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六日目:タイキ編 07話

「石橋を叩いて渡るって言葉がぴったりな性格だ。」
「良い意味で慎重、でも君には消極的って意味が正しいね。」
そんな事を言われ続けた僕のコンプレックスなど、弟は気にも留めてないのだろう。

そういえば子供の頃。何でも器用に出来たのは僕の方だったっけ。

今日は同じ場所へ色々な人を運んだ。なんなんだあの路地は。

流石に疲れて、大通りのバス停に車を止め、休んでいた。何処へ行っても、何故か行き先がこの近くの路地だった。
この前の斉藤さん宅のパーティーの時に乗って頂いた、あのセクシービューティーも今日、その客の一人だったっけ。

僕は一本目の煙草に火を灯けた。
煙草を吸いながら、弟からの電話の事を考えていた。

「みく子のライブかぁ。」

会社を辞めた理由が、バイトで入った弟と比べられたくないからだった。
そう、大昔、僕が小学校四年で、弟が小学校ニ年だった頃。
あの頃は僕の方が何でも出来た。
いつも泣いていた弟を、僕が元気付けてあげたもんだ。

次の学年に進級した頃、弟は確かこう言った。

「僕、お兄ちゃんになりたい。
 そしたら、何でも出来るようになるよね?
 思い切って、行動出来るようになるよね?
 神様に、お願いしていいかなぁ。」

何で今思い出すかは解らないけど、たまに昔をこうやって振り返ってしまう。
可愛かったなぁ。それが今や、立場が逆みたいだ。

あの問いに、僕は無責任に「うん。そうすればいいよ。」って答えた。
いつの間にか可愛げが無くなっていったっけ。
そういえば、その後に弟が更に続けたっけな。

「そしたら、僕が居なくなっちゃう。
 お母さん、悲しむかな。」

「じゃぁ俺がお前になるから大丈夫だ。」

「せいかくこうかんだねー♪」

嬉しそうな弟を見て、安心したのを憶えている。
なんか、子供らしい可愛いやり取りだったような気がするな。

「変わる事が、悪い事かどうか、か。」

僕が妥協して、弟は努力して、その結果が今なのだろう。
努力して変わった弟が、変わってしまって泣いていたみく子を放っておけなかったんだろうな。
だから、変わらずに小さくなっていった僕は、みく子に興味がないのかも知れない。

「あいつ、みく子の歌聴けたかな。」

自分達に対する小さな結論を出すと、煙草の煙を吐き出した。

「いい結果、出てるといいな。」

煙草の煙が空気に溶けて消えていくのを見ながら、窓を開けた。
人と一緒に、黒猫が歩道を歩いていて、タクシーの横で立ち止まった。

その時、歌声が聴こえた。

空に、響いて溶ける声。

弟から聞いていたイメージだけ、だが、オレンジ色の髪の毛を揺らすみく子の声とは少し違う気がする。
何ていうか、もっと、悟ってるっていうか、そのイメージより大きく皆を包むような。
例えば、それは人に合わせて色を変えてしまうような。

「これ、もしかしてみく子の声なのか?」

「ニャー…」

猫に返事をされた。
その歌声を聴きながら、僕はニ本目の煙草に火を灯けた。

「…この歌声なら、大丈夫そうだな。」

「ニャー…」

またも猫に返事をされた。

「変われる事は、きっと素晴らしいんだよな。」

同時に携帯電話が鳴った。

「はい。あぁ、常務。
 バニーテレフォン?忘れて下さいよそれ。
 え?今日も交代の人来ないんですか?
 台風の影響?もうその人クビにしましょうよ。」

弟よ、僕が今からまた、あの頃みたいに、お前の目標になれるように、努力するのはいい事だろうか。

「残業?う?ん。」

変わっていこう。努力して、何でも出来る人間に。

「やります。やりますよ。」

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