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七日目:志津編 16話

灼熱の夏の後、台風一過で急速に季節は進み、秋になった。
秋になったは良いけれど、秋晴れの日には恵まれず、
ほとんどの日をぐずついて過ごした十月の空。
夜毎に冷え込む今日この頃。

いよいよ学祭の日。
朝、目が覚めて寝惚け眼で空を窺うと、真っ青な秋晴れの高い高い空が見える。

出番は午後からなので、もうちょっと寝ようかなと逡巡していると部屋のドアをノックする音。

『志津さぁぁぁぁぁぁん!』

大声ではないけれど、切羽詰ったるどんの声がする。

んもぅ???、なんでこんな日に早起きなんよ??。。。

ドアを開けると、るどんが転がり込んできた。

「志津さん、大変っ!」

「おわよー」

「あ、おはよう!大変っ!」

「どないしたん?」

「今日、何着よっ?」

ぅわ???????っ!
今頃?今頃?今頃?

「スカート履くぅ?」

そう言ってにやにや笑ってみる。
はいはい、そこで凝固しなくていいからね?。

「嘘、嘘。ジーンズがいいでしょ?」

「ビックリさせんといてよ?。ジーンズ以外に何を履くのよ。
 そうじゃなくて、上は何を着たらいいと思う?」

「んー、私はダークグレーのワンピースにモスピンクのボレロやでー」

「ロー・ウエストで切り替えて、プリーツになってるミニ丈のワンピース?」

「うん」

「で、レインボー?」

「うん」

「センスが良いんか悪いんか解らん取り合わせやんね?」

「うん」

「んじゃ、るどは、モスグリーンのベストにしようかな」

「綿入れ?」

「そそ・・・って、綿入れ違うってばぁ。ダウンやってばぁ」

「似たようなもんやん。あのボア、付けときや」

「ボアね。付けとく?」

「うん」

「判った。ほんで、何時に学校に行くの?」

「今、何時?」

「十一時」

「えっ!」

二人で無駄に慌てながら仕度をして、学校に向かう。
がんばれ足!

落研の部室に行ってサイコ師匠にちょっとだけ小言を戴いて多目的ホールへ。
楽屋入り口の重たい扉を開けて中に入ると学祭のスタッフが揃いのジャンパーを着て立ってる。

あれ?

「あれ?志津、お前何?」

んーーーっと、こやつは何者じゃ?

「ふとっち!」

中学・高校の時の悪友ではないかいな。
ああ、そいや居るとは聞いてたけど、なんで学祭のスタッフ・・・そっか、音関係か。。。

「キャッツ・ポゥです?」

「あ、落研の漫才コンビ。やっぱり志津やったんか」

「はいよ。そんなに笑うなっ」

「コートはここで預かるから。そっちの人も」

寒いから自前の衣装の上から適当なコートを羽織っていたのを、楽屋に入る前に剥がされた。
楽屋といっても、小さな控え室なので、別にスペースを取ってクロークにしているらしい。

「音屋がクローク係なん?」

「いや、偶々通りがかっただけ。控え室に行ってな」

はいよ?。
なんか高校の文化祭を思い出すなぁ。。。
調整室に入って助手やってたなぁ(邪魔してたとも言う)。

控え室で最後の合わせを簡単にやってドキドキしていたら呼ばれた。

いよいよや。

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ちゃかちゃんりんちゃんりんちゃんりん、でんでんっ!



る・し「はいっこんにちは??!キャッツ・ポゥですっ!」

  る「めぇ?もりぃ??♪」

  し「それは『キャッツ』。ポゥはどうするのよ」

  る「ポゥ?・・・ポゥ・・・あいしてポゥポゥ」

  し「ポゥポゥて、ジャッキー・チェンの幼名やんか」

  る「成長の後これを改め、成龍(しぇんろん)と申すなり」

  し「なんまんだぶなんまんだぶ・・・」

  る「生きてる!」

  し「え?」

  る「ジャッキー・チェンは、まだ生きてる。死んでへん」

  し「ああ、生きてはったんか」

  る「生きてはったんか、て。そうやのぅて、ポゥて何よ」

  し「ポゥは動物の手やね」

  る「キャッツ・ポゥで猫の手?」

  し「そうそう、忙しい時に借りるやつ」(手でにゃう)

  る「猫の手も借りたい、言いますね」

  し「そやから、めっさ忙しいときは『にゃんにゃこ舞い』て言うでしょ」(にゃうにゃう)
 
