ロシュ編
蜜編
サク編
蓮火編
アリエス編
黒編
しのめん編
奏湖編
ちこ編
志津編
タイキ編
ゆん編
なつめ編
卵茶編
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
■ロシュ
みく子の元カレ。
二枚目、頭脳明晰、スポーツ万能で浮気者。
みく子と別れてエリカと付き合いながらも、みく子に未練がある人。
■蜜
みく子の現彼氏。
みく子のアバンギャルドなパーマを見て怒った。
世界を救いたいと思ってる人。
■サク
みく子の初恋の人。
みく子のことだけを考えながらも、人生に絶望してる。
悪魔と契約なんかしちゃってる人。
■蓮火
みく子の知り合い。
路上ライブで知り合い、アバンギャルドなパーマを見て
「とりあえず、そのパーマだけは直せよ!」と路上で叫ぶ人。
■アリエス
みく子と同じ研究室の学生。
先輩には卵茶もいる。
教授にいろんな意味で愛されてる人。
■黒
みく子のチャット友達。
るどんとビリヤードしたりもする。
みく子と実際に会ったことはない人。
■しのめん
みく子の友達。
どう見ても二児以上の父親としか思えない老けた大学生。
色の識別が出来ない人。
■奏湖
みく子の元後輩。
大通りにある24時間営業のマックス・ドックスの元気な店員さん。
みく子のライブポスターをそこら中に貼りつけた人。
■ちこ
みく子のストリート友達。
みく子と同じようにストリートで歌ってる。
昼は喫茶店、夜はダイニングバーじゅごんで働いている人。
■志津
みく子の友達。
「ふろーら・しょうだ」でバイトしてる。
落研で「るど」と漫才コンビを組んでる人。
■タイキ
蓮火の兄。
タクシードライバーをしている。
弟の蓮火のことをいつも考えてる人。
■ゆん
みく子の友達。
普段はたまにメールでやりとりしてる。
みく子のライブのポスターを作った人。
■なつめ
みく子の高校の同級生。
高校時代はみく子の生演奏を聴いたりしてた。
現在は立派に社会人をしている人。
■卵茶
みく子のゼミの先輩。
みく子とはよくメールをする仲。
後輩にはアリエスもいるがどちらからも先輩扱いを受けていない人。
■M線上のアリア CM動画 A巻発売編!
 
 

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四日目:ロシュ編 11話

「わー!お志津!」
ミクは、志津ちゃんを見つけるなり、満面の笑みでダッシュしてきて、「お志津ー、大変だよ。もー大変!」と座ったままの志津ちゃんに飛びついた。

驚いた。ミクと志津ちゃんは友達同士だったんだ。
エリカと志津ちゃんは友達だし…
ミクと志津ちゃんとエリカ。
その相関関係は、オレにとってはかなり不都合な関係だ。

ミクは、ガタガタっと志津ちゃんの横のイスにすわり、上半身をゴロンとテーブルにうつ伏せ、ほっぺたをテーブルに付けて
「はぁー、もう大変だったんだって。」

そのままの姿勢で顎を付け、俺の方を見て
「あれ?ロシュ、お志津とお友達?」
テーブルに付けたので、片方のほっぺたがちょっと赤くなった顔で言った。

「ああ、まあ、ついさっきに…」
と答えたが、ミクはそんな言葉を聞くか聞かないかという間に、志津ちゃんの方を向いて
「で、さあ、大事件よ。大事件。もーこんなこと一生に一度あるかないかぐらい大事件。もーダメなんだって私…」
と話を始める。

女の子同士が話し出すと止まらない。テンションが上がりきった時は特にだろう。
男はただの傍観者になるのが凡そだ。

「オレ、ちょっと、中庭にいるよ。まだまだ時間あるからゆっくりしてていいよ。」
平静を装い、食べ終わったトレーを持って、バッグを持って席を立つ。

ミクは、「えー、別にいいのにー。あー、でもー うん。分かったー」
と答え、女の子同士の話が再開する。

トレーを返却口に置き、外のベンチに座る。
学食の窓際の席に目をやると、オーバーアクションを交え、女の子同士の話がヒートアップしている。

やがて、バイバイとお互い手を振る仕草が見え、学食から出たミクが中庭を見回している。
オレが立ち上がると、ミクはオレを見つけ、不敵な小悪魔の笑みを浮かべながら、こっちに歩いてきた。

