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二日目:タイキ編 02話

みく子を乗せて数時間後、僕は携帯電話を取った。
みく子を乗せた事を、弟に報告する為にだ。
一人で居る時間がある。それがこの仕事のいい所だ。
すぐにそれをしなかったのは、みく子の隣には男が居たからだ。
弟が言ったらしい、「どちらにも本音を伝えるべきなんじゃないかな。」の結果があれなのだとしたら、何だか伝える気分じゃなかった。

でも、あの呑み具合からするに、弟も少なからずみく子を愛しているに違いない。
だから、報告はしておこうと思った。

運転しながら(本当は禁止だが)、携帯電話を手に取る。
メールを、右手で打ちながら、路地裏に入った。


「件名:事件です!
本文:ちょっと前に、みく子らしき女の子を乗せたよ。
   マジで叫びたくなるくらいのパーマネント具合だな。」


間髪入れずに、メールではなく電話で返答が帰ってきた。

「もしもし、マジで乗ったの?」

「どんだけ必死だお前。大学はどうした。」

「長い間行ってない。バイトが忙しくて。」

「お前な、正社員になるのに大卒の資格がいるから通ってたんだろ。」

溜息混じりにそう言うと、弟は「へへっ」と笑って返してきた。
何でも出来る奴だと思ってたのに、ここ数年の弟は不器用極まりないように思う。
みく子の話も、ファーストコンタクトでの押しが弱かったのではないだろうか。
更にこう続ける。必死すぎる所はやはり愛なのか。

「俺の事はいいのだよ。それより、みく子は本当にあなたのタクシーに御乗りあらせられたのでございますか?」

「乗ったよさっき。なんか泣いてたけどな。」

「やっぱり話した通りだろ。俺程度じゃ、泣き止む事は無いだろうからな。心配だよマジで。
 せっかくパーマ直せって叫んだのに。」

「そこは関係ないだろう。でも隣に…」

出かかった言葉を、すぐに飲み込んだ。
「元通りに歌えるようになればそれでいい」なんて格好付けてはいるものの、もしかしたら弟もみく子をどうにか色々したいと思っているかも知れない。
自分の言葉が生んだかも知れない事の顛末を、知ってしまうのは酷すぎる。

「隣に?誰か居たの?」

「あ、あぁ、いや、今花屋で店長らしき人物が電話しながら半笑い。笑える顔してる。『ふろーら・しょうだ』だって。お前知ってる?」

誤魔化すのに必死だ。悟られまいと、すぐに次の言葉を続けた。

「俺はもう会う事は無いだろうけど、お前同じ大学なんだっけ?
 もう一回会えよ。あのままじゃ、みく子、元に戻らないんじゃないか?」

何故、もう一度会えと言ったのか、僕自身も解らなくなってきた。
でも、きっとそうすれば弟の望むものが手に入ると思った。

少し考えているような沈黙の後、弟は的外れというか、自分の気持ちを誤魔化すような返答をした。

「わかった、もう一回パーマ直せって叫ぶよ。
 骨は拾ってくれ。」

「後で電話くれよ。呑みくらい付き合ってやる。
 その代わり、今日中に探し出せよ。」

「おう!待ってろ!あ、でも呑みは明日にして。
 もしかしたらみく子、また深夜に歌ってるかも知れないから。」

「了解。」

電話を切った後、車の速度を上げた。
そもそも、僕自身には、みく子が色白になった理由も、アバンギャルドなパーマをかけた理由も解らなかったし、解らなくてもいいと思った。
弟、蓮火がみく子に向かってもう一度叫ぶと言った。それだけで充分だろう。
何かあっても、弟がそれで成長すればいい。
骨くらいは拾ってやろう。昨日の居酒屋に、予約の電話でもしようかな。

そう思いながら大通りに出ると、無線が入った。

「斉藤様より送迎予約です。明日、夕刻にパーティー有り。
 十八時から十九時にかけて、遠距離のお客様を送って下さいとの事です。
 ニ号車から十五号車まで、明日は忘れずに向かって下さい。」

眉間に皺を寄せながら、いつも通りの声で答えた。

「了解。」

弟よ。どうやら明日は行けそうにない。

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