  る「それを言うなら『てんてこ舞い』です」

  し「ほんで年寄りが無理してたら『年寄りの鼻水』」

  る「こっちが洟出るわ」

  し「桃栗三年、ネタ八年」

  る「待ちぃな。一つのネタに八年もかかってたら卒業してしまうわ」

  し「留年しまくってギリギリやなぁ」(腕組み)

  る「いや、真面目に悩むとこ違うし」

  し「真面目に悩むよ。ネタやで?」

  る「学校を卒業するほうが大事でしょうに」

  し「そうなん?」

  る「そうなん?て。就職の内定もろてて卒業できへんかったら、どないすんのよ」

  し「また来年??」(にっこり手をふりふり)

  る「来年は無いの、来年は。せっかく貰った内定やねんから、素直に就職しようよ」

  し「そぅですか?。いや?、嫌やとは言いませんけどぉ、困るわぁ?」(くねくね)

  る「何をお困りですか?」

  し「永久就職でしょう?」(もじもじ)

  る「誰が?」

  し「私」

  る「どこに?」

  し「えっと・・・」

  る「もう、ええわ」

  し「ありがと」(頭を下げかける)

  る「まだまだ!」

  し「へ?」

  る「まだ帰ったらあかん。さっき出てきたとこ」

  し「あ、ほんまや」

  る「あ、ほんまや、やあらへんわ。そない早よ引っ込んだら、次の人が困るでしょ?」

  し(舞台の袖を窺う)

  る「何をしてるの?」

  し「なんか、裏でごつーん言わへんかった?」

  る「裏でごつーんは、志津さんやん」

  し「そうやん。さっきの、痛いわぁ」(膝をさする)

  る「(客席に向かって)ちょっと皆さん、聞いてくださいよ。
    この人、さっき、ほんまに裏でごつーんとしましてん」

  し「鬼の首取ったように言いいないな」(うわ。なんちゅうアドリブかますんや)

  る「私ら、今はこういう高い所に立たせてもらってますけど、
    別に私らがエラいからやないんですよ」

  し「エロいかもしれへんけどね」

  る「そうそう。
    ほんでね、ここへ上がらせてもらおうと思たら、
    舞台の高さの分、段々を上がらなあきませんねん。
    ここやと五段の階段が裏にあるんです」

  し「五段あるね」

  る「この人、五段の階段を無事に上がれへんかったんです」

  し「一、二、三,し・・・ぅわーっ!ごつーんっ!」(こける振り)

  る「思くそ膝ぶつけて、出番直前に涙目になるて、どうやの?」

  し「痛かってんもん」

  る「痣になってる?」

  し「ほら」(ニーハイソックスをぺろっとめくる)

  る「うわ。えらい色になってるわー。
    って、どうでもええけど、志津さんミニスカートで足前に出して、
    ニーハイソックスぺろって」

客席最前列『眼福、眼福』

  し「え?パンツ見えた?・・・」(あ!卵茶くんや、やっほ?)
                    (普通に話しかけながら、手を振る)

  る「そこからやったら、見えた?」(普通に卵茶に話しかける)

 卵茶『内緒っ』

  し「ほんまに痛いねんから」(漫才に戻りながら、ネタはどこ行ったと脳内大捜査線)

  る「次の人が同じ目に遭うても困るから、早く切り上げて帰ろうとしない」

  し「早く切り上げようとしたんやないねんけど、
    るどんが、もうええわ言うから、つい釣られて」

  る「じゃこですか」

  し「じゃこは釣れへんやろー」

  る「いわし?」

  し「もうちょっと大きいのんにしとこうよ」

  る「あじ?」

  し「似たようなもんやなぁ」

  る「さんま」

  し「旨いなぁ」

  る「食べたいなぁ」

  し「どうせなら鯛にしとけへん?鯛の刺身に塩焼き。残ったアラで潮汁」

  る「腐っても鯛て言うしね」

  し「うんうん・・・腐ってんのかっ」

  る「ついうっかり本当のことを」

  し「本当のことて、まだ腐ってへんよ」

  る「まだて」

  し「まだ大学生やで?ぴっちぴちやんか」

  る「あー、そうやね。大学生やったわ」

  し「でしょ?ついこないだ履修科目で悩んだとこやん」

  る「やのに、もう卒論やもんねぇ」

  し「あ・・・」

  る「どうしたん?」

  し「いや、なんでもない」

  る「なんでもないことないでしょ?」

  し「忘れとった」

  る「素になりないな」

  し「マジで素になったわ。わー、どないしょー」

  る「後で悩んで」(早よネタに戻って)