「さ、行こうか」
ミクが言った。


研究棟は中庭の向こう側にある。
ミクに歩幅を合わせて歩きながら、ほくそ笑んでるミクを見て
「志津ちゃんと何を話したの?」と聞いてみる。

「ええー、内緒。
女だけのひ・み・つ!」
フフッと笑いながら小悪魔の表情だ。

恐るべし小悪魔スマイル。

ミクは鼻歌を歌いながら歩いている。

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四日目:ロシュ編 12話

研究棟に着くと、キャンパスとは違った雰囲気だ。
キャンパスの明るい感じとは違い、その名の通り、研究しているところという雰囲気。

ここには、いろんな人がいる。ときどき不思議な人もいる。
廊下の陰で、無心にジーっとこっちを見ている人もいるし。
ミクは誰か友達にあったのか、手を振った。

そして、一階の廊下の一番奥の”ジェームス・ノートン(AI・電子セキュリティ)”と書かれた札のあるドアの前に来る。
ここの研究室は特別にセキュリティが掛かっている。
教授から配布されたカードをスキャンさせ、暗証番号を打ち込む。

ガチャっとロックが解除され、カギが開く。

ドアを開いて中に入ると、いつものように数人の研究生がパソコンを前に座っていた。
ここの研究室の国際色が豊かだ。
日本人はもちろんだが、中国人、インド人、アメリカ人、カナダ人の研究生や留学生がいる。
この研究室は、みんな割りと無口で、それぞれが自分の課題に没頭している。

ただ一人を除いては。

一番手前のデスクいるバスターだ。
かなり太ってて、大きな口は虫歯だらけで、異様に伸びたロンゲで、オタクと呼ばれる風貌以上のオタク的な雰囲気を醸し出している。
しかも、いつもイスからお尻が落ちそうな姿勢でポテチを食べながらブツブツ独り言を言っている。

そして、たまにこの研究室にやってくるオレや生徒、教授や大学職員までもを気色の悪い言葉で冷やかす。
さすがにオレは慣れたが、初めて声を掛けられた人のほとんどが、彼独特のその異様さに負け、出直すといって帰っていく。
ある意味、彼は、この研究室でのセキュリティの一つの役割をしている。

「いよぉ、特待生!今日はオレンジ色の可愛い助手が一緒か?いひっひっ…」
と、オレとミクを見るなり言った。

案の定、ミクもびっくりしてオレの背中に隠れてしがみ付いている。

「やあ、バスター、今日はノートン教授にレポートを提出に来たんだよ」
オレはさらっと流して、そのまま、ぐっと背中にしがみ付いたミクと一緒に通り過ぎる。

後ろではバスターが
「ロシュは話題を作るには事欠かないなぁ。いひっひっ…
そのうち、パパラッチに狙われるぞ。いひっひっ…」
とまだ言っている。

さらにオレの背中にぐっとしがみ付いた無言のままのミクと一緒に、向こうのドアの教授のいる部屋に向かう。

よく機密事項を扱ったりするので、この研究室はニ重のセキュリティになっている。
かなり重要な作業は、教授のいる部屋は奥の部屋を使う。

インターフォンのスイッチを押して
「教授、ロシュです。話していたミクも一緒です」
と言うと、赤い光が顔に当たり、網膜をスキャンした。

「ロシュか。待ってたよ。入りたまえ。」
ドアに付いた暗証キーに番号を打ち込むと、ガチャっとロックが解除された。
重いドアを開け、ミクと一緒に入る。


窓がなく、かなり冷房の効いた無機質な部屋の奥に茶色いアンティークのデスクあり
紺色でピンストライプの入った上等のスーツを着て、淡い黄色のシャツに濃い緑のネクタイをした白髪の老紳士が、デスクに備え付けられたモニターを見ている。

そして、緑色に光っているモニターから視線をはずし、老眼鏡を外して、眼光鋭くこっちを見る。

ノートン教授だ。

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四日目:ロシュ編 13話

「こんにちは。教授。
外は台風一過のいいお天気ですよ。空気がカラッとしていて本当に気持ちいいです」
オレはいつも通り、挨拶のあとに外の天気の話をする。

「そうかロシュ。ここにいると外の様子が分からんからの」
ノートン教授は、眉を上げて口元で少し微笑んだ。

「そして、そちらがみく子君か。君の話はロシュから聞いておる」
ノートン教授はいつもの厳しい表情に戻り、キッとした鋭い眼差しでミクを見る。

「はい。こんにちは。はじめまして。」
ミクはペコリと頭を下げ、挨拶をした。

「ふむ。 お会いするのは初めて …じゃったかの? ふむ…。まあ、良いか」
ノートン教授は真っ白な顎ひげに手をやりながら呟いた。


「教授、例のレポートです。」
オレは、カバンからフラッシュメモリーを出して、教授に渡す。

「ふむ。」
ノートン教授はフラッシュメモリーを受け取り、ソケットに挿し、モニターを見ながらマウスを操り、ファイルを開く。


「まだ、作成段階ですので、不完全な部分はあるのですが…」
仕上げの出来ていないレポートだったので、オレはそう付け加えた。

「うむ。」
老眼鏡をかけ直し、ノートン教授は超人的なスピードでファイルを開き、次々に内容を見ていく。

「なるほど… 作成段階にしては今回もなかなか良く出来とる。大きな修正点はなさそうじゃの。このまま続けたまえ」
ノートン教授はそう言って、オレの方を相変わらずの鋭い眼差しで見た。
「何か質問はあるかの?」

