スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書┃籍┃化┃第┃一┃弾┃♪┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
★ブログじゃ読めないおまけページが盛り沢山!M線上のアリア A巻 購入はコチラから!★
にほんブログ村 小説ブログへ
↑ランキング参加中!感想の代わりにお願いします。

二日目:タイキ編 03話

外の雨粒の数は、時間が進む毎に多くなっている。
それでも、昼勤務の僕はそろそろ交代の時間だ。
弟は今頃、どこかでみく子を探しているだろうか。

不意に携帯電話が鳴った。常務からだ。

「タイキ、悪いがそのまま続けてくれるか。
 台風の影響で十二号車交代の運転手が来ないんだ。
 雨は儲け時だから。」

小さな会社だから、これくらいは聞いておかないと居心地が悪くなる。
引き受けた時の愛想笑いを察知されたのか、常務は小さく「残業代多めにするよ」と言った。

近場を往復しながら、雨に濡れた客を拾って運んでいく。
雨音の激しさに反比例するかの如く、次第に客は少なくなっていく。
そろそろ終わりだろうと思った頃、無線が入った。

向かう先は近くのマンション。
そこには一度、女子大生を送った事がある。
そういえば、あの女子大生は可愛かったな。あの娘が乗ってくれればいいのに。そんな事を考えながら、僕は車を走らせた。

高級そうなマンションのエントランス前。
まるで執事の様に背筋を伸ばしたオジサンが乗り込んできた。
いや、名前を確認して顔を見ると、どうやら大学生くらいのようだ。

「お客さん、どちらまで?」

いつもの調子で行き先を聞き、僕はいつも通り「は?い」と答えた。
その行為を、まるで操作されているようだと言われた事がある。
そんなつもりは無いのになぁ。

目的地に着くまで、客の話に聞き耳を立てる。
みく子を乗せた時から、今日は何故か癖になっているようだ。
まぁ、大学生一人だから、黙って目的地まで行くパターンだろう。

「Are You Ok?」

少し躊躇いながらバックミラーを覗く。
大学生は窓の外を見ながら、酷く疲れた表情をしていた。
長時間集中した弟が、同じような状態になったのを見た事がある。
あれは大学の試験終了後だったか。
五感を集中させて難解な問題を解いた後、放心状態で思考が口から漏れるらしい。
弟はその力を主にカンニングに使った。

僕同様、彼も今日は長い一日だったのだろう。
仲間が居る。そう思うと、少し微笑んでしまった。
だが僕の笑みは、次の瞬間に凍りつく。

「エリカ様…みく子…チョイブ男…」

驚いた。まさか彼の口からもみく子の名前が出てくるとは。
大学生が放心しているのをいい事に、僕は車の速度を落とした。

「蜜クン…彼氏…許せん…」

彼の言葉はまだ続く。

「ロシュ…エリカ様の彼氏…許せん…
 仲直り…一緒にイク…
 アルビノ…ひつじ…」

まだ聞いていたかったが、その前に目的地に着いてしまった。

「着きましたよ。」

放心状態の大学生に声をかけ、僕は料金を告げた。
彼が一万円札を差し出したので、僕は困った顔をした。

「えーっと、お釣りが・・・」

大きなお釣りの計算をしていると、彼の言ったキーワードを忘れてしまいそうだ。

「あ、八千三百二十円なんですけど、お釣り良いです。ありがとう。」

彼はそう言うと、マンションに向かってしまった。
キーワードを憶えるのに精一杯で、追いかけられなかった。

溜息を消すように、車のアクセルを踏む。
帰りにコンビニへ寄り、缶コーヒーを買った。
支払いは一万円札。

あの大学生は、明らかにみく子と関係している。

手に持ったお釣りを眺める。

弟と同じ大学だろうか。
弟に見つけてもらって、お釣りを返してもらいたい。

八千三百二十円を財布に入れる。

「あ、缶コーヒー代。」

財布から百二十円を取り出し、手に残ったお金と一緒に売上金に入れた。

明日、弟に電話しよう。
呑めない侘びも含めて。

みく子といい、「一緒にイク」、大学生の間で流行しているんだろうか。

書┃籍┃化┃第┃一┃弾┃♪┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛━┛
★ブログじゃ読めないおまけページが盛り沢山!M線上のアリア A巻 購入はコチラから!★
にほんブログ村 小説ブログへ
↑ランキング参加中!感想の代わりにお願いします。

≪二日目:黒編 05話 | TOP | 二日目:しのめん編 18話≫


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。