがみく子を抱きしめていた。その後に店長さんがみく子に花束を渡している。

5曲目が始まり、終わった。

輪の外に出てきた志津さんたちの会話が、風に乗ってほんの少し聞こえた。とりあえず、志津さんがあの花を好きだとか、るどさんも花束もらったら嬉しいだとか…
気付けば、素直にみく子の歌が耳に入っていた。6曲目が始まっている。
…ふむ、学祭にはあの花を買っていくのも良いかもしれない。
当然、“ふろーら・しょうだ”でだ。感謝と悔しさを込めて。


6曲目。
タイトルは聞き逃したが、なんだろう、不思議な曲だ。

?あなたは私の事をずっと見守ってくれたの
?見守られている時 いつも安心と温もりを感じていたの
?やがてこの街にも雪が降り積もり…
?あなたと同じモノクロの思い出
?いつまでも残るよ
?いつまでも

優しい、そう、背中は情けないけどでもいつでも心配してくれる父親のような、離れてしばらく帰ってない実家のような…そんなイメージを感じる。
そして、そんな誰かを包み込むように、優しさを歌った歌だ。
娘のような。母親のような。

今は来ていないらしい、その“誰か”が幸せであるようにと、つい願ってしまう。

7曲目。
8曲目。
9曲目。
10曲目。

みく子は多彩なリズムで、メロディーで、弾き方で、さらにギター一本じゃ表現しきれないとばかりに多彩な声で…多彩な感情を歌う。

過去から今へ続く友情を歌い。
見てくれてるの気付いてたよ、と喜びを歌い。
心配してくれた友人への感謝を歌い。
相談相手との細くてでも強い繋がりを歌い。

そして11曲目。

「…ふぅ、さて次は今日来てる誰かさんへの曲です。誰とは言いません。誰かさんです。」

………誰だよ。

「というかこの曲、もの凄く即興で考えたから、全然メロディーとか無いの。誰かさん、ごめんね?。」

………だから誰だよ。

「走りながら考えたからさぁ、あんま歌詞もまとまって無いかも。」

………ん?

「あ、しかもタイトル決めてないや。ん?………『メール』で良いや。誰かさん、良いよね?」

………誰だっつってんの。返事なんざ有るわけが無い。

ふっ、と小さく息を吐いてギターを持ち直す。周りから音が消える。

メロディーも無く、和音も無く、とつとつと一音ずつつま弾く。

誰かさんが誰か知らないが、届けば良いなと、素直に俺は思った。

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