「はい。あの… ちょっと判断に迷っているところがありまして…
この八個目のファイルの”内部変更に対しての自己回復と修復機能”は、この方向性で進めてよろしいのでしょうか?」
ノートン教授にマウスを借り、ファイルを開き、該当箇所をポインターで指す。

「うむ。そうじゃの。それは受け手側次第になるじゃろうが、自己変化と進化という視点も必要かもな。自らを変わることも大事かもしれんのじゃよ」
ノートン教授は、話に参加していないミクを横目でちらりと見ながら言った。

「分かりました。その視点からも検証してみます」
なるほど、さすがは教授だ。一手先を読んでいる。

再び、ノートン教授はマウスとキーボードを使い、恐ろしい早さで修正点を打込み、ファイルを閉じ、フラッシュメモリーをオレに渡した。

「前回の学会でのロシュのプレゼンは良かったぞ。あのビル君も触発されたのか、先日新しいブラウザーを発表したようじゃの。今回も期待しとるぞ」
ノートン教授に肩をポンポンと軽く叩かれた。
老眼鏡の奥に光る鋭い目が、少し優しい目になったように見えた。

「ありがとうございます。任せてください。きっとご期待にお答えできると思います」
オレは自信満々に答えた。


「さて、みく子君…」
オレとの話が終わったところで、ノートン教授は鋭い眼差しでみく子を見ながら言った。

「はい。実は、私、教授にお願いがあって来ました」
「うむ。」

「教授、もう頼りにできるのは教授だけですから…
これを見てください」
みく子はMOディスクを取り出し、ノートン教授に渡した。

「MOディスクか…」
ノートン教授は、ドライブにMOディスクを入れた。

ファイル名が表示されたところで、ノートン教授はクルっとモニターの向きを変え、オレから見えない方向にした。
「これは… そうか… みく子君、やはりそうか」
いつも鋭いノートン教授の目が、少し潤んでいるような気がした。

「はい。そうです」
みく子はノートン教授を大きな目で見ながら言った。

ノートン教授は、ふうーっと大きな息を吐き出した。
ノートン教授の顔は、喜びと悲しみ、そして希望と落胆の交じり合ったような今まで見た事のない複雑な表情だった。

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四日目:ロシュ編 14話

木製のアンティークチェアーの背もたれにもたれながら
ノートン教授の目は、しばらく天を仰いでいた。

思い出したかのように、ノートン教授は懐中時計を内ポケットから取り出し、時間を見た。
そして
「ロシュ。ちょっと頼まれてくれんか」
思い出したようにノートン教授が言った。

「なんでしょう?」
「今から、大通り近くの斉藤氏のところへ行って欲しいじゃが」

「今からですか?」
「うむ。そうじゃ。今からじゃ」

「はあ… でも…教授、斉藤氏の家は知らないんですが…」
オレは、すまなさそうにノートン教授に言う

「すぐ分かるはずじゃよ。大通りから見える小高い丘にある風見鶏の付いた屋根の大きな家じゃよ。目立つ建物じゃから何度か目にしておろう」

ああ、あの家か。結婚式場か何の建物かと思っていたんだが、人が住んでいたのか。
「あ、はい。分かります」

「頼まれてくれるな?」
ノートン教授は、鋭い眼差しで念を押した。

「はい…」
反射的にオレは答えた。


ミクがオレを見て、ノートン教授に向きかえって
「あの…私は…」
と、頼りなさそうにノートン教授に尋ねた。

「君はもう少し残って欲しい。話も聞かせてくれるかの?」
と言ったノートン教授のミクを見る目は、普段とは少し違うように思える。

「はい… 私も教授にお話しなければならない事が…」
ミクは答えた。


オレはミクに
「じゃ、後で電話して」
と伝えると、ミクはコクっと頷いた。

部屋を出る時もやはり入る時の同じように、ドアに付いた暗証キーを押しロックを解除し
「失礼しました。では、また。」
とノートン教授に挨拶してドアノブに手を掛けた。

「ではな。ロシュ。また追って連絡する。斉藤氏のところへは、車で行った方が良いじゃろうな」
とノートン教授はデスクに座ったまま、少し微笑みながら言った。


ミクは唇を噛みしめ、思いつめたような顔をして教授の傍に立っていた。
この無機質な部屋の中では、ミクのオレンジ色の髪と真っ白な肌は余計に鮮やかだった。

網膜に焼き付く程、鮮明な色だった。

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四日目:ロシュ編 15話

研究棟から出て、大学の駐車場へ向かう。
研究棟から大学の駐車場はすぐだ。

オレは何か納得できない気持ちをぶつけるように、ドアを開けると、後ろのシートにカバンを投げ入れ、どかっと車のシートに座る。
仲間はずれにされたような気分だ。

「何なんだ…いったい…」

ノートン教授とミクの会話
…あの会話の意味するものは何なのだろう。

見ることが出来なかったMOディスクの中身
…ミクの秘密はそこにあるのか?

