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二日目:蓮火編 06話

みく子の姿が見えなくなってから、しばらく空を見つめていた。
変わらず、未だに降るのか降らないのかよく解らない空模様。
雨音は嫌いじゃない。雨粒が地面に落ちて弾ける音を聞いていると、心が落ち着くから。
雨に濡れるのも嫌いじゃない。冷たくなりながら、自分の体温をリアルに感じられるから。
どうせなら、降り出せばいいのに。
そういえば台風が近付いてるんだっけ。

どうでもいい事を考えていたら、叫んだ後の高揚が静まってくる。
俺はまた歩き出した。

信号を渡らずに引き返す。

先程通った道を引き返すように歩いた。
単純に、俺の住むマンションがそちらにあったというのも理由だが、みく子の為に取った行動をふり返りながら、思考をみく子に向けておきたかったからだ。

大通りを外れ、裏通りへ。
少しだけ、先程と状況が変わっている。
店長らしき人物しか居なかった『ふろーら・しょうだ』の店先には、大学生くらいの女の子が立っていたし、近くには見た事のある男が姿を隠しているようだった。

図書室で会った男だ。

思わず、『ふろーら・しょうだ』の道向かいに足を運んだ。
さっき図書室で言った俺の言動に、みく子に会いたいという焦りから悪意が込められていたら、少なからず彼は俺を恨んでいると思ったから。

この裏通りを通って、信号でみく子と会って、また戻ってきた。
たったこれだけの間にも、人は動いて、状況は変化する。

「変わらないものはないよ。」

そうつぶやいて、少し俯いて立ち止まった。

「変わる事は、悪い事なのかな?」

あの夜、みく子のその質問に答えた。
でもそれは咄嗟に出た言葉で、俺の本心ではなかったんじゃないか。
いや、もうそれを考えても仕方ない事だ。
みく子は微笑んで、歩き出したんだから。
それで充分じゃないか。

また歩き出そうとした時、車が近付いてくる音がした。
思わず顔を上げる。
運転している男の顔に見覚えがあった。

ロシュくんだ。
彼の顔は、俺ではなく『ふろーら・しょうだ』へ向いていた。
俺には気付かない。いや、もう忘れているのかも知れないな。
俺の横を通り過ぎるのとほぼ同時に、声が聞こえた。

「エリカ!その人っ!みく子と居った人っ!!!」

全力で振り向いた。
ロシュくんの車の助手席。
そこに座っている女の子が、声の主に手を振っているのが見えた。

走り去る車を眺める。
混乱する頭を全速力で整理する。

つまり、もしかしたら、ロシュくんが、みく子の、元彼?

みく子は、蜜クンという彼氏と、ロシュくんの間で揺れていたのか?

「もう、決めたわ。」

つい少し前の、みく子の声が聴こえた気がした。

もしみく子がロシュくんの方へ向かったら?
図書室で、彼くらいの人物がみく子の彼か元彼だったら、きっとみく子は前のように歌えるようになるんだろうな、と考えていた。
だけど、ロシュくんの車の助手席には、みく子じゃない女の子。

マズい。今からみく子が、何かしらの気持ちを元彼、ロシュくんに伝えるとする。
既に彼女が居る事なんて知ったらどうなるだろう。

ショックでみく子が、更に白くなってしまうかも知れない。
アバンギャルドなパーマにアグレッシヴさがプラスされるかも知れない。
ラメなんか入ったら、白さは更に攻撃的になってしまう。
よしんば七色に光ってしまうかも知れない。

そんな事になったら、あの歌声はもう絶対戻らない。

その場から走り去り、俺は自宅へ戻って、ベッドに入った。
雨音を聞きながら、自分に言い聞かせる。

「落ち着け。」

そもそも、ロシュくんが元彼だなんて決まったわけではない。
たまたま、みく子と一緒に居ただけかも知れないんだから。

だけど、俺にはそれを確かめる方法があった。

携帯電話を手に取る。
メールを送る準備をする。
送信先は、兄貴。


件名:今日の昼
本文:みく子を乗せた時、隣に男が居ただろ。
   ハーフっぽい男前じゃなかった?


返事は返ってこなかった。
疑問が残ったままで、胃が痛くなってくる。
ベッドに寝転がり落ち着こうとしたが、混乱した頭は更に混乱してくる。
何時間そうしていただろう。疲れて考えるのを止めたら、雨音が聞こえた。
ついに雨が降り出したようだ。雨音は俺を眠りへと誘う。
整理出来てない頭の中、ただ願うように呟いた。

みく子。七色にだけは光らないでくれ。

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