  し「ちめたいなぁ。
    ほんで、一年生のときに履修届けを書こうと思て苦労したよなぁ」

  る「そそ、外国語は英語かなぁとか。第二外国語は何にするぅ?
    て志津さんに訊いたら『C+じゃ古いんやっけ?』て言うし。
    機械語を話してどうするんですか」

  し「るどんなら話せるかもしれんて思てんけどなー」

  る「読み書きは出来るようになるかもしれへんけど、話すのは無理っ」

  し「なんで?言語やのに?」

  る「発声する言語じゃないからっ」

  し「ああ、そうか。プログラム書いてて、
    『下手やのー』
    『ごちゃごちゃやんけー』
    『そんな汚いコード書くなやー』
    『それでは動けんぞー』
    言われたら、腹立つよなー」

  る「ゲームの『シーマン』要らんよね」

  し「機械が勝手に喋らんで良かったなー」

  る「それもちょっと違う気がするけど。
    まぁ、そんなん言うてたんがつい昨日のようです」

  し「ほんまに、大きなったなぁ」(しみじみ)

  る「え?」

  し「あんなちっちゃかった子ぉが、もうお嫁入りですかぁ」(近所のおばちゃん風味)

  る「綺麗なおべべ着せてもろてぇ」(同じく)

  し「千歳飴持たしてもろてぇ」

  る「お参りは、もう済みはったん?・・・って、なんで七五三やの」

  し「あれ?」

  る「あれ?やないわ」

  し「そやけど、七五三なんか、すぐやで?」

  る「もう済んでるっ。もしやるんやったら、お嫁入りっ」

  し「お嫁入りて、るどんも古いなぁ。今は『結婚』て言うのが普通やのに」

  る「先にお嫁入り、言うたんは志津さんやんか」

  し「あら、そう?」

  る「お嫁入りも結婚も飛び越して、認知症ですか」

  し「いやー、そろそろ危ないかもしれんわー」

  る「ほな、ちょっと試してみよか?昨日の晩ご飯は、何でした?」

  し「カロリーバディのポテト味」

  る「新しいのん出てるからて、買ってきてたね。って、それが晩ご飯?」

  し「それだけやないよ。大袋の底に残ってたチョコレート」(得意満面)

  る「あんたな、それでは病気になるで?しゃぁないなぁ。
    ほんだら、昨日は何をしてましたか?」

  し「卒論書いてました」

  る「遅くまで起きてたのは、卒論書いてたんか」

  し「うん、夢の中で」

  る「それは、寝てた言うのっ」

  し「てへ」

  る「てへ、やあれへんわ。ほんまにヤバイかもしれへんな。
    ほな、アナタのお名前は?」

  し「え?」

  る「もう一回訊きますよ。
    アナタの姓名は、何と仰る?」

  し「なに、わらわの姓名なるや、
    父は元京都の産にして、姓は安藤、名は敬三、字を五光と申せしが、
    わが母三十三歳の折、ある夜、丹頂を夢見てわらわを孕みしが故に、
    たらちねの胎内より生でし頃は、鶴女(つるじょ)、鶴女と申せしが、
    これは幼名。
    成長の後これを改め、延陽伯と申すなり」

  る「なんまんだぶ、なんまんだぶ」

  し「拝みないな」

  る「いや、ありがたいお経を上げて戴いて・・・」

  し「まんまやな」

  る「そらそうやん、私ら漫才コンビやけど、所属は落研やもん」

  し「門前の美女、習わぬ噺を演る」

  る「もうええわ」

る・し「ありがとうございましたーっ!!!」



    
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終わって袖に入って、後に出る人に「お先です?」と挨拶をして、クロークに寄ってコートを受け取り、走り回っているふとっちに声をかけて外に出る。

秋晴れの下でまごちゃんが立ってた。

「お疲れさん。ご飯でも食べに行くかぁ?」

「車?」

「うん」

「行く行く??!」

「るどんも、一緒に・・・」

まごちゃんに言われるまでもなく、るどんは私に腕を掴まれて、まごちゃんが車を停めているであろう職員用の駐車場に連行されている。

ぽかぽか陽気の十一月三日。

私たちの学祭は無事に終わった。

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