ノートン教授とミクの関係
…隠してはいたようだが、ノートン教授は以前からミクを知っていたのか?

そして時間をみて斉藤氏宅へオレに行かせた理由
…きっと何かあるとみて間違いない。

しかし、情報が少なすぎる。


「まずは、斉藤氏だ」

車を出し、大通りの近くの斉藤氏の家へ向かう。



大通りに出てしばらく走ると、小高い丘が見え、風見鶏の付いた屋根の大きな屋敷が見えた。

「ああ、あれだ」
オレは独り言を言いながら、大通りから小道に入り、屋根の風見鶏を目印にしながら丘を登っていく。

やがて、大きなアーチ型の鉄柵の門の前に着いた。
斉藤氏宅は、大通りから遠目で何度も外観は見ていたのだが、実際に来るのは初めてだ。
かなり大きな家だ。家というより屋敷で、ちょっとした宮殿のようだ。
エンジンをかけたまま車を門の前に停め、一旦車から降りて、門の横のインターフォンのボタンを押した。

しばらくすると
「どちらさまですかぁ??」
という若い女の人の声が聞こえた。

「ええっと、ノートン教授の使いの者でキリシマ・ロシュと申します。ノートン教授のご用で伺いました。斉藤様のお宅ですか?」
とオレが言うと

「はぃ。斉藤ですょぉ。 ノートン教授のぉ… ぁ、はぃ。 先日のご用件わ承ってぉりますぅ? 本日わぁ、お車ですかぁ??」
「ええ、車で参りました」

「でわぁ?、門をお開け致しますのでぇ?、お車のままお越し下さいっ」
「は、は… い…」

インターフォンに出た女の人は、何か変な口調だ。
しかし、間違いなく斉藤宅であるらしい。

車に再び乗り、しばらくすると自動で重そうな鉄柵の門が開いた。車を進め、ゆっくり入った。
やや緊張しながら、噴水のある庭を横切り、屋敷の玄関に車でゆっくり向かう。

「すごいな」
大きいとは分かってはいたが、ここまでの屋敷とは知らなかった。

屋敷の前は大きな屋根が付いた車停めがあり、大きな玄関の扉が見える。
車を側らに停め、その大きな扉の玄関に向かった。


コツコツ。
厚い大きな扉に付いたライオンのレリーフから伸びる円形のノッカーでドアをノックする。

やがて
「はぁ?ぃ」
と、インターフォンで聞いた明るい若い女の変わった口調の声が聞こえ、ドアが開く。

「こんにちは。ノートン教授の使いのロシュです」
と挨拶すると

「ぃらっしゃいませぇ?。こんにちわぁ?!ご機嫌ぃかがですぅ??
どうぞぉ入り下さぃませぇ?」

濃紺色の服にミニスカート、フリフリのエプロン姿、まさにこれぞ噂のメイド服という格好をした女の子が視界に飛び込んでくる。
胸には「桃ニャ」と書いてある大きなピンクの丸い名札がついている。

オレの緊張は一気に解ける。
「ははは。 ここは斉藤様のお宅ですよね?間違いないですよね?」
その完璧なメイドぶりに思わず苦笑しながら改めて聞いた。

お宅とヲタクを間違えたのか?と思ってしまったし。

「ぇぇ?、そぅですょぉ? わたしぃ、昨日からメイドとして斉藤様にぉ仕えしてぉりますぅ 桃ニャと申しますぅ?
昨日のパーティーでぇ、私の事ぉ奥様がぉ気に入って下さってぇ? そのままぉ仕えすることになったんですぅ?
ひやぁ? どうぞぉ?ぉ入りくださぃっ」

このキャラを気に入った夫人とは?と考えると、何か違う変な意味で不安になってきた。
不安になりながらも大きな厚い扉から中に入ると、吹き抜けの玄関ホールになっていた。

玄関ホールから両側にニつ緩く半円形を描く白い階段があり、それは見事な造形美で二階につながっており
ニつ階段の間には印象派の淡いタッチの大きな絵が飾られ、花がオーバル型にきれいにアレンジされ、ゴシック柄のレリーフの大きな花瓶に入っていた。

「ただぃま奥様をぉ呼びしますねぇ? 奥様ぁ? ぉ客様ですょぉ?」
メイドの桃ニャさんは、相変わらずの不思議な口調とテンションだ。

「あら、いらっしゃったのね」
ニ階の奥から女の人の声が聞こえる。

やがて、ちょっとふっくらしているけれどきれいな女の人が階段からゆっくり降りてくる。
エンジとオリーブ色の大きなサークル柄をあしらった七十年代風のレトロモダンなワンピースを着ている。
きっと彼女が斉藤氏の夫人なんだろう。

