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二日目:タイキ編 01話

この街で、人を車に乗せて運ぶのが僕の仕事だ。
数年前までは弟と同じ会社で、大学や会社にパソコンを卸していた。
だが、出来る弟と比べられるのが嫌で、それも辞めてしまった。
もっとも、弟はバイトという立場ではあったのだが、昔から何でも器用にこなす奴だった。
我が弟ながら、そういう所がうらやましかった。

そんな弟から珍しく電話があり、一緒に呑んだのが昨日。
話題は、弟が路上で声をかけた女の事だった。

「石橋を叩いて渡るって言葉がぴったりな性格だ。」
「良い意味で慎重、でも君には消極的って意味が正しいね。」
そんな事を言われ続けた僕のコンプレックスなど、弟は気にも留めてないのだろう。

僕なら、同じ状況でも話しかける事は無い。やはり少し羨ましい。

「で、そのみく子だっけ。
 結局今日は帰ったんだ。」

「そうだよ。
 俺じゃ涙止められないんだ。
 仕方ないだろう。」

「じゃあ、今頃彼か、元彼のところか。」

「…そうだな。
 いいんだよ!俺は前みたいな歌声が聴けるならそれで!」

「お前色々出来るのに、そういう所だけ不器用だよな。
 で、今日のヤケ酒の相手が僕というわけか。」

「オレンジ色の髪は、もう見られないのかなぁ。」

弟が見送ったらしい女、みく子に興味が沸いた。
オレンジ色の髪が、今はアバンギャルドなパーマになってる事と、通ってる大学くらいしか手がかりは無い。

興味本位に、一目見られればいいなと思った。
大抵の場合、僕のこういう考えは、そのまま何事も無く終わってしまう。

ただ、興味本位が仕事の車をある場所へと向けさせた。
大学の校門前。

見られるはずが無いのは解っているが、期待が軽く速度を落とさせる。

不意に、男と女が校門から出てきた。
女は泣いている。

アバンギャルドなパーマ。
広告らしきものがプリントされている服。
ギターは持っていないが間違いない。女は、みく子だ。

僕は、手を挙げる男の仕草を確認すると、車を止めた。

「お客さん、どちらまで?」

会ってしまった緊張が、それを隠すように言葉を発せさせた。

「…オレの家でいいか?」
「ん…。」
「じゃぁ運転手さん…。」

行き先を聞いた僕は、「はーい」と適当な返事をした後、車を走らせた。

昨日の弟の話から推測するに、この男のほうは、彼氏か、元彼のどちらかなのか。いや、もしかしたらもっと別の誰かなのかも知れない。

元々耳はあまり良くないほうなので、聞き耳を立てても断片しか聞き取れない。

「蜜クン…シュと一緒…イク…悪い事かな。」

「…っくりでい…落ち着いて話…。」

「さっき話…んちか…出たの。」

「そこまで聞い…っけ?」

断片しか聞けないから、頭が混乱してくる。
僕は急いで目的地に行くことにした。

学生がよく住むマンション地帯の一棟に車を止めると、料金を受け取った。
僕はみく子達の姿をバックミラーで確認しながら、ゆっくりと車を発進させた。

男の手は、みく子の腰に回っている。

弟よ。聞き取れたキーワードから思うに、みく子は元には戻らないんじゃないだろうか。
一緒にイクだとか、くりでいいとか、んこ出たとか、支離滅裂な上に、見知らぬ運転手がいるタクシー内でそんな猥談だ。いや、断片だったから解らないけど。

ただ、今回の話で弟と意見が合う所を一つだけ発見出来た。
偶然にせよ、僕のタクシーにもう一度みく子が乗るような事があれば、降りられたっていいから、弟と同じように叫びたい。
そのパーマは無いだろうって。

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