「こんにちは。私が斉藤の妻よ。」
夫人は微笑みながら言った。
「はじめまして。キリシマ・ロシュと申します」
オレも夫人に挨拶をした。

「ノートン教授からのご用はお聞きしてるわ。もちろん、あなたの事もよ」
夫人は上品に微笑みながら話を続けた。

「ごめんなさいね。散らかってるしこんな格好で。お茶でもいかがかしら?」
夫人はオレに尋ねた。

立派で広い部屋の中は、ホコリひとつほどないぐらいきれいだし、部屋着にしては、そのワンピースはオシャレだし。

「いえ、せっかくのお誘いなんですが… 私は教授にご用を頼まれただけですので…」
「そうお?お話は尽きないのよ。昨日、教授とお孫様のエリカちゃんがパーティーにお見えになってねえ…」
夫人はおしゃべりのようだ。しばらく奥様のおしゃべりが続く。

「あら、やだ。また私、長話。いつもそうなのよね。教授の承りものを急がないとね」
夫人はそう言った。

「桃ニャー!桃ニャー!教授の承りものを!」
夫人が言うと

「は?ぃっ。今、ぉもちしま?す?」
と奥から声が聞こえ、メイドの桃ニャさんが何かを持ってくる様子だ。

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四日目:ロシュ編 16話

「フラワーアレンジメントとダンス、それからこの絵の完成披露パーティーだったんですの。お天気は悪かったんですけど、たくさんの人がお見えになったんですよ。
描いてくださった方もお見えになってね。あなたもエリカちゃんとパーティーにいらしたらよかったのに…」
斉藤夫人は、玄関ホールの絵をにこやかに見上げながら言った。

そういえば、月曜の夜、エリカとドライブに行った時、エリカが「招待状あるから一緒に行こうね」って誘ったのは、ここでのパーティーの事だったのか。
でも、パーティーのその日は、エリカとは連絡すら取れないし、気持ちもかなり滅入ってしまっていたから、オレは家の外に出ることさえしなかったんだった。

「はぁ。」
と、オレは生返事をした。

夫人は、パーティーの様子を思い出していた…



大きな玄関ホールの両側からからニ階に伸びるニ本の白い階段は、それぞれ花で彩られ、ニつ階段の間に大きな絵が設置され、白い幕が掛けられていた。

さらに、「ふろーら・しょうだ」の花が追加され、大きなホールは一層華々しく鮮やかになり、花々のほのかで柔らかないい香りがホール中を包んだ。
中心に大きなテーブルが置かれ、レモンリーフで器を飾ったテーブルフラワーと料理が並べられた。

黒さんが、ドアマンとして、金色の飾りの付いた肩章にブランデンブルグ型の胸章の付いたゴージャスな紺色のロングコート着て、帽子を被り、白い手袋をして表のドアの前に立ち、ドアマンとしてスタンバイした。
ウエイトレスのフリフリのエプロンを付けミニスカートを履いた桃ニャさんは、先ほどから中央のテーブルでせっせとテーブルの仕度をしている。
ヨシノリさんは、黒のタイトなスーツを着て、バーテンダーとしてカウンターに入り、先程からテキーラのボトルをジャグリングのようにクルクル回している。

夫人は、紫色のベルベットのドレスを着て、斉藤氏に寄り添い、落ち着かない様子だ。
斉藤氏はパイプでタバコをふかしている。

やがて、「お客様がお着きになられました!」
黒さんの張りのある声が響いた。

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四日目:ロシュ編 17話

「こんばんは。いらっしゃいませ」
斉藤氏宅には、あいにくの雨にも関わらず、ぞくぞくと車がやって来る。
黒さんは、ひとりひとり玄関の扉のところで「いらっしゃいませ」と声を掛け、扉を開け、お客様をホールへと導き入れる。

「こんばんは。ご機嫌いかが?ゆっくりなさってね」
斉藤氏と夫人も来賓と挨拶を交わす。


一組の女性ニ人の来賓が玄関の扉から入ってくる。
一人は、黒のドレスに大きなゴールド色のストールを羽織ったシックでセクシーなドレスを纏い、もう一人は、ブラックにブラウンの大きな縁取りのあるドレスに、大きな羽飾りのついた帽子を被っている。
スカビオサ姉妹だ。

ニ人を見つけた夫人は、ささっと駆け寄り
「いらっしゃい。よくいらしたわね。今日は妹様とご一緒?」
と挨拶をする。
「こんばんは。今日は妹がちょうど公演で日本に来ておりましたので、妹と参りました」
スカビオサさんは奥様に挨拶をする。

「どちらの方かな」
斉藤氏は夫人に尋ねると
「スカビオサさんよ。お話したでしょ。私がよく伺っているスパ・リゾートの社長様のお嬢様よ。こちらは、妹様。オペラ歌手でいらっしゃるの。日本公演の合間を縫って来て頂けたのよ」
夫人は嬉しそうに斉藤氏に言う。

「おお、よくいらっしゃいましたね。どうぞごゆっくり」
斉藤氏も笑顔だ。


丁寧に黒さんが扉を開けると、また一組の来賓が入ってくる。
一人は、薄紫色で肩紐がなく、胸のところにドレープの入ったロングドレス、もう一人は、シルクのマロン色の細い肩紐の付いたキャミソールタイプのロングドレス
どちらも深く胸元が開き、腰の辺りまでスリットが入って、スタイルの良さに加え、色っぽさ満点だ。

「おお、あめ湯さん、よく来たね」
斉藤氏は顔の表情を緩めて挨拶をした。
「お招きありがとう」
薄紫のロングドレスのあめ湯さんは、クールに挨拶をした。

「まりモさんもよく来たね」
そう言った斉藤氏の厭らしそうな目はどこを見ていいのかと視点が定まっていない。
「こんばんは、今夜はメンズ達もたくさんお集まりなのね」
マロン色のドレスのまりモさんは周りを見回しながら挨拶をした。

ニ人と会話する笑顔の斉藤氏の鼻の下は伸びっぱなしである。
夫人は見てみぬふりをしている。


再び扉が開き、また一組入ってくる。
レースのカチューシャをして、大きなリボンのついたパフスリーブのクリーム色のドレスを着たモデルのみささんと、蝶の刺繍の入った深いブラウン地の着物を黒のスリムなスラックスパンツと合わせてうまく洋風に着こなしているカヨリさんだ。

夫人が駆け寄り
「こんばんは。いつもかわいいわね」
みささんに挨拶をする。
「こんばんは。お招きありがとりんこ。」
と、みささんはいつもの挨拶をする。

「こんばんは。来年のコレクションも楽しみだわ。あなたのお店のデザインの服、とても気に入ってるの」
夫人はデザイナーショップのファッションアドバイザーのカヨリさんに挨拶をする。
「こんばんは。もうすぐ春夏コレクションの受注会を致しますから、近々ご案内しますわ。来年の春夏コレクションも楽しみにして下さい」
カヨリさんは夫人に挨拶して、そう言った。


その頃、玄関口の車停めに大きなリムジンが止まり、黄色と緑のカマーベルトをし、黄色に緑の蝶ネクタイをした黒のモーニング姿でステッキを持った老紳士と淡いピンクと白の繊細な刺繍が入ったアシンメトリーなキャミソールタイプの上品なドレスを着た令嬢が車を降りていた。
ニ人が中に入ると、斉藤氏と夫人が駆け寄った。

「ようこそ。ノートン教授」
斉藤氏と夫人は挨拶をした。
「こんばんは。斉藤夫妻。今日は雨じゃったんじゃの。いつも研究室にいるからの、外の様子がいつもわからんわい。ほっほっほっ」
いつも鋭い目のノートン教授だが、今日ばかりは表情が緩んでいる。

「こんばんは。エリカちゃん。今日はお爺ちゃんがご一緒なのね」
夫人はエリカに挨拶をする。
「こんばんは、奥様。そうなの… 今日はお爺ちゃんが一緒なの…」
エリカはぎこちない笑顔を作って挨拶をしたが、大きな瞳が潤んでキラキラしている。胸元のスパンコールもキラキラしている。
「そうなのね。後でゆっくりお話を聞きましょうね」
夫人はやさしくエリカに言った。

玄関の扉が開き、黒のワンピースに黒のボレロ、ピンクのコサージュとピンクの靴を履いた女の人が入ってくる。
水彩画家のほのかさんだ。

夫人が駆け寄り
「こんばんは。遠いところ、よくいらっしゃたわね。ありがとう」
と挨拶をし
「こんばんは。お招き頂き、こちらこそありがとうございます」
ほのかさんは、にっこり笑顔で答えた。

「ほのかさん。あなたの絵でこのホールが明るくなったよ」
斉藤氏はホールのニつの階段の間を指差して言った。

ほのかさんは指差した方向を見たが、絵には、まだ幕が掛かっている。

えっという顔をしたほのかさんを見て
「おっと、これから除幕式なんだよ」
と斉藤氏は付け加えた。


そして、その絵を背中に斉藤氏が立ち、夫人が寄り添い
「お集まりの皆さん、お越しありがとうございます。足元の悪いところお越し頂いて、大変恐縮です。
特に、ノートン教授、エリカ嬢、お忙しい中、お越し頂き、まことにありがとうございます。

さて、今夜は、後ろにございますこの絵のお披露目会ならびにダンス、フラワーアレンジメントが楽しめる催しです。
また、この絵はこちらにいらっしゃるほのか嬢にお描き頂きました。

お料理もお飲み物もご用意しておりますので、ごゆっくりとご歓談下さい。
さあ、パーティーのスタートです!」
と斉藤氏が言うと

絵を覆っていた幕がぱあっと下ろされると
淡いやさしい色調で光溢れる湖のほとりの風景を描いた美しい絵が現れた。

みんなが「わあー!」と声を上げた。

軽やかな音楽が流れ、シャンパンの栓がポン。ポン。と快い音と共に抜かれた。
乾杯のグラスのカチーンという音があちらこちらで鳴り響く。
ホールは花の甘い香りとシャンパンの爽やかな香りで溢れた。

パーティーが始まった。

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四日目:ロシュ編 18話

豪華で楽しいパーティーだ。


踊ったり、飾られたアレンジフラワーを鑑賞したり、絵を鑑賞したり、談笑したり。

カラーセロファンとアクリルのバーで彩りされ、高低差を付けながら飾られたアレンジフラワー、モールワイヤーを巧みに使いハート型に作られたアレンジ、金銀のワイヤーを使い燭台を利用して大胆に放射状に飾られたアレンジ…
スカビオサさんは妹さんと、シャンパングラスを片手に軽やかな音楽を聞きながら、ホールに飾られた花をひとつひとつ熱心に観賞している。

音楽に合わせ、あめ湯さんとノートン教授がダンスをしている。
「お爺様、なかなかやるわね」
「ほっほっほっ。ワシの若い頃は、こんなもんじゃなかったぞい」
ニ人は軽やかにステップを踏んでいる。

まりモさんは、バーカウンターのところで斉藤氏と一緒にカクテルを嗜んでいる。
斉藤氏は、セクシーなまりモさんの横でお酒が飲めるだけで楽しそうだ。
ヨシノリさんは、器用にボトルを回し、シェイカーを振り、手際良く、そして華麗に次々とカクテルを作っていく。

まりモさんの空いたグラスを見て、ヨシノリさんが
「何かお作りしましょうか?」
と言うと

まりモさんは
「マティーニを。ドライで。今日は酔いたい気分なの」
と色っぽく答えた。

手際よくヨシノリさんはマティーニを作り、まりモさんはそれを一気に飲み干した。
「お強いんですね。もう一杯いかがですか」
とヨシノリさんは言い、飲み干したグラスを片付けようとそっとグラスに触れる。

まりモさんは斉藤氏に分からないように差し出したヨシノリさんのその手に触れ、持っていた小さなメモを渡す。
どうやら、泊まっているホテルと部屋番号が書いてあるようだ。

えっという表情のヨシノリさんに、まりモさんは
「ここの仕事が終わったら、またお仕事よ」
と赤いルージュの唇で艶かしく囁き、グラスの中のオリーブの実を指先で摘み、口に入れ、舌で色っぽく転がした。


みささん、カヨリさん、エリカは三人で談笑している。
「エリカさん、カワイイっ。みさりん、ファンなんです」
「みささんもカワイイわ。コリン星のお姫様みたいよ。カヨリさんもオシャレね」
「エリカさんはセンスがいいわ。お店のディスプレーの参考にさせてもらっていいかしら」
「ええ。もちろん。」


夫人とほのかさんは絵を見ながら
「モントレーから見たレマン湖の絵なんです。詩人バイロンゆかりのシヨン城があそこに見えます」
「青と緑、それを照らす日の光、本当にきれいな絵ね」
と、絵のエピソードについて楽しそうに談笑している。

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四日目:ロシュ編 19話

夜も更け、華やかで賑やかなパーティーが終わった。
パーティーでは、それぞれがそれぞれの楽しみ方をし、そして、それぞれがそれぞれの帰路へ着いた。

来賓の居なくなったホールは、ようやく片付き、さっきまでの賑やかさは嘘の様に静まり返った。
台風も過ぎ、家の中も外も本当に静かになった。

奥の応接間のゆったりしたソファーでは、斉藤夫妻、ノートン教授、エリカが話をしている。
最後まで片付けをしていた桃ニャさんが気を利かせて紅茶を出す。

「いろいろとありがとうね。桃ニャさん。どうかしら、このままうちの手伝いをして頂けないかしら」
夫人は桃ニャさんに言った。
「それはいい考えだな。広い家で妻一人では何かと大変だし、君のような人がいてくれると助かるよ」
斉藤氏も賛成した。
「えぇっ。ぃぃんですかぁ?桃ニャ、ぅれしぃですぅ」
桃ニャさんは嬉しそうだ。

斉藤氏はお酒が十分に回り、ソファーの座り心地の良さが加わって、かなり眠そうだ。
「ふあ…」と斉藤氏が思わず欠伸をしようとした時
「寝室にお連れして。ノートン教授ごめんなさいね」
と夫人が言い、斉藤氏は桃ニャさんに連れられ寝室に向かって行った。


「エリカちゃん、今日は彼氏と一緒じゃなくて残念ね」
と夫人は、うつむいたエリカを覗き込むように言った。
「彼とは昨日ちょっとトラブっちゃったんで、連絡もしてないの」
エリカは小さな声で言った。

「何があったの?」
奥様はエリカに優しく尋ねた。
「一日中、大学のみく子っていう子と一緒にいたらしいの…」
エリカは小さな声で答えた。

「ほお、みく子君か…」
話にノートン教授が入る。

「お爺ちゃん、知ってるの?」
キッと睨むような目でエリカはノートン教授を見る。

「ふむ。いろいろとな。ロシュ君が彼女に興味を持つのも有り得ん事ではなかろうて。ワシの教え子じゃしな」
ノートン教授は自分の白い顎ひげを撫でながら言った。

「どういう意味でですか?」
夫人はノートン教授に苦笑交じりに尋ねた。

「それはここでは言えんじゃろ。機密ってやつじゃ」
きっぱりとノートン教授が言う。

「ふうん。お爺ちゃん、都合が悪くなったらいつもそうだもん」
ふくれっ面してエリカが言った。

「ほっほっほっ。本当に都合の良い言葉じゃの。しかし… それはエリカにとっても、ロシュ君にとっても良いことではないのう」
ノートン教授は困り顔をしながら言った。

「本当に好きな人なら仲直りしなくちゃね」
夫人はやさしくエリカに言う。


エリカは応接間に飾られた花束に目を移し
「ああ、あのお花、綺麗。私もあんな風にいつも綺麗に明るく咲いていたいな」
うわ言のようにエリカは呟いた。

それを聞き、夫人は
「エリカちゃんは十分綺麗よ。今夜はあなたが一番輝いていたんですから」
となぐさめ
「良かったら、エリカちゃんにその花束を差し上げるわ」
と言った。

「ええっ嬉しい。ありがとう」
エリカは顔を上げ、夫人にお礼を言う。

「明日、ご自宅にお送りするわね」
その明るくなったエリカの表情を見て、にこやかに微笑みながら夫人は言った。

「それは恐縮じゃな。 …ふむ。そうじゃ。明日、ワシが使いの者に取りに伺わせよう。使いの者は…あやつが良いじゃろうな」
何か閃いたようにノートン教授は夫人に言った。
「そう? …うん。そうね。 …それがいいわ。それは粋な計らいね」
夫人はノートン教授の意図を悟り、そう言いながらウインクをして答えた。

エリカはノートン教授と夫人の聞きながら、うっとりと花を眺めていた。


今夜の激しかった雨風は、すっかり収まっており、宴の後の夜は、虫の音と共に
静かに…
そして …
深く深く更けていった。

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四日目:ロシュ編 20話

「ょぃしょ。ょぃしょ。。。」
「桃ニャー、1人で大丈夫?私も行きましょうか?」
斉藤夫人は桃ニャさんに声を掛けた。

「ぃぇ?。奥様ぁ。だぃじょぅぶでぇすぅ。」
えっちらおっちら抱えて、桃ニャさんは大きなものを持ってやって来る。

えっ?花? …?
教授の使いの用件は花?


「ぉ待たせしましたぁ? ふにゃぁ。」
桃ニャさんが奥から持ってきたのは、大きな大きなアレンジフラワーだ。

「これをある人に届けて欲しいの。それがノートン教授と私のお願いよ。あなたを一番大事に思っている人で、あなたを一番大事に思っている人に渡して欲しいの」
夫人はそういって、ウインクをした。

瞬時にエリカの笑顔が浮かぶが、改めてもう一度冷静に考えてみる…

もしやミクか?
…いや。ミクの本当の気持ちは、昔から良く分からない部分があった。小悪魔的な掴めそうで掴めないミクに興味を持った。
好きというより彼女には興味があると言った方がいいのだろうか。
それに、ミクの心は掴めないし、ミクは必ずしもオレの事を一番大事に思っていないのかもしれない。

やはりエリカか?
…時々はケンカもするが、やっぱりオレのことを大事に思ってくれていると思う。気分屋で我侭で、意地っ張り。でもそんなところも許せてしまう。それは好きだから。大事に思っているから。
気持ちをはっきり出して自分をちゃんと表現するし、オレを必要としてくれ大事に思ってくれている。一緒にいて一番気持ちが通じる。一番分かり合える。
間違いなくエリカだ。

「そうよ。その人よ …間違えないでね
今、その人は大通りのマックス・ドックスに居るから、届けて欲しいの」
夫人は、そう言った。


大きな花束を抱え、車のところへ運び、助手席のシートを倒し、車の後部座席に乗せる。 2ドアで後部座席が小さいが、ギリギリ何とか載った。

「じゃあ、頑張ってね」
にこやか笑顔で夫人は車に乗ってハンドルを握ったオレに言った。

「はい。いろいろとありがとうございます。では」
夫人にお礼を言い、大通りのバーガー屋「マックス・ドックス」へ向かう。


「行ってしまわれましたねぇ」
桃ニャが呟いた。
「きっとうまくいくわ。あのニ人ですもの」
走り去るオレの車を見送りながら、夫人は満足そうな顔をした。


綺麗な夕日が沈んでいく…
空は
花束のような綺麗なオレンジ色に変わった…


明日も気持ちのいい晴れの天気になるだろう。

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